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写真写りが異常に悪い男

作者: 僧侶A
掲載日:2019/06/12

俺は何故か昔から写真写りが異常に悪い。どんな感じで悪いかというと、毎回顔が違うのだ。それも本来の顔から連想できないくらいに。


皆は他人に人を紹介する時に写真を見せることがたまにあると思う。ただ、俺に関しては顔が別物になってしまうのでそんなことが出来ないのだ。お見合いなんてした際には相手側から見たら顔が分からないのでステータスだけ分かるガチャになってしまうのだ。


だから俺は一生お見合いや出会い系を使うことはないだろう。何もしなくても詐欺になるからな。


これは他の人達が俺の写真写りのせいで起こる問題だ。とは言っても大したことはないのかもしれない。


深刻なのは俺自身だ。顔が別物だから記念の写真が撮れないのだ。今まで何度か写真をクラスや友達と撮ったことがある。皆からしたら良い写真なのだろう。ただ俺が別人なのである。


俺から見ると知らない人と俺の知り合いが撮った写真である。そんな写真をなんで俺が欲しがるんだろうか。


だから俺は友達との写真が実質無いに等しい。そんなのは寂しいじゃないか。


そんな状況だから俺は昔はどんな顔だったのかがあまり分からない。写真で振り返ろうにも写ってるのは別人なんだから分かりようもない。頼りになるのは俺を書いた絵と鏡で見た自分の顔の記憶である。


こんな俺でも両親は俺の事を見分けられるらしい。どんなに別物の顔で写真に写っていたとしても、一瞬で俺のことを見分けてくれる。本当にありがたいものだ。


とある日、俺にも判別つかない俺の顔をどうやって見極めてるのか聞いてみたことがある。両親いわく愛の力らしい。何を言っているのか分からないけど親は凄いということだけが分かった。


とは言っても写真が別人になるだけなので説明を事前にしておけば特に問題が起こることは無いまま大学生となった。試験の際に顔が別物で替え玉を疑われたこともあったがうちの高校の教師が説明をしてくれてどうにか受験出来た。


そして俺は大学四年になりいよいよ就活の時期になった。ここで初めて大きな問題が生じた。証明写真が別人だから履歴書が偽物みたいになるのである。


今までこういう写真が必要な時は周りの人に助けてもらって生きてきた。他の人に俺だと証明してもらうことで無事切り抜けてきていたのだ。


しかし就活ともなれば俺は1人である。友達に助けてもらおうとしても地位的に企業側に信用してもらえるはずもない。


俺はそれでも諦めるわけにはいかなかった。だから俺は面接の度にカメラを持って行って釈明をすることにした。


しかしあまり上手くいかなかった。よく分からない事情の人を採用するよりは俺と同じくらいの能力の普通の人を採用した方がいいからだ。


本当に写真写りが悪いってのも困りものだ。


結局俺は就活を諦めて配信者として活動を行なっている。毎回顔が変わる変幻自在の男として人気を博している。実際の顔がカメラでは分からないので身バレの心配もいらないし適職なのかもしれない。


何事においてもものは使いようである。


読んでいただきありがとうございます。よろしければ他の作品もご覧ください。

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