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魔法が廃れた時代の死神  作者: モノカキ
第七章

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7-5. 英雄視と孤立

ホロウスパイア包囲作戦から数週間が経った頃、リオは王都へと戻された。作戦は成功し、王国は一時的な停戦ラインを獲得していた。リオは、その成功の立役者として、英雄として祭り上げられていた。


「よくやった。ホロウスパイア包囲作戦の成功により、王国は講和を有利に進められる」


リオは、その言葉に軽く頷く。だが、心の中では重い気持ちが広がっている。


「でも、僕は……人を殺してしまった」


リオは、声を震わせながら言った。ヴィクトルは、冷たい目でリオを見た。


「またか」


ヴィクトルは一瞥もせず、報告書を見続ける。


「作戦の効率を上げるためのデータだ。エレナの報告によれば、君の力は予想以上に有効だった」


ヴィクトルの言葉は、きわめて合理的だ。だが、リオの肋骨が、内側から押しつぶされるように重い。人を殺すことへの罪悪感が、リオの胸を締め付ける。


王都では、リオの凱旋を祝う式典が開かれていた。式典の会場は、王都の大広間だった。その広間は、巨大な空間で、その広さは、数百人を収容できるほどだった。豪華な装飾で彩られており、壁には、古い戦争の記録が刻まれた石板が飾られていた。天井から巨大なシャンデリアが吊り下げられており、そのシャンデリアは、無数の水晶で作られていた。その光が、広間全体を照らしていた。その光は、金色に輝き、広間全体を包み込んでいた。


リオは、その式典に出席し、英雄として称賛されている。会場には、多くの貴族や将軍が集まっている。彼らは、リオを見る目が、熱狂的だ。その目には、希望と期待が混ざり合っている。彼らは、リオを見つめながら、拍手をしている。その拍手は、広間全体に響き、やがて消える。


だが、リオの心は重かった。英雄として称賛されている。だが、それは、リオが望んだことではなかった。リオは、人を殺すことを苦しんでいる。それは、英雄にはない感情だった。


「あなたは王国の英雄です」


貴族の一人が、そう言った。その貴族は、老人だった。その目には、希望の色が浮かんでいる。その声は、広間全体に響き渡った。


「ホロウスパイア包囲作戦の成功により、王国は講和を有利に進められます」


別の貴族が、そう言った。その貴族は、中年の男だった。その目には、期待の色が浮かんでいた。


「あなたは、王国の希望です」


別の貴族が、そう言った。その貴族は、若い女だった。その目には、熱狂の色が浮かんでいる。


人々の言葉が、リオの胸に響く。だが、それでもリオはこの力が自分を支配しているのではないかという不安に呑まれていく。自分を制御できない――それは、リオにとって、最も恐ろしい真実だった。リオは、自分の手のひらを見た。手のひらには、常に微かな熱が宿っている。それは、呪詛の力の証だった。この熱が、自分の心臓を握りしめているかのように感じられる。


「僕は……人間だ。兵器じゃない」


リオは心の中で呟いた。だが、周りはリオを兵器として見なしている。英雄として称賛し、恐れている。それは、リオが望んだことではなかった。


式典が終わると、リオは仮設宿舎へと戻った。そこには、ゼロが待っていた。


「リオ、よくやった。作戦は成功だ」

「でも、僕は……また人を殺してしまった。僕は……自分を制御できない。触れたら終わり――そんな力を持っている」

「リオ、それは違う。お前は人間だ。人を殺すことに忌避感を感じる、普通の人間だ。それが、お前の強さだ」


ゼロの言葉に、リオは何も言えなかった。


夜、リオは仮設宿舎で一人、ベッドに横たわっていた。この力が、自分を支配しているのではないかという不安が、リオの心を蝕んでいく。


「もし、僕が死ねば……この力も消えるのでは……」


リオは心の中で自問した。だが、その答えは見つからず、時間だけが過ぎていく。


翌日、リオは前線の基地へと戻された。そこでは、兵士たちがリオを見て、距離を置いていた。


「リオ・アーデン……『緩慢なる死神』だ」

「触れられたら終わり……そんな力を持っている」

「同じテントには近づくな」


兵士たちの言葉が、リオの心を揺さぶる。触れられたら終わり――それは、リオにとって、最も恐ろしい真実だった。リオは、目を閉じた。深く息を吸い込む。その呼吸が、体の奥まで届かない。


