起章 3
なんでこんな目に合わなくちゃいけないんだ!?
僕が一体何をしたっていうんだよ!?
こんな不細工で根暗なボッチはいきてちゃいけないのかよ!?
そう何に対してぶつけていいのかも分からない感情をひたすら吐き出していると「バタン!!」と何かがぶつかる音がした。
そして
「おい!大丈夫か!?」
「シュウ、どうしたの?」
という2つの声が聞こえた。
そして2つの大きな体は僕に覆いかぶさり抱きしめられた。
とても暖かかった・・・
◇◇◇
2つの大きく優しい暖かさに包まれて、気分も少しは落ち着いた。
まず目に飛び込んできたのは、僕を抱きしめる2人の大人。
1人は男でがっしりとした上半身だ。
もう1人は女で、女性特有?(実際にはしならいけど)の柔らかい体だ。
そんな2人が僕のことをとても心配そうに抱きしめながら覗きこんでいた。
「シュウ、急に大声出してどうした?怖い夢でも見たのか?」
「あなた、声が大きい」
どうやらこの2人は夫婦みたいだ。
でも僕の知っている父とは顔も声も違うし、なによりも母は死んでいないはずだ。
それに言葉が日本語じゃない・・・けど、なぜか理解できる。
「シュウ。あなたが眠るまでお母さんが傍にいてあげますから、安心しておやすみなさい」
「お、お父さんも傍にいるぞ?うん」
少しひんやりする女性の手を額に感じながら僕は眠くなってきた。
朝。
太陽の光を瞼の向こうに感じながら目を開けると、見慣れぬ天井が視界に広がった。
周りを見ても僕の知る部屋じゃなかった。
起き上がりベッドから降りようとした時、身体に違和感を感じた。
・・・身体、縮んだ?
手や足を見てみると、見慣れたいつもの長さじゃなくなっていた。
「っ!なんだこれ!?」
声を出すと、声もいつもの声ではなくなっていた。
益々自分の置かれている状況が解らずパニックになる。
身体も思うように動かず、よくアニメで見る酔っぱらいのような動きになってしまい遂には転んでしまった。
そこに、扉を開けて昨日聞いた女性の声の持ち主が入ってきて、
「おはよう、シュウ。ベッドから落ちちゃったの?」
と今の状況を見てそう判断したのだろう、そう声をかけてきた。
僕は未だにパニックから抜け出せていないが、「おはよう」と言われたので
「お、おはようございます」
と返事した。
女性はニッコリと笑顔になり
「朝ごはん出来てるわよ?一緒に食べましょう。」
と嬉しそうに返してきた。
何ていうか可愛らしい人だな。
それが第一印象だった。
年齢は僕より上なのは間違いないだろう。20才くらいか?
慎重に起き上がり深呼吸をする。
「落ち着け、落ち着くんだ」
そう自分に言い聞かせ務めて冷静に置かれている状況を整理することにした。
今回は3ページ同時にアップしましたが
1ページ/週を目安に投稿していく予定です。