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2 男の運命は変わる?

すると、


まあ、そう怒るなと、


虚空から姿を現す。


愉快そうに笑いながら、


目の前に10歳くらいの少年が現れた。


すると、少年は魔族に近寄っていく。


俺は危ないと声を掛けようとするが、


あんな登場の仕方をした存在が弱いはずがないとそれをやめる。


・・・もしかして、そいつの仲間か!?


きっと少年はそいつの治療をしようとしているのだと判断する。


俺は即座に隙をついて命を生きながらえる方法を模索する。



わずかな時間のうちにいくつかの考えが浮かんだが、


それを実行に移すことはなく終わる。



魔族の女が宙に浮く。


浮遊魔法かっ!?


すると確認するように


女の体を確認する。


「ははは、本当に致命傷だ。


あと数分くらいで息もできなくなっちゃうくらい。」


そして少年はこちらを向いた。


「この娘って、魔王の幹部なんでしょう?」


「・・・そうらしいな。」


その答えに満足したのか、


少年は再び大声で笑う。


「ははは・・・すごいや。


まさかあんなものを持っていて、


そんなのに勝っちゃうなんて、君どうなっちゃってるの?」


「あんなもの?」


「というかよくここまで生きてこれたよね。」


俄然君に興味が出てきた。


少年の意識がこちらに向く。


けれども、殺気やれ殺意やれと言ったものは特に感じない。


それもそのはず、かの少年が抱いたのは本当に言葉通りの興味。


動物園で奇妙な生き物を見て、


飼いたいと言い出す子供のそれだ。


すると、


少年は顎に手を当て、悩みだした。


「う~ん・・・でも・・・う~ん・・・。


君ってこのままだったら、


町に引きこもったり、


聖堂なんかで治癒術師のようなことをし始めちゃうよね?」


このままというのが、


そんな状態化はわからないが、


これが最後の冒険者としての仕事だ。



「面白そうだから、君のそれ反転させえあげる。」


俺が反応を示そうとした瞬間、


少年が目の前に現れ、俺の腹に手を突き立てる。


腹に大穴が開いた。


・・・死んだ。



少年は手を引き抜く。


俺の最期・・・死にざまは絶世の美少年に看取られることになるらしい。



・・・と思ったんだが、


痛みのいの字すら感じない。


腹に触れるが、


手に血の痕跡すらない。


腹を見るけれども同様だ。



・・・一体何をされた?


時限式の術か?はたまた遅効性の・・・いや・・・それは考えにくい。


こいつは今この瞬間、簡単に俺を殺せた。


「反転?」


「正解。


まあ、君に反転といっても何を指し示すかわからないだろうけどね。」


少年は性根が歪みきっているのか、


心底こちらの反応が楽しみだといった反応を見せる


「少年が性根?ぷっ・・・。」


・・・予想外にも妙なダジャレを考えてしまった。


と自己嫌悪に陥りながら、考える。


・・・まあ、心が読まれていることには驚くまい。


反転・・・意味は反対に転がす。


きっとこの反対と転がすという変化がきもなのだろう。


「せいか~いっ!


君の運命を反対にしたんだ。


強いて言うなら・・・絶対勝利ってところかな?」


「絶対勝利?」


絶対敗北・・・これが俺に元あった運命。


その逆の勝利・・・ということは・・・。


「またまた正解・・・もう流石にこの問答には飽きてきたから、


こちらの要望を聞いてもらおうかな?」


飽きっぽいところはまるで子供だ。


そしてついでに言うならば、自分の要件のみを通さんとするところも。


子供の額に青筋が浮かぶ。


・・・なんでもないです。


「君には面白いことをしてほしい。


できなければ、神であるこの僕が殺すから。」


・・・殺す?


神?


ああ・・・神様ってあれか?


神官どもの信仰の対象になったり、


天使を使役し、


人間に知恵や能力を与えたり、


はたまた気に入らない国や地域を焦土にしたという・・・。


・・・笑えない。


一難去ってまた一難。


これはまさにこのことだろう。




俺は話を逸らすべく、


何かを探す。


・・・あの魔族の女だ。


興味が引かれている様子が全く窺えなかったが、


他にないのだから仕方がないだろう。


俺は自分を殺そうとした嗜虐的な女を見つめる。



心が読まれていることなんかはどこかに行った。


けれども、彼?はこちらの会話に乗ってきてくれた。



「殺すのか?」


「うん?


いや、それはどうでもいいかな?


君が決めるといいよ。」


俺が決めえること?


少年は俺の反応を観察する。


これが一つ目の試練ということか・・・。


どうするのが一番か?


・・・ヒントを・・・。


「ところで、あんたに面白いことってどんなことだ?」


「う~ん・・・血沸き肉躍るみたいなこと・・・かな?」


殺す。


この女を殺さないと・・・


・・・なんて風にはいくまい。


これはある種の神の試練。


言ったことに従う。


こんなやつが面白いか?


こんな下界くんだりまで来て、


そんな存在の前に姿を現すか?


答えは否だ。


そんなやつが欲しいならば、信仰心の篤い者を選ぶだろう。


俺より扱いやすそうなやつはごまんといる。



なら逆はどうだ?


殺さない。


これもまたおそらくはハズレだろう。


言ったことの逆



こいつが求めるのは、


恐らくは自分では思いつかないようなこと。


自分なら絶対にしないようなこと。



正解はまさに神のみぞ知り、知らないところ・・・。


・・・これは賭けだ。



地面に丸を書いて、


中心から線を引く。


そして、線を引いた棒を円の中心に置く。



「なにしてるの?」


心底不思議だといった表情を作る。


やろうとしていることは理解したのだろうが、


それが不思議だといった表情。


「人生初の神頼みだ。」


俺はそう言い切り、


棒を離した。


「ふ~ん・・・やっぱり君って面白いな。」


どうやら神とやらの試練は成功したようだ。


俺が安心したのがわかったのだろう。


きっとそれがあいつには気に入らなかった。


「君には罰をあげる。神をおちょくった罰だ。」


少年は楽しそうにそう言ってある魔法を掛け、


どこかに消えてしまった。



そして、男の手の甲には鍵のような、


女の首には首輪のようなそれぞれ異なった紋章が浮かぶのであった。



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