7-4. 議場への侵入
議場への入り口をくぐった時、リオは、その広さに驚いた。議場は、巨大な円形の空間だった。天井は高く、その高さは、二十メートル以上もあった。壁には、浮遊鉱石が埋め込まれており、その鉱石は、青白い光を放っていた。その光が、議場全体を照らしていた。その光は、議場全体を包み込み、月の光のように見えた。
議場の中央には、円形の議席が設けられている。その議席は、階段状になっており、その上には、敵国連合の議員たちが座っていた。彼らは、リオの接近に気づき、驚きの表情を浮かべていた。議員たちの目には、恐怖と困惑が混ざり合っていた。彼らは、リオを見つめながら、震えていた。
議場の床は、大理石で作られており、その表面には、複雑な模様が刻まれていた。その模様は、古い戦争の記録を表しているかのようだった。リオは、その模様を見つめながら、議場の中央へと進んだ。
「何だ、お前は……」
「リオ・アーデン……『緩慢なる死神』だ」
「待て、話し合いを……」
議員たちは、混乱し始めていた。だが、その時には遅かった。リオは、議場の中央へと進み、議員たちを見つめた。
「僕は……人を殺したくない。だから、降伏してください」
リオの言葉が、議員たちの心に深く響く。人を殺したくない――それは、彼らにとって、予想外の言葉だ。
リオは、議場の中央に立ち、議員たちを見つめている。彼らの目には、恐怖と混乱が浮かんでいる。
「降伏……?お前は、我々を殺すつもりか?」
一人の議員が、立ち上がって言った。その議員は、老人だった。その目には、深い悲しみが宿っていた。彼は、リオを見つめながら、震えていた。リオは、その言葉に首を横に振った。
「いいえ。僕は、人を殺したくない。だから、降伏してください。そうすれば誰も死なない」
リオは、小さな声で言った。声が震える。
「本当に……誰も死なないのか?」
その議員は、リオの言葉を聞いて、疑問を感じる。その目には、希望と恐怖が混ざり合っている。
「はい。僕は、人を殺したくありません。だから、降伏してください」
リオの言葉が、議員たちの心に深く響く。誰も死なない――それは、彼らにとって、希望の言葉だ。議員たちは、互いに顔を見合わせる。その目には、希望と恐怖が混ざり合っている。
だが、その時、議員の一人が立ち上がった。その議員は、中年の男だった。その目には、深い悲しみと決意が混ざり合っている。彼は、リオを見つめながら、言った。
「待て、お前は……リオ・アーデンだな。お前の力は、旧文明の呪詛だ。使い続ければ、世界が滅びる。それを、お前は知っているのか?」
その議員の言葉が、リオの胸に突き刺さる。世界が滅びる――それは、リオが知らなかった真実だった。リオは、その言葉を聞いて、震えた。手が震える。足がすくむ。
「僕は……そんなつもりじゃない」
「お前は、人を殺している。治らない傷で、人を殺している。それが、お前の力だ」
その議員の言葉が、リオの胸を締め付ける。人を殺している――それは、リオにとって、最も恐ろしい真実だった。リオは、その言葉を聞いて、自分の手のひらを見る。手のひらには、常に微かな熱が宿っている。それは、呪詛の力の証だ。その熱が、自分の心臓を握りしめているかのように感じられる。
「でも、僕は……人を殺したくありません」
「それなら、お前の力を止めろ。さもなければ、お前は世界を滅ぼすことになる」
「でも、僕は……国家のために力を貸すと約束した」
「お前は兵器として使われているだけだ。国家は、お前を人間として見ていない。お前を、兵器として見ている」
その議員の言葉が、リオの胸を締め付ける。兵器として使われている――それは、リオにとって、最も恐ろしい真実だった。リオは、目を閉じる。深く息を吸い込む。その呼吸が、体の奥まで届かない。
「僕は……人間だ。兵器じゃない」
「人間なら、力を止めろ。世界を滅ぼす前に」
その議員の言葉に、リオは何も言えなかった。力を止める――それは、リオが考えたことのない選択だった。
