7.旅支度1
7話目です。
ふと、ロイカは診療所の二階の医務室兼蘭娥様のお部屋を覗いた。
空っぽの薬瓶、どこから引っ張り出してきたのかわからない地図が机の上を
侵食して、天高く積んだはずの本の数々、が散乱してる…今日の朝にロイが掃除したその部屋は悲惨な有様になっていた。
思わず半目になって呟く。
「…なにしてるんでしゅか。」
蘭娥はどこにいるのかと思えば床座り込んで大きな茶色のトランクスに服を詰め、どこからか取り出してきた革靴を磨いている。
「…まぁ、だな。秘薬を探しに旅支度ってとこだよ。」
「…」
「そんな冷たい顔しないでーほらほらロイカ〜〜!」
冷たい顔はしてない呆れてるだけだ。
はぁ、しょうがないでしゅね。
「お伴しましゅよ?神の職務なら仕方ないじゃないでしゅか。」
「ロイカぁ…表情が変わって無いぞ。まぁ付いてきてくれるのは有難いな、元々ロイカに付いてきてくれと頼むつもりだったし。…早速ロイカの旅支度も整えないとなぁ。」
昔私が使ってたのがあるからちょっと待ってくれ、と蘭娥は物置の方に行ってしまった。
そういえば、この青磁色のトレンチコートも蘭娥様のお古を頂いたものでしゅしね。つまりは蘭娥様にもこんな背丈の時があったんでしゅか、想像が付かないでしゅ。
…私の分の旅支度、という事はこれ以上に散らかりそうでしゅね。その前にこの惨状をどうにかして片付けて欲しいんでしゅが。
ロイカはそっと溜息をつく。
読んで頂きありがとうございます。
皆んな大好き夜更かしの時間に来週も投稿予定なので良かったら覗いて下さいな。