リオは、仮設宿舎へと戻った。そこには、シルヴァからの手紙が置かれていた。リオは封を切り、手紙を広げた。


「リオ、あなたが作戦を成功させたことを聞いたわ。王都では、あなたを英雄として称賛しているけれど、リオ、あなたは英雄じゃない。あなたは人間よ。人を殺すことを苦しむ、普通の人間よ。

前線では、あなたを恐れていると聞いた。でも、リオ、あなたは人間よ。それを忘れないで。もし本当に苦しんでいるなら、いつでも私のところに来て。あなたを、人間として受け入れる場所があるのよ。


シルヴァより」


その手紙を読み終えた時、リオの目から涙が溢れた。シルヴァの言葉が、リオの心に響いた。人間として受け入れる場所がある――それは、リオにとって、小さな希望だった。


「シルヴァ……ありがとう」


リオは手紙を握りしめ、目を閉じた。人間として受け入れる場所がある――それは、リオが考えたことのない選択だった。


夜、リオは眠れなかった。この力が、自分を支配しているのではないかという不安が、リオの心を蝕んでいく。


「もし、僕が死ねば……この力も消えるのでは……」


リオは心の中で自問した。だが、その答えは見つからず、時間だけが過ぎていく。


リオは、自分の手のひらを見た。手のひらには、常に微かな熱が宿っている。それは、呪詛の力の証だった。


リオは、仮設宿舎の外へと出た。そこでは、兵士たちがリオを見て、距離を置いていた。兵士たちの目には、恐怖と警戒の色が浮かんでいる。彼らは、リオを見つめながら、一歩後ずさりした。その姿が、リオの胸を締め付ける。


**「逃げても死ぬ傷」を再確認したリオは不眠症となり、夜ごとに自分の手を洗い続ける。仮設宿舎の洗面所で、リオは手を洗い続けている。その水は、冷たく、その冷たさが、リオの手を震わせる。リオは、その水を見つめながら、手を洗い続けた。だが、その水は、リオの罪を洗い流すことはできなかった。リオの手には、常に微かな熱が宿っている。それは、呪詛の力の証だった。その力は、リオの体に、深く刻み込まれていた。


リオは、手を洗い続けながら、自分の手のひらを見つめた。手のひらには、常に微かな熱が宿っている。それは、呪詛の力の証だった。この熱が、自分の心臓を握りしめているかのように感じられる。息をするたびに、その熱が強まり、リオの胸を締め付ける。


祝宴でも隅に立たされ、誰も近づこうとしない。リオが近づくと、人々は距離を取った。リオが同じテーブルに座ろうとすると、人々は別のテーブルへと移動した。その姿が、リオの胸を締め付ける。リオは、人々から恐れられている。それは、リオにとって、最も恐ろしい真実だった。リオは、自分の手のひらを見た。手のひらには、常に微かな熱が宿っている。それは、呪詛の力の証だった。この熱が、自分の心臓を握りしめているかのように感じられる。


英雄視と孤立のギャップが決定的になり、リオの心は深く傷ついていく。王都では英雄として称賛され、前線では恐れられている。それは、リオが望んだことではなかった。リオは、そのギャップを感じながら、自分の手のひらを見た。手のひらには、常に微かな熱が宿っている。それは、呪詛の力の証だった。その力は、リオの体に、深く刻み込まれていた。


このギャップが、リオを決定的に変えるものになることを、まだ誰も知らない。

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