21.横穴
連投失礼します。
21話です。
「まぁそれなりに、闇にも目が慣れた。」
前にいる蘭娥のよく通る声が暗闇でもすっと耳に入ってくる。
コツンコツン…冷たく岩盤を叩く足音が響いた。
横穴は先が見えない程長い。まぁ、ランタンの灯りでは光が届かないというのもあるが長い代わりに高さがない。蘭娥は腰を屈めて…時々鈍い音で呻く声がする。しっかり屈んでないと頭をぶつけるのだ。
「痛い…はぁ、こういう時はロイカの小柄が羨ましいよ。」
…私だって、いつもは蘭娥様の身長が羨ましいでしゅよ。死後なので牛乳を飲んでも月日が経とうとも、これから伸びる予定だった身長が伸びないというのは虚しいものなのでしゅよ?
まぁ、今はこの身長で良かったでしゅよ。今だけは。
「なぁ、ロイカ。」
唐突に前を歩いていた蘭娥が喋りかけてきた。
「…人には不老不死となったとしても、忘れたくない思い出なんてあるんだろうかね。」
「私に聞かれても…しょうがないじゃないでしゅか。」
ぽんっと思い浮かんだのは、かあ様との日常の生活…憧れても羨んでももう届く事の無い日常。霧の一件でその事が目を背けていた事を嫌でも思い知った。
永遠に、と言ったらどうなのかわからないがロイカにとって忘れたくない日々だ。
「ん、そんな事も無いさ。どの道死んでも尚、魂が擦り切れるまでは自身の存在はあるわけで、だがヒトは一つの生に固執して死を恐れて、思い出を失くしたくは無いと言う。」
「あのでしゅね〜それは神々から見た考えでしゅ。生きてる人間に生まれ変わりがある事など分からないじゃないでしゅか。」
それに、ロイカは眉を寄せて吐き出した。
「今を生きる私達には今が大切で仕方無いんでしゅ。今の生に固執しなかったら何に固執しろと言うんでしゅか?」
「まぁ、そう言う考えもあるから秘薬なんていう伝説が伝え続けられるのか…」
しばらくの間、沈黙が辺りを満たした。
ごんっ、と目の前の何かにぶつかる。
…なんでしゅかと手でペタペタと確かめてみるとなんて事ない、蘭娥の背中だった。
「急に止まらないで下しゃい。…蘭娥様?」
取り敢えずと苦情を伝えたが返事が無い。
「ランタン、貸してくれ。」
「無視しないで下しゃい、なんでしゅか。」
「ありがとな、ここの辺りの石版の音がおかしいんだ。…多分だがこの下に空間がある。それで出入り口がないかとおもって…ここなんか凹んでないか?」
蘭娥様がランタンで照らした辺りは確かに石版が凹んでいた切り込みが入っていて、指を引っかけれる様な穴もあるのできっと石版は動かせる様になっているのだろう。ロイカは地べたに座りこんで思いっきり横にスライドさせた。
ズズズ…
「お、重い…。」
横に滑らせた石の奥は確かに空洞だった。
けれど子供一人が四肢を折り曲げてやっと入れる大きさだ。すなわち…蘭娥様の方をちらりと見た。
「私は入れないな。ーどうする?別行動と行くか?」
「そーでしゅね。…危険度は増すんでしょうけど、この隠し通路を見過ごすわけにはいかないじゃないでしゅか。」
「わかった、私も必ず後で合流する。…神のみ印を。」
お読み頂きありがとうございます。
神の御印…って何って?次回説明あります。来週までには投稿したい(実は一章終わりまでは書き溜めてある)




