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世界の何処かの診療所  作者: 青嵐
1章・薬師の弟子
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6.噂


「そういえば、ロイカちゃん。」

ロイカが店番を頼まれたある午後のひととき、診療所に手荒れクリームを買いに来た木の精霊、モラはこの前耳にした噂話を話していった。


なんでもー…東の彼方の方に秘薬を求めに行った男の人(精霊)がいるのだとか。

「秘薬なんてお伽話みたい、その人信じてるのか藁にもすがる思いなのかは知らないけど、病気の奥さん残して旅にでちゃったんだよ!?」


信じられないでしょ。とモラは呆れた声で呟いた。


「ふぅん、そうでしゅね。」


信じられなくとも実際にある事なので仕方ないでしゅ。

特に思う事もなく生返事的、相槌を打った。


*〜〜〜*〜〜〜*〜〜〜*〜〜〜*


今日の夕食はハーブに漬け込んでこんがり焼けた肉と、パンとパセリが水面(みなも)に浮かんだコンスープだ。


診療所にきたその日の昼に一緒に食べようと昼食を出された時は口をあんぐり開けて驚きで固まってしまいましゅた。

…死後の魂も食事なんてするんでしゅね、ついでに神様も。

蘭娥様には、そりゃ、するよ。神々(私たち)は嗜好品程度で食べなくとも餓死する様には出来てないが、魂の維持には毎日では無くとも必要な事だ。と説明されましゅた。

そんな訳で今日も夕食を蘭娥様と共にしているのでしゅ。

夕食を食べながらぽつぽつと喋る。


「今日も診療所には全然患者様がきませんでしゅたね。いつも通りモラさんとあと3人他にいらっしゃった程度で。」

「あぁ、精霊達もほとんど宮古(みやこ)とはいえ町外れの診療所にくるもの好きは少ないからな。」


…こんなとこで診療所を開いている蘭娥様も物好きの一人でしゅよね。


「うっ…物好き…そ、そう褒めないでくれよ〜」

「褒めてないでしゅ。」


「…そもそもが、わざわざここにきて薬を貰うのは自然治癒能力が高い精霊には一般的じゃないんだ。」


「なるほど、この天界で神様や精霊相手に診療所を開く事が間違いなんでしゅね。

…そういえば患者様が妙な噂話をしてましゅたよ。なんでも治す秘薬を探しにいった人がいるとか、なんとか。」


蘭娥のスープを匙で掬う手が止まった。


「…その噂話誰に聞いた!?」


「モラさんでしゅね、木の妖精の。疑わしい話しでしゅけど興味あるんでしゅか?」


「私は医療の神だ。疑わしいモノは回収しなくてはいけない。…なんでもなおる秘薬なんて無いんだよ。」


蘭娥様はそう言って重々しいため息を吐いた。

ー…成る程医療に精通しているとは思いましゅたが医療の神でしゅたか。

神様とやらはどうやらめんどくさくも決められた職務があるらしい。

薬箱背負って旅する神様なんて聞いたことありませんけどね。


「詳しく知りたいな…モラが来たら呼び止めといてくれないか。」


*〜〜〜*〜〜〜*〜〜〜*〜〜〜*


「…って事で、詳しく説明すればいいんだよね、蘭娥先生。」

「ああ、頼む。」

翌週、店番をしていたロイカはやってきたモラを呼び止めた。

蘭娥は診療所の奥の倉庫で薬草の在庫をゴソゴソとさせていた手を休めてモラの話を聞く。


「にしても、先生がそんな根も葉もない噂話に興味があるんなんて知らなかったよ。」

「で、噂の詳細はわかるんでしゅか?」


「えっとね…」


モラが言うには東の彼方、正確には下界の東の国の「倭国」の1番高い山にあるんだとか。

薬の名前は蓬莱の万薬。どうやら高貴な竹の姫が調合したらしいという伝説付きだそうだ。

読んでくださりありがとうございました(*´-`)♪

1週間に一回、土か日に投稿するペースで行きたいな…って思ってます。(小声)


秘薬…欲しいなぁ、風邪を一瞬で治す秘薬とかそこら辺が。

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