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高校生までは気づけないこと  作者: にーにー
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有名になりたい?

有名になりたい?そんなこと言ったかな?

瑠美と遊んだあの日から、しばらく経った。ゴールデンウィークも終わり、暑かったり涼しかったりする日が続く。予備校の周りの街の賑わいもすっかり落ち着いた。予備校で仲良くなった子もいるけど、そういえばここ1週間は予備校に来ていない。今はどうしているんだろう。でも人のことを気にしている場合ではないと思って、また自習室で授業の復習をしていた。その時にふと、瑠美と遊んだ時の会話が蘇る。

「ねえ、高1か高2の時に有名になりたいとかなんとか言ってなかったっけ?」

昼ごはんのピザを食べている時、瑠美はそんなことを言ってきた。そんなことを言ったのかもしれないけど、2〜3年も前の会話なんて覚えているはずもない。その時はそんなこと言ったっけとスルーした。でも、確かにそんなことを言ったかもしれない。いや、確か言った。ふとそのことを思い出した。


確か高1の秋頃だったと思う。夏休みの模試の成績表を親に見せて、親に勉強から逃げていると言われたのが嫌でたまらなかった。それから家に居づらくて、週末に学校帰りにそのまま電車に乗って親戚の家に泊まりに行った。あのときは確かに親の言うとおり勉強…どころか学校生活そのものから逃げていたと言っても過言ではない。

その親戚の家に泊まりに行く前だったか後だったか、確か有名になりたいとか言った気がする。休み時間だったか放課後に、瑠美と制服姿で一緒に学校の廊下を歩いているときだった。確かそのときたまたま廊下に、他校の高校生が研究のコンテストで入賞したとかそんな新聞記事の貼り紙があった。その高校生というのは、確か私が滑り止めに受けた私立高校の生徒だった。

それを見て、私もこうして新聞に取り上げられて有名になりたいと言ったのだ。ただ研究がしたいなんて言っても、戯言と思われるだけで誰にも認めてもらえる気がしない。でも、新聞で取り上げられて有名になれたら流石に認めてもらえるかもしれない。そう考えての発言だった。

「それは有名になりたいんじゃなくて、研究がしたいんじゃん」

有名になりたいと言ったすぐ後に、瑠美にこう言われた。言いたいことを全て代弁されてしまったのだ。結局、高2の時にその新聞記事で見た研究コンテストに応募した。結果は一次審査も通過せず振るわなかったけれど、自分の好きな研究を発信できるあのときは至福の時間だった。

今は有名になりたいとそこまで思わない。大学で研究できる日を夢見てまた受験勉強に戻る。

人間、やりたいことを追いかけてるのが1番楽しいのだ

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