51.精霊
お久しぶりです。51話目です。
マヴィムとランガ様との三者面談も終わった次の日、ロイカはツリーハウスのベランダで黄昏ているとミンティーに声をかけられた。
「ロイカ、おはよう。」
「おはようでしゅ。」
ツリーハウスの下はちらほらと精霊が動き回っている。昨日の話を考えて…実際のところ、精霊達の仕事をロイカはよく知らない事に思い至った。
「早朝だというのに、仕事を持つ精霊はもう動き出しているわ。」
「冗談言わないで下しゃい、もうそろそろ昼でしゅよ。マヴィムが中々姐さんが起きてこないと心配してましゅた。」
少し非難めいた声で、ロイカはマヴィムの肩を持った。
「ごめん、ごめん…引退した精霊は精霊でやる事があるの、夜ふかしだってするわ。で、マヴィムは?」
「仕事場に行きましゅた。」
ロイカはため息を吐く。ミンティー姐さんはちょっとのほほんとし過ぎでしゅ。
「…まぁ、そんな時間なのね。そういえば、ロイカは風の精霊の仕事場を見た事あったかな。」
…基本的に風の精霊は、風を大きく繊細にそして自由に操れるようにならないと、大きな仕事を任せては貰えない。なのでまだロイカは風の操作の特訓、全員参加の行事や風の先輩精霊の仕事ついでに街に買い物に行くぐらいしかした事がなかった。
「うん、ちょっと後学の為に身に行こうか。」
「えっ、と。でしゅ。」
「この時間なら邪魔にならないし、たそがれているぐらいなら行きましょう、ね?」
思いつきのままにミンティーはロイカの手を引っ張って空に跳躍する。ふわり、自由落下する体を風で受け止めて、そのまま風を操ってどこへ行くのだろう。
「到着っと。」
着いたのは風の精霊の仕事場だった。
初めて入るそこは、赤煉瓦づくりの建物で緑く生い茂った蔦が所々に巻きついていた。
「おはよ、ミンティー。どうしたのよ、こんな時間に珍しい。」
声をかけてきたのは青い髪の毛の精霊だった。どうやらミンティーの知り合いのようで暗にミンティーがお寝坊だと言いたいのだろう。でしゅよね。とロイカは同意しつつもこの人は誰だろと首を傾げた。
「おはよ、知ってると思うけどこの子は私の弟子だから。…さあロイカ、あいさつ。」
「こんにちは、でしゅ。」
「あはは、どうも。私はリル、同じく風の精霊よ。見習いの訓練場でもみてくわけ?どうぞ?」
「リル、ありがとう。…リルは優秀だから、特訓すれば何にも代え難い銀の刃で精霊を守る事もできるのに。」
眉を寄せてミンティーは口をすぼめた。
それに対してリルは呆れ顔である。
「今はそんなご時世でもないでしょう、日々の糧を採取するのに果物を落としたり、秋に黄金の穂を刈り取るのに使うだけで十分よ。」
「私を超える様な素質なのに勿体ないとは思うの。貴女が青い髪の毛をなびかせて風を操る様は見事だから。」
「……それより、ロイカちゃんに案内してるんでしょ。私に構わずに、退屈してるじゃない。」
「ーそうだった。続き、ロイカこっち。リルまたね」
ミンティーに連れられ建物内に入り、見習い風の精霊の訓練場、一度外に出て奥の赤煉瓦を積み上げた数個ある塔の一つへと進む。
「こっちにおいで。この塔は季節塔といってここは季節の風を任された精霊の仕事場、物事を伝える風を任された伝書塔は向こう。」
風の精霊の仕事は主に三つあるとミンティーは話す。
季節の風を届ける仕事。
言葉を風に乗せて届ける仕事。
物事を風で切り浄化や採取する仕事。
通称、風季職・風言職・風採職。稀に、風を刃として兵士となる精霊もいる様だった。
「さっきのリルは風採職よ。懐かしいな。…っと仕事場、どの職が気になった?」
どの職か。ロイカは答えられずにいた。
「無理に選ばなくていいよ。順番に見ていこう。」
春に向けて風も雨も荒れてるな…と思うこの頃です。
…風の精霊が頑張ってるのかも?笑




