義務教育に有給休暇を
人は十分な休息なしには活動できません。不眠不休というのは不可能で、もし活動できたとしても、それはベストパフォーマンスからは程遠いものでしょう。
私の兄はよく試験前に徹夜漬けをします。ですが毎回テストが返ってくる頃には、試験中に寝てしまったから点数が悪かったと母に言い訳をしています。テストで寝てしまうくらいなら前日にさっさと寝てしまえば良いのに、兄は懲りずに徹夜漬けをやめません。私自身も若い頃徹夜に挑戦したことがありますが、これはどうにも良くありませんでした。授業中に居眠りはするし、休み時間のドッチボールでは格好の的であり、頭はまったく使い物にならず相手が何を言っているのか半分も理解できず、それに対して自分が何を言ったのかもあやふやです。
活動し続けることは動物的に不可能です。理科の授業で、イルカは泳ぎながら寝るということを教わりました。水中の動物であっても休むことは必要であることを意味しており、ひいては生物全体に同じことが言えそうです。残念ながら我々人間は歩きながら寝ることは出来ませんが、寝ぼけながら歩く人を見掛けるのは、忙しすぎる現代社会が産んだ新人類の兆候かもしれません。
日本において、義務教育期間中は土日祝が休みであります。しかしいつも思うのはもっと休みがあっても良いのではないか、ということです。場合にもよりましょうが、朝早くに起き、学校に行き、知識を詰め込むかたわら交遊関係には絶えず気に掛けなくてはならず、放課後は部活や学習塾習い事と活動の連続です。それでいて週7日のうち2日しか休めないというのはどうなのでありましょう?
どうですか、皆さん。義務教育期間中に有給休暇制度を導入してみませんか?
子供だって疲れた時は休みたいのです。それが我々子供にはあまり良しとされないのは納得がいきません。子供だって土日だけでは足らず、平日に休みたくなることがありますが、これはなぜか良い目で見られない。そもそも休むことが前提に無い義務教育の制度が私には疑問です。
休まずに皆勤賞を貰うことは気分の良いことですが、貰えないとなると悔しくて、いざ体調が悪いときに休むことを躊躇わせます。もし義務教育期間を全て皆勤賞のために過ごすとなると9年間無欠席となります。大人の皆さんならこれがどれほど難しいことかお分かりかと思います。だいたい義務という言葉の重みが休むことを躊躇わせているのです。ゆとり教育は良い制度でした。父も母もゆとり世代でありますが、話を聞くたびに時代の豊かさを感じます。
義務教育の中で有給制度を導入するメリットは休みが増えることだけではありません。
例えば自分で一週間の予定を計画的に立てられるようになるでしょう。安易に休めばもう休めないと思い毎日を大事に過ごすでしょう。なんとなく学校へ行きたくない時、有給を使えば体調不良の心配をされません。急な欠席は目立ってしまいますが、有給であればみな同じ条件だから周囲から浮くということもありません。休んでいても白い目で見られないのです。
こうして義務教育のうちに休み方を学ぶことで、大人になってからも上手く活動を続けることが出来る休み方を身に付けられるのです。
大人ですら有給制度があって然るべきこの時代。体力のあるはずの大人が休むのであれば、体力のない我々子供が休まないのはおかしな話です。
私は義務教育に有給休暇制度の導入、そしてゆとり教育の復活を公約に掲げます。