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集団社会体育

 私の友人達はよくこんな愚痴を言います。

「学校の勉強が大人になったときの役に立つとは思えない」「そうだそうだ、算数はパソコンがあるから計算させればいい」「それに社会も理科もAIが教えてくれるぞ」「歴史の年号なんて大人達が使っているとこを見たことがない」「英語のリアルタイム翻訳だってある」「漢字を読み違える大人もいるけど、読み上げ機能を使えば困らないと思う」

そうして最後には「学校に行く意味ってないよな」と口を揃えて言います。

 ある時これらのことを田中先生に訴えた友人がいました。すると先生は「今勉強をしておかないと、大人になったとき困るんだ。先生もみんなと同じ気持ちで学校に通っていたが、今にして思えばもっとちゃんと勉強しておくべきだったと後悔しているよ」と仰いました。私たちは先生も同じ気持ちであったという言葉に心を打たれ、とりあえず先生の授業は真面目に聞いていますが、心のどこかにこれは将来役に立つのだろうかという気持ちを抱えながら黒板を眺めることがあります。

 学習塾の友人達も、時々同じことを言います。わざわざ放課後にも勉強しに来ているのにそんなことを思っているのですから不思議なものです。

 ところで多くの子供達が学校の授業に意味がないと色々な科目について言及していますが、妙なことに体育に関しては誰も文句を言いません。この先の人生で跳び箱を飛んだり、鉄棒で回ったり、人にボールをぶつけられて顔面はセーフだと喜ぶこともないかと思うのですが、我々子供達は一生懸命に飛んだり走ったり、マットの上をごろんごろんと回ります。

 学校で学ぶことに重要でないものはないのかもしれません。義務教育とは大人になる時に必要な知識を、日本国民であるために必要な、大人として義務レベルのことを学ぶ期間なのかもしれません。

 そう考えると、跳び箱を飛んだり、大縄に引っ掛からないようにするよりも、生きていく上で必要な運動を身に付けた方が良いのではないでしょうか。

 国語が文字の読み書きに必要なように、算数が買い物の時に必要なように、体育で学んだ運動が大人になって生きていくのに役立つべきではないでしょうか。

 例えば満員電車に乗るとき、まず充分な体幹が必要であります。日本には押しくらまんじゅう押されて泣くなという満員電車を予見したような伝統的な遊びがあります。相撲もまた日本人の象徴的運動と言えます。我が国は昔から狭いところにぎゅうぎゅうになるのが好きらしく、日本人なら人間同士で押し合う技術は学んでおくべきでしょう。

 大縄飛びはタイミングが大切ですが、タイミングが大事なのはエスカレーターに乗るときや、改札で後ろに人がいる時も同じです。連帯感や集団行動は日本人の得意とするとこであります。学校には跳び箱の代わりに改札を置き、引っ掛からないように練習をするのを体育の授業で行えば、将来に活きる知識となることは間違いありません。

 学年が上がるにつれ運動は複雑になります。満員電車でドア付近にいた場合、降りる人のために一度ホームに降り再び乗り直す運動、改札に引っ掛からないように切符の準備をしておく運動、信号が変わったら素早く渡り点滅し始めたら走り抜ける運動、規則正しく階段を上りきり渋滞を起こさない運動など、日常社会生活上に必要な運動は案外高度に出来上がっていることを義務教育で教えるべきであります。

 逆上がりが出来なくても通勤ラッシュの人混みを乱さないよう歩ける人でありたい。二重跳びが出来なくても整列乗車のできる人でありたい。私は日常に潜む運動神経を使う動作への訓練を義務教育に取り入れるべきではないかと言いたいのであります。

 ただし、義務教育はあくまで社会生活を営む上で必要な知識を養う期間であることを忘れてはいけません。教育は人生を豊かに、社会を円滑にするためにあります。それを忘れた教育機関が腐敗していくのは、皆さんもご存知の通りでしょう。

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