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6話 再戦、その後…

俺らは今、パトカーに乗っている。

まぁ当然といえば当然だろう、なんせ俺は刀を持ち、聖はアレに襲われ、守は…まぁ特にはない。ただ向かっている場所が同じだから乗っている。

そう俺らが向かっているのは警察署ではなく学校なのだ。



それは、俺がアレを倒した後のことである。


「こいつはたまげたなぁ、さすがは剣持家と言ったところか。」

年配の刑事は腰を抜かしているのか、座ったまま驚いていた。

まぁ正直俺も、前見たヤツと違ったから斬れるか分からなかったが、斬れるとわかっただけ一安心していた。


後ろから聖と前田と呼ばれていた刑事が俺の方へ近づいてきた。

聖は何も言わずに目から涙を流しながら俺に抱きついてきた。

相当怖かったのだろう、未だに体が震えている。

俺は、「もう大丈夫だから落ち着きな。」と、聖の頭を優しく撫でた。


少しして聖が落ち着いた頃に、守もこちらへとやって来て刑事たちとのやり取りが始まった。


「さてと、じゃあまず剣持家のお前さん。刀を渡してもらおうか。」

この刑事は羅門と言うらしい。

まぁ、刀は銃刀法違反に関わっているし当然と言えば当然だろう。

俺は渋々刀を渡すと同時に、前田刑事に手錠をかけられた。

「ちょっと待った刑事さん。勇斗が何したって言うんだよ!手錠なんておかしいだろ。」

守が前田刑事の胸ぐらを掴みながら、強気な口調で言っていたが、俺は守を前田刑事から離した。

「落ち着け守。それ以上すると公務執行妨害出されるぞ。前田刑事どうもすみませんでした。」

俺は前田刑事に深々とお辞儀をし、それを見た前田刑事もズボンの後ろにあるのであろう手錠に手をかけるのを辞めてくれた。


「勇斗君、止めてくれてありがとう。これでも一応仕事だからね、警察署までは勘弁して欲しい。」

前田刑事の申し訳なさそうな声に、守も諦めがついたのか黙ってしまった。


沈黙が少し起こったこの状況、なにか言葉を出そうかと思ったが、ここで聖が声を出した。

「あの…刑事さん達、よかったら一緒に学校へと行ってくれませんか?」

まぁあんな怖い思いをしたあとじゃ歩くのが怖いのも無理ないかとみんな思っただろう。

だが、聖は意外な一言を言い放った。

「校長先生なら、多分全て知ってるんだと思います。なので、勇斗と守も一緒に全員で学校へと行きましょう。」


刑事達は、少し2人で話すと言って、少し遠くの木の陰に歩いていった。


「それにしても大変だったなぁお前ら。怪我なかったか?」と、守が力の抜けた声で言うもんだから、俺も聖も笑ってしまった。

「守くんは、私たちが大変になってた時居なかったけどどこ行ってたの〜?まったく〜。」

聖が笑いながら守へと質問していた。

まぁ、聖に笑顔が戻って何よりだな。

俺は安堵しつつ守の回答を待った。


「それがよぉ〜腰が抜けてずっと茂みに転がってたんだよ。やっと起き上がれたと思ったら勇斗の前のアレが地面にころがってやんの。」

守はあの一場面をちゃんとは見ていなかったから前田刑事に突っかかったのかと理解した。


「守くんは知ってるけど、勇斗は知らないんだよね。アレについて。」

と俺が斬ったアレを指さしながら話始めようとした時、

「やぁ待たせたなお前さん達、それじゃあ学校へ向かうとするか。それにあたってお前さんの手錠も外していくことになったから。」

そう言いながら羅門刑事は、手錠の鍵を出し、俺の手錠を外した。


少しまだ手首に手錠がかかっていた時の名残りがあるが、手錠を外してくれたのはありがたいことだった。


前田刑事が公園の入口にパトカーを持ってくると、俺達はそこに乗り込んだ。

そうして今に至るわけだ。


でも何故だろう。俺は今、不思議な状況下に置かれている。

俺の両腕を片方ずつ聖と守にギュッと掴まれているのだ。

聖はまぁ怖いのもあるだろうからわかるが、何故に守にまで掴まれているのだろうか。

特になにか怖い目にあった訳でもないと思うのだが。

「なぁ守。何故俺の腕を掴んでいる?気味が悪いぞ。」

俺は直球で質問してみた。

すると守は、「ふーん、俺はダメで聖はいいんだぁ〜。」

といたずらっ子のような笑みを浮かべながら俺を見てきた。

とたんに俺も恥ずかしくなり、聖に少し手をどかすように言ったが、聖は離してくれなかった。

「青春中すまないが、お嬢ちゃんなぜ校長はなんでも知ってると思ってるか聞かせてくれるかい。」

羅門刑事が助手席からこちらをチラ見して手にはメモの用意をしていた。

聖は、改めて俺を迎えに来る前に校長先生から聞いた話を始めた。


「まずは先程のアレについて。名前は天魔兵と言って、全体が機械で出来ているらしいです。倒すすべはまだ分かってないみたいですけど、一応勇斗の持っていた刀は有効みたいですね。」

聖が俺の方をチラッと見ながら話しているのを俺は見てないフリをしていた。

「そういや剣持家のお前さんはあの刀はどうして持ってたんだ?」

ふと不思議に思ったのか羅門刑事がいきなり俺に問いかけてきた。

「あぁ、それはこの親父の手紙を読んで譲り受けたんです。」

そう言いながら、俺はポケットに入れていた親父からの手紙を取りだした。

それを守と聖が覗き込むと、まぁ分かっていたが同じ言葉を発していた。

「よ、読めない…。」

まぁ当然といえば当然だろう。親父は達筆なのだから。

「これはな、昔母さんに書いてもらった五十音表を見ながら解読するんだ。俺はもう読み終えたけどな。」

羅門刑事にも見せてみたが、読めなかったらしい。直ぐに俺に手紙が戻ってきた。

「で?なんて書いてあったんだよ。」

守が目をキラキラさせながら俺を見てくる。

「まぁ着くまでまだ時間があるから、読んでやるよ。この手紙には重要なことが書かれてるんだ。だから俺は刀を持ち、校長の元に向かおうとしたんだ。」


そう言うと、俺は手紙を読み始めた。

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