6-5. 撤退と混乱
リオたちは、急いで坑道を進んでいく。後ろから、敵兵たちの声が聞こえてきた。
「換気坑から侵入された!」
「火薬庫に何か仕掛けられた!」
敵兵たちが、混乱していた。リオたちは、その隙に距離を取った。
「リオ、坑道の出口は前方だ。急げ」
ゼロが指示を出した。リオは頷き、急いで進んでいく。
坑道の出口に近づくと、テオが待っていた。テオは、陽動を続けていた。敵兵たちは、まだテオの方向へと注意を向けている。
「テオ、撤退する。バルド、殿を頼む」
ゼロが指示を出した。テオは無言で頷き、雷の魔刀を収めた。バルドは重い盾を構え、隊の最後尾に回った。
リオたちは、急いで斜面を登った。後ろから、敵兵たちの声が聞こえてきた。
「敵が逃げている!」
「追撃せよ!」
敵兵たちが、リオたちを追いかけてきた。だが、バルドが重い盾で敵の攻撃を防いでいる。
「バルド、敵の追撃を防げ。リオたちを守れ」
ゼロが指示を出した。バルドは無言で頷き、重い盾で敵の攻撃を防いでいる。
リオたちは、急いで斜面を登っていく。後ろから、敵兵たちの声が聞こえてきた。
「火薬庫が爆発する!」
「急いで避難せよ!」
敵兵たちが、混乱していた。リオたちは、その隙に距離を取った。
三十分後、爆発音が響いた。音は、谷全体に響き渡った。火薬庫は、轟音と共に崩壊し始めた。音は、リオの鼓膜を震わせる。
火薬庫の崩壊は、黒曜谷全体を揺るがした。整備された輸送路は崩落し、敵連合の補給線は寸断された。黒曜谷全体が、煙と炎に包まれた。その煙は、空に立ち上り、その炎は、谷を照らしている。
「作戦は成功だ。火薬庫の破壊で、敵連合の補給線が寸断された」
エレナが記録を取りながら、報告した。
「リオ・アーデン、君の力は予想以上に有効だった。切り傷を負った兵士は、すべて後方で治療不能となっている」
その言葉に、リオの胸が締め付けられる。治療不能――それは、死を意味する。リオは、自分の指先を見つめた。指先には、微かな熱が走る。その熱が、指先から手首へ、手首から腕へと伝わる。胸の中心が、重くなる。
「僕は……そんなつもりではなかったのに」
「これは戦争だ。いい加減、自分を認めて有用性を認めたらどうだ」
エレナの言葉は論理的で、リオは反論できなかった。リオは、目を閉じた。目を閉じても、指先に走る熱は消えない。その熱が、指先から手首へ、手首から腕へと伝わる。肋骨が、内側から押される。
「リオ、帰還する。前線基地に戻ろう」
ゼロがリオの肩を叩いた。リオは頷き、隊員たちと共に前線基地へと向かった。
帰路、リオは後ろを振り返った。黒曜谷は、煙に包まれていた。その中で、リオが切り裂いた敵兵たちが、治療不能の患者として苦しんでいる。
「また、同じことを繰り返してしまった」
リオは心の中で呟いた。しかし、約束を果たすため、リオは前進を続けるしかなかった。
バルドは、最後まで殿を務め、敵の追撃を防いでいた。リオたちは、無事に前線基地へと帰還することができた。
「リオ、お疲れ様だ。作戦は成功した」
ゼロがリオに声をかけた。リオは頷いた。肩に、見えない重りがのしかかる。リオは、背筋を伸ばそうとした。だが、その重りが、リオの背骨を押し下げる。
「でも、僕は……また人を殺してしまった」
「リオ、これは戦争だ」
ゼロの言葉は、リオの心に響かなかった。リオは、目を閉じた。目を閉じても、指先に走る熱は消えない。それは、呪詛の力の証だった。その熱が、指先から手首へ、手首から腕へと伝わる。胸の中心が、重くなる。自分を制御できない――それは、リオが最も恐れていることだった。
前線基地に戻れば、何が待っているのか。リオは、まだ知らない。黒曜谷で切り裂いた敵兵たちの運命が、リオの運命を決定的に変えることになることを。
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