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登校風景

月曜日というのは実に憂鬱なものである。

別段学校が嫌いなわけではなく、むしろ学校に通うことが大好きだという人間でさえ月曜日は嫌いだという。

学校が好きすぎて休みの日も学校に通うやつも、学校に住み込むほど学校に惚れこんでいるやつも、月曜日は憂鬱だという。

月曜日というのは人を憂鬱にさせる魔力を持っていると、僕は信じている。


「おはよう、しけた顔してるわねユミヒコ」

「おはようユミヒコ君。月曜日だからってしょぼくれ過ぎよ」

後ろから金切り声一歩手前の甲高い声とよく通る野太い声が聞こえてきた。

フミカとイクヨだ。

「二人ともおはよう。月曜だもの、しょぼくれるのも仕方ないよ」

「そうね、まあね、月曜だもんね。しゃーないわよね。」

「そうよね、月曜だもんね」

思わずそろってため息をつく。

月曜なのだ。ため息の一つや二つこぼれもする。

「何よりめんどくさいのは学園町の朝礼よね」

ハアッとさらにため息を重ねてフミカ。

「そうそう。今日は何人ぐらい死んだのかしらね」

「まあ、月曜だから仕方ない気はするけどね。でも、てめえが自殺したせいで朝礼が伸びるこっちの身にもなってみろってんだよ」

「本当にね。あー、もう月曜の朝礼ほど嫌なものってそうそうないわね。なんだか私も自殺したくなってきたわ」

「ちょっとやめてよねイクヨ。あんたが死んだらさらに朝礼伸びるじゃない」

「うっさいわねフミヨ。だったらあんたも死ねばいい話でしょ?」

「おいおい、話が変な方向進んでるぞ。まあいいけどさ、とりあえず一応聞くけど朝礼抜ける方法なんか思いついた?」

「思いつくわけないでしょ。遅刻したら録音を2回聞かされる、ばっくれても休んでも学園長自らわざわざ朝礼をそっくりそのまま演説しに来てくださる。噂じゃああの世まで自殺した生徒追っかけて演説ぶってるらしいよ」

「ないと言い切れないのが怖いわね」

「なんでも本人に向けた弔辞もそっくりそのままぶちかますらしいわよ」

「そりゃきつい」

「はあ、憂鬱ねえ」

再び三人そろってため息をこぼす。


その時、彼らの少し後ろで叫び声があがる。

「そうか、死ねば朝礼に出なくてすむぞ!」

振り返るとオウムのような嘴がくっついた少年が満面の笑みを浮かべながらナイフを自分の腹につきたてようとしていた。

「おいまて! お前が死んだらさらに学園町の演説が長引くだろうがぁっ!

 死んだらてめぇ、ぶっ殺すぞゴラアァ!!」

思わず罵声が口をついて出る。全力でその馬鹿の自殺を止めるために僕は飛び出した。

大体一人当たり30フゥンほど演説が伸びるのだ。後ろのほうではさらに姉妹が飛び掛る音が聞こえた。

眠い

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