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世界の何処かの診療所  作者: 青嵐
1章・薬師の弟子
29/53

28.おかえりなさい

28話目です。


診療所の前には黒い髪の少女と銀髪の女性…リティアとディリアが立っていた。


「お帰りなさい、二人とも!」

ニコニコと駆けてきたリティアはロイカの手に黒い封筒を渡す。薄いペラ紙しか入らないような厚さだ。

…なんでしゅかね、コレ。


「ただいまでしゅ。」

「ああ、久しぶりだな。」

「なかなか二人とも帰ってこないんだから心配したんだよ?様子を見に下界に行こうとしたら…ディリアが全力で止めるし。」

「当たり前だ、旅なんてリティアにさせられない。秘薬を探しに行った噂の男も帰ってきたとは聞いてないからな、まだ探すのに時間がかかると思っていたしな。

…そもそもあるかないかも不確かなものだろう。で、どうだったんだ薬というのは。」

「あぁ、あったよ。」

ゆったりリティアの後ろを歩いてきたディリアは蘭娥を疑いの目で見た。

「あった?…お前が前にそんなものは無いと言っていたじゃないか。」


「もちろん、検査もしてないからな。万物に効くものかはわからない。だが、ものとしてそこにあったことは確かだ。

…それより。」


蘭娥はフッと眉の間を厳しくしてロイカの手の中をにらんだ。

「それは黒紙だろう?幾らか早くないか?」

ロイカはその言葉にハッとして、思い出した。

「黒…前にリティア様が言っていたあの。ーー転生できるという事でしゅか?」


「ええそうよ。おめでとう、ロイカちゃん。」

リティア様はニッコリとまっすぐこちらを見て心からの祝福の言葉を述べた。

「あぁ、そうだな。幼いうちに死んだ不幸だが、また次の生で頑張ってほしいものだ。おめでとう、ロイカ。」

ディリア様も転生許可の降りた黒紙を見て喜ばしいように述べる。

「えっと、ありがとう?…でしゅ。」

戸惑いを隠せず語尾に疑問符が付く。

この生活に終わりが来る事が本当におめでたい事なのか。

よくわからないでしゅ…。


よく考えたら、死んだ時。あの時私は母に死に置いていかれ何も持っていなかった。すでに失っていたから失うものはもう無かった。


ーでも今度は転生でこの記憶を失うことと蘭娥様と共にいる事に終わりが来る。死後の世界でえてしまったものを失うのが嫌なのだ。


「…おめでとうロイカ。転生しても私との約束忘れるなよ?」


なにか思う所あったのか蘭娥様はみんなとはワンテンポ遅れで祝福を述べた。


「助手になるって約束覚えてられましゅかね?」

…少し不安でボソボソと聞く。何より神さまと交わした約束を破るのは怖いしバチが当たりそうだし…蘭娥様の助手になりたいと思いましゅたし。


「なに、大丈夫さ。…神との約束事は嫌でも覚えていると思うぞ。もし忘れていたら君の転生先の家庭にお宅訪問にいこうと思うしね。」

ニヤリ、意地の悪い顔だ。


お読み居たありがとうごさいます。


もうそろそろで第1章は終わりになります。…ホントは八月中に第1章は投稿終える予定だったのに…あれ、おかしいな…今、九月…?

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