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魔法が廃れた時代の死神  作者: モノカキ
第六章

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6-6. 緩慢なる死神

前線基地に戻ると、リオは仮設宿舎へと向かった。作戦は成功したが、リオの肩に、見えない重りがのしかかる。リオは、背筋を伸ばそうとした。だが、その重りが、リオの背骨を押し下げる。


「リオ、報告が届いた」


ゼロがリオの元へとやってきた。リオは机から顔を上げ、ゼロを見た。


「黒曜谷作戦の戦果報告だ。だが……問題がある」

「問題……?」

「味方兵士にも、軽い掠り傷を与えてしまったようだ」


リオの顔が青ざめた。血の気が引く。手が震え始める。


「味方に……?」

「混線した戦場で、味方兵士にも軽い掠り傷を与えてしまった。数日後に、味方死亡の報告が届いた」


リオは手を震わせながら、ゼロを見た。手の震えが止まらない。指先が、冷たくなる。


「僕は……味方まで殺してしまった……?」

「事故だ。戦場では、何が起こるか分からない」

「でも、僕は……味方まで死なせた……」


リオは自責の念に駆られ、剣を持つ手が震えた。手の震えが止まらない。指先が、冷たくなる。


「僕は……自分を制御できない。触れたら終わり」


リオの言葉に、ゼロは何も言えなかった。


司令部では、この件を機密として処理した。だが、前線では「触れられたら終わり」という噂が一気に広がった。


「リオ・アーデンに触れるな。呪われる」

「王都では『夜霧の死神』って呼んでるけど、前線では違うんだぜ」

「触れたら、数日後に死ぬ。だから『緩慢なる死神』だ」

「あいつは、敵も味方も関係なく殺す」


兵士たちの噂は、リオの耳にも届いた。王都では「夜霧の死神」として英雄視され、前線では「緩慢なる死神」として恐れられる。その二重性が、リオの肩にさらに重りをのしかける。リオは、背筋を伸ばそうとした。だが、その重りが、リオの背骨を押し下げる。リオは、自分の指先を見つめた。指先には、微かな熱が走る。それは、呪詛の力の証だった。自分を制御できない恐怖が、リオの心を侵食していく。


「リオ、訓練を続けろ。気にするな」


ゼロがリオに声をかけた。


「でも、僕は……味方まで殺してしまった。自分を制御できない」

「リオ、下手な慰めはできない。できうるなら、生きて償え」

「でも、僕は……自分を制御できない。死ねば全て終わるのでは……」

「それは違う。死んで罪を消すのではなく、生きて償うんだ」


訓練が終わると、リオは宿舎へと戻った。机の上には、シルヴァからの手紙が置かれていた。リオは封を切り、手紙を広げた。


「リオ、あなたが『緩慢なる死神』と呼ばれていることを聞いたわ。でも、リオ、あなたは死神じゃない。人を殺すことを苦しむ、普通の人間よ。味方まで殺してしまった――それは、あなたが望んだことじゃないわよね。私はあなたの味方よ。いつでもあなたを人間として見ている。

もし何かおかしいと思ったら、すぐに逃げて。あなたは、逃げることも選択肢の一つよ。


シルヴァより」


その手紙を読み終えた時、リオの目から涙が溢れた。涙は、手紙の上に落ち、文字を滲ませる。


「シルヴァ……ありがとう」


リオは手紙を握りしめ、目を閉じた。手紙を握る指先に、微かな熱が走る。それは、呪詛の力の証だった。その熱が、指先から手首へ、手首から腕へと伝わる。胸の中心が、重くなる。自分を制御できない恐怖が、リオの心を侵食していく。


夜、リオは眠れなかった。味方まで殺してしまった――それは、リオが望んだことではない。


「生きて、償う」


リオは心の中で繰り返した。しかし、その言葉を胸に、リオは前進を続けるしかなかった。


翌日、エレナがリオの元へとやってきた。


「リオ・アーデン、データの進展だ。味方への影響も記録できた」


エレナは記録を取りながら、リオを見た。その目には、科学者としての冷静さだけが浮かんでいた。だが、その心の奥底では、リオの力を研究することへの興奮が、わずかに感じられた。


「でも、僕は……味方まで死なせた。自分を制御できない。触れたら終わり――そんな力を持っている」

「それが君の力の特性だ。どうしても嫌だと言うなら、それを理解し制御する方法を見つけてみせろ」


エレナの言葉は論理的で、リオは反論できなかった。リオは、自分の指先を見つめた。指先には、微かな熱が走る。その熱が、指先から手首へ、手首から腕へと伝わる。肋骨が、内側から押される。


「リオ、次の作戦が決まった」


ゼロがリオの元へとやってきた。


「次の作戦……?」

「ホロウスパイア包囲作戦だ。浮遊都市を制圧する作戦だ」


リオは頷いた。肩に、見えない重りがのしかかる。また、人を殺すことになる。その事実が、リオの背骨を押し下げる。


「リオ、生きて贖え」


ゼロがリオの肩を叩いた。


「でも、僕は……自分を制御できない。死ねば全て終わるのでは……」

「リオ、それは違う。死んですべてから逃げようとするな。何度でも言うが、生きて償うしかないんだ」


ゼロの言葉は重く、リオの胸に響く。リオは、自分の指先を見つめた。指先には、微かな熱が走る。それは、呪詛の力の証だった。その熱が、指先から手首へ、手首から腕へと伝わる。胸の中心が、重くなる。自分を制御できない恐怖が、リオの心を侵食していく。


ホロウスパイア包囲作戦――それは、敵連合の政治・宗教の中心地を制圧する作戦だ。リオは、また人を殺すことになる。その事実が、リオの背骨を押し下げる。浮遊都市の空で、リオが何を見つけるのか。それは、まだ誰にも分からない。

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