8-2. 命令違反と拘束
デザート・ピラー作戦から数時間後、リオは司令部へと呼び出された。仮設宿舎から司令部へ向かう道のりで、リオは自分の手のひらを見つめている。手のひらには、常に微かな熱が宿っている。それは、呪詛の力の証だ。息を吸うたびに、その熱が強まり、リオの肋骨を内側から押しつぶすように重い。
廊下を進む。石造りの壁に、古い戦争の記録が刻まれた石板が並んでいる。天井から吊り下げられた魔導灯が、黄色い光を放ち、リオの影を長く引き伸ばす。兵士たちが行き交う。リオが近づくと、兵士たちは一斉に距離を取る。その視線は、リオを恐れている。兵士たちの目には、恐怖と警戒が混ざり合っている。
作戦室に入ると、ヴィクトル総司令が机の前に立っている。壁は灰色の石造りで、天井は高く、その高さは五メートル以上ある。天井から吊り下げられた魔導灯が、薄暗い青白い光を放っている。その光は、作戦室全体を照らしているが、どこか冷たい印象を与える。
テーブルには、作戦の報告書が広げられている。ヴィクトルは報告書を見つめ、細い指揮棒で文字を追っている。報告書には、デザート・ピラー作戦の結果が記されている。
「報告書を見た」
ヴィクトルは、冷たい目でリオを見た。目に怒りと失望が映っている。
「村人は逃げ延びた。命令違反だ」
リオは拳を固く握った。指先が冷たくなる。人を殺すことへの罪悪感が、胸の中心を締め付ける。
「村人には手を出しませんでした」
リオの手が小刻みに震える。ヴィクトルは、冷たい目でリオを見た。
「命令違反だ。お前は、兵器としての従順さを失った」
リオは目を伏せ、深く息を吸い込んだ。その呼吸が、体の奥まで届く。兵器としての従順さを失った。その事実が、リオの心臓を握りしめる。
「僕は……人間として行動しました」
リオは呼吸が早くなる。ヴィクトルを見た。
「お前は、兵器だ。命令に従うだけの存在だ。その従順さを失った以上、お前は不要だ」
その声は、冷たい。リオの背中が、重りを背負ったように沈む。兵器としての従順さを失った以上、お前は不要だ――それは、リオの胸を締め付ける。
「拘束しろ」
兵士たちがリオの周囲に集まった。兵士たちは、リオを見て、恐怖が目に映る。だが、命令に従い、リオの腕を掴んだ。
リオは、抵抗しなかった。抵抗すれば、兵士たちを傷つけることになる。それは、リオの胸を締め付ける。
リオは、兵士たちに連行された。廊下を進み、エレナの実験室へと向かう。廊下の壁には、古い戦争の記録が刻まれた石板が並んでいる。天井から吊り下げられた魔導灯が、黄色い光を放ち、リオの影を長く引き伸ばす。
エレナの実験室に入ると、エレナが机の前に立っている。実験室は、広々とした空間だ。壁は白い壁で作られており、その表面には、実験器具が並んでいる。その器具は、複雑な形をしており、その用途は、リオには分からなかった。実験室の天井からは、明るい光が差し込んでおり、その光は、実験室全体を照らしている。
「命令違反を犯したと聞いた」
エレナは、冷たい目でリオを見た。科学者としての冷静さが、目に映っている。
「村人には手を出しませんでした」
リオの手が震える。エレナは、冷たい目でリオを見た。
「兵器としての従順さを失った。それは、実験台としての価値が下がることを意味する」
エレナの言葉は、きわめて合理的だ。それでも、リオの手が震える。その震えが止まらない。人を殺すことへの罪悪感が、胸の中心を締め付ける。
「僕は……人間として行動しました」
エレナは、冷たい目でリオを見た。
「お前は、兵器だ。実験台だ。その価値は、従順さにある。その従順さを失った以上、お前は不要だ」
エレナの言葉は、きわめて合理的だ。だが、リオには、その意味が分からない。兵器としての従順さを失った以上、お前は不要だ――それは、リオが最も恐れることだった。
「拘束具を外せ」
兵士たちがリオの拘束具を外した。リオは、自由になった。だが、その自由は、一時的なものだった。
「実験台として、お前の力を再現する。それが、お前の最後の役割だ」
エレナの目には、科学者としての興奮が浮かんでいる。
リオは呼吸を整えながら、実験台を見つめた。実験台として、お前の力を再現する。それが、お前の最後の役割だ。その事実が、リオの胸骨を内側から押す。
リオは、実験台に横たわった。実験台は、冷たい金属で作られており、その表面は、滑らかだった。その冷たさを感じて、目を伏せた。
エレナは、リオの体に装置を取り付けた。その装置は、複雑な形をしており、その用途は、リオには分からない。エレナは、その装置をリオの体に取り付けて、記録を取っている。
「実験開始だ」
装置が動き始めた。その装置の動きを感じて、呼吸が乱れる。
装置は、リオの体に力を流し込んだ。その力は、リオの体を震わせた。その震えを感じて、目を閉じた。
「力の再現……成功だ」
エレナは、その結果を見て喜んだ。科学者としての興奮が、目に映っている。
リオは呼吸が早くなる。装置を見つめた。力の再現……成功だ。それは、リオが最も恐れることだった。
実験が終わると、リオは再び拘束具を付けられた。その拘束具を感じて、息遣いが荒くなる。
「お前は、兵器としての従順さを失った。だが、実験台としての価値は残っている。その価値を、最大限に活用する」
エレナの目には、科学者としての冷静さが浮かんでいる。
リオは目を伏せ、深く息を吸い込んだ。兵器としての従順さを失った。だが、実験台としての価値は残っている。その価値を、最大限に活用する。その事実が、リオの胸の中心を締め付ける。
リオは、実験室を出た。そこでは、ゼロ・ナイトが待っていた。ゼロは、リオの肩に手を置いた。
「お前には心がある。それが、お前を人間たらしめている。それを忘れるな」
ゼロの言葉が、リオの胸の奥まで届く。それは、リオが長い間、聞きたかった言葉だ。
「命令違反を犯しました。兵器としての従順さを失いました」
ゼロは、リオの肩を軽く叩いた。
「人を殺すことを苦しむ。それが、お前の強さだ。生きて償うんだ」
ゼロの言葉が、リオの胸の奥に染み込む。リオは、その言葉を胸に刻み、仮設宿舎へと戻った。
仮設宿舎に戻ると、リオは机の前に座った。机の上には、シルヴァとセラフィナからの手紙が置かれていた。リオは、その手紙を手に取り、文字を追う。シルヴァの手紙には、「選ぶ権利がある」「逃げることも選択肢の一つよ」と書かれている。セラフィナの言葉も、同じようにリオを人間として見てくれている。
リオは、手紙を読み返していた。選ぶ権利がある。逃げることも選択肢の一つ。それは、リオが考えたことのない選択だ。リオは、その手紙を胸に当てた。紙の温かさが、指先から腕へと伝わる。
「逃げることができるのか」
リオは心の中で問う。だが、答えは見つからない。時間だけが過ぎていく。
少しでも面白いと思っていただけたら、
ページ下部の☆を押して評価をお願いいたします!
モノカキのモチベーションになります。




