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憎まれ救世主 ~優しき青年が授かったのは、憎まれる程に強くなる力~  作者: お米うまい
第三章 全身鎧と猫耳忍者

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第197話 ファンクラブの正体と現状

「なるほど。アンタ等、元々は城に勤めていた正規兵か……」


 酒場に居た男達から話を聞いた研一は、納得したように一つ頷く。


 どうやら男達は元は城に勤めていたものの、ミリティ達獣人を魔族に引き渡すとリティアが決めた際、考え直すように進言したところ――


 城から追い出されてしまった、という話であった。


 ――決して、ミリティファンクラブの男達という訳でなく、それは悪党の演技をしている研一が、悪ふざけで呼んだだけである。


「元々は獣人達に混じって俺達も戦っていたし、一緒に前線で国を守ってきたんだ。どれだけ心強いか知ってるし、アイツ等の力無しじゃ国を守れないなんて解かってるつもりだ。それなのにあの女と来たら、俺達を差し置いて、戦った事も禄にない癖に文句ばかり言ってる奴等を重宝しやがって……」


 元正規兵の話を聞いていて解かった事だが――


 どうやら現場で共に働いていた側からすれば、獣人達の評判は、それ程悪くはないというか、むしろ良好ですらあったらしい。


 というのも国の乗っ取りを企んでいたのは、どちらかというと一線を退いた者がほとんどで、それに呼応していた若い者というのも――


 色々と問題があって城に雇われる事も出来ず、暇を持て余していた獣人に多かったからだと、ミリティが正規兵との会話の裏で補足してくれた。


(つまり何だ? 関係ない連中ばかりが、声デカく騒ぎまくってた話なのか?)


 人間側で文句や差別的な言葉で攻撃していたのは、魔族や魔獣達と戦った事もなく、街の中だけを警備していた者達。


 獣人側で今こそ下剋上だと喚いていたのは、一線を引いた老人と引き籠り。


 呆れる研一であるが、こんな事は別に珍しい事ではない。


 安全圏で守られ、自分が一方的に攻撃出来る立場にある者や、暇や時間を持て余した者が、異様な攻撃性を示す事は、地球でも多々多々見られる傾向だ。


「俺達だってもっと表立って抵抗したいが、それじゃあ国は守る方法があるのか? 綺麗事じゃない方法があるのか言ってみろって流れにゃ、悔しいが逆らえねえ……」


 そして、どうやら戦いと無縁の非戦闘員からしてみれば、自分達の身が守れるのなら、差別とか関係なく、獣人がどうなってもいいらしい。


 おそらく差別がどうとか難しい問題でなく、自分や知り合いが犠牲にならないなら。


 代わりの犠牲もやむなし、という事なのだろう。


(胸糞悪くなる話ではあるけど――)


 心の中では、敵扱いしたくはあるが、仕方なく目を瞑る。


 この手の連中は自分の身が可愛いだけであり、魔族さえ追い払い脅威さえなくなれば、無駄に獣人への攻撃などもしないだろう。


 この辺の層まで相手取る余裕は、今の研一達にはない。


「……アンタからすりゃ言い訳にしか聞こえねえだろうが――」


 呆れたり憤って黙り込んでいる研一の姿を、無言の非難とでも思ったのだろう。


 聞いてもいないのに男達が言い訳を始めていく。


「これでも何もしなかった訳じゃねえんだぜ。獣人達が逃げ出す手引きをしたのも俺達だし、野営地に密かに物資を流してる」


「逆にあの気取った孤高気取りの女党首様に、良質な食料品とかが流れないように、裏で手を回したりな」


 どうやらミリティ達獣人の危機に、何もしてなかった訳ではないらしい。


 言われてみれば、国から逃げ回っている割に野営地で過ごしている筈のミリティやウルススも困窮しているようには見えなかったし。


 城で出された料理がマズかったのも、調理以前に素材そのものが悪かったのかもしれない。


「そんな狡い嫌がらせしてる暇あるなら、あの女党首を倒しちまえばよかったろうに……」


「アレで党首としては優秀というか、ウチは武具の輸出で儲けてる部分あるからな。あんな党首でも居なくなられると色々困るというか――」


(あんな国の代表としてどうかと思う態度でも、経営とかは優秀なんだ……)


 ミリティが自分よりも党首に向いていると告げていたのは、何も獣人問題だけが理由ではないらしい。


 とはいえ、それでも現状を考えるに誰も打倒に動かなかったと思う研一であったが――


「それにあんなのどうやって、倒せって言うんだよ……」


「え? アイツ、そんなに強いの?」


 その疑問に答えるように、ぼそりと呟かれた声に驚きを隠せない。


 今までの話を聞いている感じ、ファブリス国で一番強いのはミリティの筈。


 そのミリティに加えてウルススや元正規兵の男達が居れば、仮にミリティが性格的に昔馴染みを殺すのを良しとし、消極的な協力しかしなかったとしても――


 生け捕りにしてしまう事さえ容易く研一は思っていたのだが、そんなにリティアは強いのだろうか。

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