40.知ってる土地
40話目です。
ようやく風邪も治った頃…
今日は朝早くから森を出て、はるばる街へ買い出しに出かけた。馬車に乗るまでもなく風の精霊達は風を纏って進む。帰りは荷物があるので馬車を使いたい、せめて行きは馬車代を節約しようという事らしい。
ミンティーを先頭に、マウル、シャッセ、ロイカそしてしんがりを務めるのがラディだ。マウルは癖っ毛の強い桃色の髪を二つに結ったたれ目で反対に、シャッセは切り揃えた青いショートカットヘアにつり目でちょっと怖い。
…ラディは生まれた時に話しかけてきた赤毛の女性なのでしゅが、ラディの妹分の二人と会うのは初めてでしゅね。
今日は買い出しという目的の他に新人風の精霊らの風を操る練習も兼ねているらしく、背後からラディが隊列から遅れている、またははぐれている子はいないかと目を光らせる。
空を駆けると、時々焦げた匂いと新しい木の匂いが運ばれる。
「ラディ姐さん、復興もかなり進んでるみたいねー。」
「…?マウルさん、なぜ復興でしゅか?」
「あ、ロイカは知らない世代なのね。実は…少し昔、神子百年戦争ってのがあってーまぁ迷惑な事に街は破壊されたの。」
元々神を信じる派閥と神を信じない派閥の争いが大きくなってしまったものらしい。
そして、都会の方の復興はほぼ終わっているが田舎の方はまだ復興し始めたばかりらしい。都会優先で木材などを使えば必然、田舎では物資が足りなく作業は滞る。
戦いは最終的に下界という世界は二つに別れた事で終結した。旧神々を崇め幻術を操るー魔法ともいうか、の人達。
幻術を消し去ったが新しい神代を信じる世界。
それぞれ煙るような不安定なモノ…幻の生きるという幻世、見たくないものに蓋をした罪と自らの感覚に枷をはめたという科世。…いつからか二つの世界はそんな呼ばれ方をした。
「まぁ、そんなところだよ。…って、どうしたのロイカ?」
「ここ知ってる…ここ、来たことありましゅ…。」
脳裏をよぎるクリーム色の家は確かに私の記憶にあった。
ふらりその家の敷地内に入ったその瞬間、酷く額が焼けるような熱と痛みに襲われた。
ー…あぁ、そうでしゅた。蘭娥様に神の御印をつけられたんでしゅた。
なんとなく記憶が戻ったのはその御印が効力を発揮したのであろうとあたりをつける。
無理矢理に引き出された前世の記憶、思い出したのは全体の未だ半分にも及ばないが、大事なことは覚えている。
「蘭娥様の助手となるんでしゅた。みんな、先に行ってて下しゃい。」
ロイカはそういうが早いが駆け出した。
約束は守るべきだ。
ミンティーが何を…?と呟いた。
クリーム色の家の玄関前にたどり着くと、私の目の前でドアが開く音がした。
お読み頂きありがとうございます(´∀`*)
ロイカはやっと思い出しましたね…。




