第184話 くノ一より女忍者の方がエロく感じる
「……随分と変わった布地でござるな。貴重そうだし、丁重に扱った方がよいでござるな」
半分眠ったままの研一の頭に、聞き慣れない声が響いてきた。
まだ覚醒し切ってない状態では事態の異常さに気付かず、ただぼんやりと下半身にごそごそとした違和感を覚えていたが――
(……なんか今日、寒いな)
急に足に涼しさというか、直接風が当たるような感覚に、導かれるように足へと目を向ける。
その途端、あまりにも予想外の光景が研一の視界に飛び込んできて、驚き過ぎて逆に声も出ない。
(え、いや、なに?)
ズボンを脱がされていた。
寝起きでぼやけた目では上手く見えないが声の感じからして、おそらく女だろう。
とはいえ、性別が解かったからって混乱が収まる訳がない。
「む? 下衣の中に、更に下衣を穿いているとは随分と面妖な……」
あまりにも突然過ぎる事態に、戸惑う研一を尻目に。
不思議そうな様子でパンツを眺める声が響いてくるが、自分の目的が異文化の分析でないと女は気付いたようだ。
おもむろに、パンツを手を掛ける。
「いざ、御開帳!」
「御開帳じゃねえよ!?」
叫び声と共に、研一は思わず女の頭を勢い任せに叩いてしまう。
余程の事がなければ男だろうが女だろうが、手を出さないように心掛けている研一だが、この時ばかりは、反射的に手が動いていた。
「な、何をするでござるか……」
「それはこっちの台詞だ! てめぇの方こそ何してやがる!?」
まるで自分は何も悪い事をしていないというような女の態度に、もはや慣れてしまった悪党演技が意識せずに飛び出す。
むしろ何で俺が文句を言われるんだと、怒りすら覚えていた。
(この人は確か……)
そこでようやく頭が覚醒してきたのか。
寝ぼけ眼でぼんやりしていた視界が鮮明に映り出し、パンツに手を掛けたままの女の姿を把握する。
「ミリティ、だったな? もう一度聞くが、これは何の真似だ?」
その特徴的な猫耳は、一度見たら忘れられない。
というか、姿なんて見えなくても、冷静になれば特徴的な口調と声色から誰かなんて判別出来ていただろうが――
今大事なのは、正体よりもミリティの目的だ。
「夜這い、夜伽、夜のご奉仕。好きな言葉を選んでほしいでござる」
「……言い方を変えてやる。お前等の為に戦ってやるって契約はした筈だ。報酬の先払いやご機嫌取りでもしなきゃならねえ程、てめえ等は俺が信用ならねえってか!!」
かつて、似たような状況を研一は経験している。
その時はプロディという名前のメイドの格好をした女性に襲われそうになったが、同じように信用を持ち出して恫喝すれば退いてくれた。
普通で考えれば、ご機嫌取りに来たのだろうから機嫌を損ねるかもしれないとなれば、前の時と同じように引いてくれるだろうと、研一は確信に似た思いを抱いていた。
けれど――
「はい。信用ならないでござる」
ミリティは迷いなく研一への不信を告げると――
呆気に取られて止まってしまった研一のパンツを、流れるように鮮やかに脱がしてしまう。
――寝転がった姿勢で、どうやったそこまでスムーズに脱がせるのかと、呆気に取られてしまう程、見事な業前であった。
「こ、これが殿方の物……」
寝起きだったのもある。
だが、ずっとミリティの顔以外は見ないようにしていた研一ではあるものの、夜這いに来たなんて言っている所から想像出来るかもしれないが――
最初からずっと、ミリティは一糸纏わぬ姿なのだ。
(何でここまで作業みたいだったのに、今更恥ずかしそうにするんだよ!)
そしてセンとの一見以来、研一は失っていた男としての大事な何かを取り戻してしまっている。
そんな状態で可愛い女の子が裸で下半身に縋り付いてきて。
何か顔を赤らめつつも、満更でもなさそうな態度なんてされれば、色々と元気になってしまうのも当然と言える訳で。
「あ、もっと大きく……」
男性の神秘を目にしたミリティの口から、思わず声が漏れる。
そこに嫌悪や恐怖といったモノはなく。
興味や好奇とといった、始めて目にする事への期待が見え隠れしていた。
「こ、これがその、上の口と違って正直というヤツなのでござるな……」
「うるせえよ!」
信用問題を持ち出しても引いてくれない予想外さ。
そして、恥ずかしさとに思わず流されるままになっていが、照れ臭そうに茶化すミリティの言葉のお陰で、ようやく研一にも突っ込むくらいの気力は出てきた。
「というか離れやがれ、この変態忍者!」
このままでは勢いのままに既成事実を作られ兼ねないと考えた研一は、勢いのままにミリティの身体を掴むと――
そのまま無理やり引き剥がす。
「いいか、俺が信用ならないって言うなら、まずは会話しろ。いきなり実力行使になんか出るんじゃねえよ」
そして、距離が開いた隙に急いで近くにあったパンツとズボンを手に取ると――
身体能力に任せて、超高速で履き直して身構える。
これでミリティが異様な脱衣技術でも持ってない限り、再び脱がされる事はないだろう。
「そんな、ここまで来て御無体な……」
これからまさに、夜の御奉仕を始められると思っていたのだろう。
あまりにも釣れない研一の完全防御態勢に、ミリティは力なく項垂れたのであった。
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