だが、その時、議場の外から声がかかった。
「リオ、時間がない。包囲網が完成した。降伏を促せ」
ゼロが、リオに声をかけた。リオは、その言葉に背中を押され、議員たちを見つめた。
「降伏してください。そうすれば、誰も死なないんだ」
リオの言葉が、議員たちの心に深く響く。誰も死なない――それは、彼らにとって、希望の言葉だ。
議員たちは、互いに顔を見合わせた。そして、一人の議員が立ち上がった。
「分かった。我々は降伏する。ただし、条件がある。お前の力を、二度と使うな」
その議員の言葉が、リオの心を揺さぶる。力を、二度と使うな――それは、リオにとって、重い選択だった。リオは、剣の柄を握りしめた。指先に力が入り、手のひらに爪が食い込む。
「僕は……分かりました」
リオは、その言葉に軽く頷いた。だが、心の中では重い気持ちが広がっていた。力を、二度と使うな――それは、リオにとって、難しい選択だった。
議員たちは、降伏の書類に署名を始めた。その書類は、白い紙で作られており、その上には、降伏の条件が書かれていた。議員たちは、その書類を見つめながら、署名を始めた。その姿が、リオの胸を締め付ける。また、人を傷つけてしまった。それは、リオにとって、最も恐ろしい真実だった。
リオは、その光景を見つめながら、自分の手のひらを見た。手のひらには、常に微かな熱が宿っている。それは、呪詛の力の証だった。
「僕は……人を殺してしまった」
リオは心の中で自問した。だが、それでも進まなければならない。国家のために力を貸すと約束した以上、その約束を果たさなければならない。リオは、その言葉を繰り返しながら、議員たちを見つめた。
議員たちは、降伏の書類に署名を終えた。リオは、その書類を受け取り、議場の外へと出た。その書類は、重く、リオの手に伝わってきた。その重さは、リオの心を重くした。
議場の外では、包囲網が完成していた。空挺部隊が東側から、魔導滑空艇が西側から、主力部隊が南側から。三方向からの包囲網が、ホロウスパイアを完全に囲んでいた。その光景は、リオの目に焼き付いた。作戦は成功した。だが、リオの心は重かった。
リオは、その光景を見つめながら、自分の手のひらを見る。熱を感じる。それは、呪詛の力だ。息をするたびに、その熱が強まり、リオの肋骨を内側から押しつぶすように重い。
リオは心の中で呟く。だが、周りはリオを兵器として見なしている。英雄として称賛し、恐れている。それは、リオが望んだことではない。
ゼロが、リオの肩を叩いた。その手は、温かかった。だが、その温かさは、リオの不安を消すことはできなかった。
「リオ、よくやった。包囲網が完成した。これで、作戦は成功だ」
「でも、僕は……人を殺してしまった」
リオは、声を震わせながら言った。手が震える。
「リオ、それは違う。お前は、人を殺すことを苦しんでいる。それが、お前の強さだ。兵器なら、そんな感情は持たない」
ゼロの言葉は、リオの心に響いた。だが、それでもリオはこの力が自分を支配しているのではないかという不安に呑まれていく。
「でも、僕は……自分を制御できない。触れたら終わり――そんな力を持っている」
「リオ、それは違う。お前は人間だ。人を殺すことに忌避感を感じる、普通の人間だ。それが、お前の強さだ」
ゼロの言葉に、リオは何も言えなかった。
だが、その時、リオの耳に、衛兵たちの声が聞こえてきた。
「この傷……治らない……」
「助けて……この傷が、治らない……」
「何だ、この力は……」
リオは、その声を聞きながら、自分の手のひらを見た。熱を感じる。それは、呪詛の力だ。
「僕は……人を殺している」
リオは心の中で自問した。だが、それでも進まなければならない。国家のために力を貸すと約束した以上、その約束を果たさなければならない。
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