表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ホームセンター店員、過労死して異世界へ。聖剣もフォークリフトも俺にはただの「道具」ですが?【ウェポンズマスター】のDIY無双  作者: 月神世一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/77

EP 8

アジト強襲

 犯罪者集団『ナンバーズ』のアジト、司令室。

 無機質な白い壁と、最新鋭のモニター群に囲まれたその空間は、冷ややかな静寂――いや、凍りつくような沈黙に支配されていた。

 リーダーであるナンバー0(ギアン・アルバード)は、手に持っていた高級チョコレートを口に運ぶことすら忘れ、メインモニターを凝視していた。

「……な、なんだこれは?」

 画面に映し出されているのは、敵との激しい攻防ではない。

 泡を吹いて気絶し、股間を濡らして倒れている最強の部下、ナンバー1(ヴォルフ)の無様な姿だ。

 そして、その周囲には、同じく失禁して全滅した戦闘員たちの死屍累々(気絶)が転がっている。

「戦わずして……漏らした、だと?」

 0の手からチョコレートが滑り落ち、床に転がった。

 理解不能だ。

 1は組織最強の戦闘力を持つ男だ。それが、魔法一発撃つこともなく、ただ上空の『何か』に怯えて自滅したというのか。

「ありえない……。僕のシナリオに、こんな茶番は……!」

 その時だった。

 ウゥゥゥゥゥゥゥゥ――ッ!!

 司令室に、けたたましい警報音が鳴り響いた。

 照明が赤色に切り替わり、オペレーターたちの悲鳴のような報告が飛び交う。

「こ、高エネルギー反応接近! 速度、計測不能! こっちに来ます!」

「馬鹿な! このアジトは地下深くに隠蔽されているんだぞ! 場所が特定されるはずが……」

 0が叫んだ、その直後。

 ズガァァァァァァァァァァンッ!!!!

 天地がひっくり返るような衝撃が、アジト全体を襲った。

 モニターが爆発し、天井から瓦礫が降り注ぐ。

 0は椅子ごと床に投げ出され、無様に転がった。

「ぐっ……!? な、何が起きた!?」

「ほ、報告! 第一防衛ライン突破! 第二、第三も……紙切れみたいに破られていますッ! 物理障壁、魔法結界、全滅ッ!」

 オペレーターが絶叫する。

 このアジトは、旧王国の軍事要塞を改修した鉄壁の守りを誇っていたはずだ。

 それが、わずか数秒で?

「来る……! 本丸ここに来るぞぉぉッ!」

 メリメリメリメリッ……!

 頭上で、何かが引き裂かれる音がした。

 分厚いコンクリートと特殊合金でできた天井が、まるで缶詰の蓋のように、強引に『こじ開けられて』いく。

 ギャアアアアアンッ!!

 金属の悲鳴と共に、天井が吹き飛んだ。

 地下深いはずの司令室に、突如として眩い『赤』が差し込んだ。

 それは太陽の光ではない。

 地獄の業火の輝きだ。

「……ひッ」

 0は床を這いながら、空いた穴を見上げた。

 そこに『それ』はいた。

 空を覆い尽くすほどの巨大な翼。

 溶岩のように脈打つ真紅の鱗。

 そして、ビルほどもある巨大な頭部が、穴からヌッと司令室の中を覗き込んでいた。

『……見ツケタゾ。薄汚イ害虫メ』

 紅蓮の地獄龍クリムゾン・ヘル・ドラゴン

 その黄金の瞳が、0という小さな存在をロックオンした。

 吐き出される息だけで、室内の気温が一気に数百度まで上昇し、プラスチックの機材が溶解を始める。

「ば……化け物……」

 0は震える唇で呟いた。

 Aランク? Sランク?

 いや、そんな次元ではない。これは『天災』だ。

 たかがラーメン屋の騒音トラブルへの報復にしては、あまりにも過剰すぎる戦力。

『我ガ主ノ食事ヲ邪魔シタ罪ハ重イ。……死デ償エ』

 龍が口を大きく開けた。

 喉の奥で、太陽のコアのような光が凝縮されていく。

 極大ブレスの予備動作。

「ま、待て……! 話し合おう! 僕は選ばれし者だぞ!?」

 0は錯乱して叫んだ。

 だが、龍は聞く耳を持たない。

 圧倒的な『死』が、秒読み段階に入っていた。

「くそっ……! くそぉぉぉッ!!」

 0は最後の手段に出た。

 自身のユニークスキル、【未来予知ラプラス】。

 数秒先の未来を視て、この絶体絶命の状況から生き残る『正解ルート』を探し出す。

「見えろ! 生き残る未来が! 僕が勝つ未来が!!」

 0の瞳が怪しく輝き、彼の脳内に無数の未来の分岐図が展開された。

 だが、それが彼にとっての本当の地獄の始まりだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