十六歳の俺とオーガ殲滅 前編
ルースを先頭に俺、ティスカ、ラディス、ケティス、ドイルの順に後に付き殿はテーニが努めながらオーガの集落へと進む。
時折出てくる魔物は、なるべく無視しながら進み移動から十分程で目的の集落が見える場所に到着した。
辺りに魔物がいないか確認し、ラディス、ケティス、ドイルへと指示を出す。
「よし到着だ、とりあえず此処から俺達の戦いを見学するといいだろ。絶対に此処から動くなよ! もし動いた場合は、確実に俺達の戦いに巻き込まれて即死だろうからな。」
「わかってるよ!」
「き、きおつけてください。」
「ご武運を祈る。」
「それから、テーニとルースはここで待機しこの三人を護衛していてくれ。」
「「御意。」」
それぞれから返事を貰い、俺とティスカは戦闘準備をはじめる。
俺は、アイテムボックスから二本の刀を取り出す。一本の刀は、刀身から鍔まで漆黒に染まる刀で刃紋は朱色。
『黒炎刀・黒鬼』
ランク/伝説級
補助効果/身体能力上昇(大)物理耐性(大)
追加効果/切断
魔法効果/火炎
一本の刀は、刀身から鍔まで純白に染まる刀で刃紋は蒼色。
『白氷刀/夜叉』
ランク/伝説級
補助効果/体力回復上昇(大)魔力回復上昇(大)
追加効果/切断
魔法効果/氷結
ティスカはアイテムボックスから一本の短剣と弓を取り出す。短剣と弓はクリスタルの様に透明でそれぞれに魔改造が施されている。
短剣本体は、魔法金属であるミスリルで出来ており魔法触媒としても使える。
また刀身は可動式になっており、短剣、剣、大剣と三段階に長さが変わり用途に分けて使うことが出来る。
『可変刀/オルディス』
ランク/国宝級
補助効果/速度上昇(大)回避力上昇(大)
追加効果/直感
魔法効果/なし
弓本体は同じくミスリルで出来ており、こちらも魔法触媒として使うことが出来る。
また矢は魔力を使い魔法を矢に変えて放つ事が出来る。
『魔弓/オルディア』
補助効果/連射速度上昇(大)付与率上昇(大)
追加効果/貫通
魔法効果/範囲拡大
俺達の準備が整いいよいよ戦いの始まりの時となった。見える範囲には既に500体程のオーガ達が姿を見せている。
「さぁーてやるとするか。とりあえず広範囲魔法で数を減らすかな。ティスカなるべく建物に被害を出さずにやるぞ。人がいないとも限らないからな。」
「わかりました、キョーヤさん。」
「『時空魔法/空間捕捉』、『精霊魔法・光/光槍』、貫き穿て!」
ズガン、ズガン、ズガガガガ!
「『精霊魔法・風/ウィンドランス』、『変換オルディア!ウィンドアロー/針』、放ちます!」
ザシュ、ザシュ、ザザザザ!
まずは、俺の『空間捕捉』でオーガ達の位置を捕捉し、
(設定した空間内のものを捉える技)
捕捉したオーガ達に『光槍』を上空から振り下ろす。
(光で出来た二メートル程の槍を複数作り出す技)
そこに、ティスカが『ウィンドランス』をオルディアの矢に変換して、
(風の大きな槍を作り出す技)
『ウィンドアロー/針』をオーガ達に放つ。
(変換した矢を上空に打ち上げ、細分化し50センチ程の矢の雨を降らす技)
轟音が止むと、辺り一帯に土煙が舞っておりその中には体中を穴だらけにしたオーガ達が倒れている。
音に気付いたのか、建物の中から更にオーガ達が出てくると辺り一帯の惨状にわけが分らず混乱している。
ちなみにラディス、ケティス、ドイルの三人は揃って口を開けた状態で固まっている。
その場を、テーニとルースに任せてオーガ達の元へとむかう。
「よしそれじぁあ、斬りこむとするか。」
そう言い黒鬼と夜叉を鞘から抜き放つ。
「いつでも行けます。」
俺に倣いティスカも、オルディアからオルディスへと武器を変え構える。
「ティスカは左側から責めてくれ俺は、右側から行く!」
「わかりました。」
そうして俺達は左右に別れてオーガ達へと斬りこむ。
〜居残りside〜
キョーヤ達がオーガ達へと斬りこみに向かった直ぐ後ラディス、ケティス、ドイルの三人は再起動する。
「なんだよ、あの人達は!」
「す、すごいねお兄ちゃん。」
唖然としながら二人が呟く。
「正直ここまで魔法を使いこなすとは思いませんでした。それにあの魔法を発動する時精霊魔法と言っていましたが、本来精霊魔法は一つの属性すら習得するのが困難なはずですが、あの男は複数の属性精霊魔法を使っておりました。」
「習得が困難?」
「どうしてなの?」
「それは、習得するにはまず精霊と邂逅し契約しなければなりません。この邂逅し契約するにも何処かにいる中級以上の精霊とでしか契約は出来ず、仮に邂逅する事が出来ても自分と相性がよく無いと精霊は契約をしてはくれません。」
「へぇーそうなんだ。って事はあの人達は中級以上の精霊と契約しているって事なんだな。」
「凄いですね。」
「ええ、そしてその習得が困難なはずの精霊魔法をあの男は複数の属性行使していたんです。」
「なるほどな、確かに不思議だな。」
「不思議ですね。」
「とりあえず考えるのは此処までにしましょう。あちらが始まるみたいですよ。」
三人が視線を集落へと向けると、キョーヤ達が間もなくオーガ達と接触する所だった。