20.守りの獣
夏休みだぁーーテスト終わった…!って事で投稿します。
20話です
「落ち着いた、か?」
蘭娥様にそう問いかけられた。…いけましぇんねホント、気遣われてしまいましゅた。
辺りはもう夕刻ちょうどの橙色で満ちていた。
「大丈夫でしゅ。さっきは助けてくれてありがとうございましゅた。」
「間に合ってよかったよ。さぁ、行こうか。」
*〜〜〜*〜〜〜*〜〜〜*〜〜〜*〜〜〜*
「多分ここら辺だと…不時山の頂上で秘薬を焼いたという伝説があるんだ。ただ書物によると付近に大切に横穴を掘って仕舞い込んだ記述があるからね。…あぁこれか。」
「待ってくだしゃい。…あそこなんかいましゅ。」
「獣…そう簡単には行かないか。さしずめ宝を守る門番と言ったとこだな。ロイカは下がってろ、私が相手をしてやる。」
やんわりと手でロイカを後ろ背に押しやった蘭娥は前に進み出た。
その瞬間、闇に溶けた黒毛が蘭娥を襲う。
蘭娥はそれを綺麗に避けて小石を数個拾う。ブツブツと何やら呟いて小石を投げる、が避けられた。
的が外れて地面に落ちて火花を散らして小規模な爆発を起こす。
「チィ…っ!」
全ての小石を避けられた蘭娥は、瞬間的に身を避けた。鋭い牙が蘭娥の腕のすぐ横の空気を噛み切る。
勢い余って地面に倒れこんだ獣を幸いと、蘭娥が滑り込んで強烈な一撃をお見舞いすると、獣は背後の木まで吹き飛ばされた。脳震盪を起こした獣は、だがすぐに立ち上がって標的を見上げた。
「ぐうわっ…」
獣は飛び出した、蘭娥の方ではなくロイカの方に。
「ロイカ…!」
冷静に、前を見据えて。
ロイカは手を差し出して横に振り言葉を詠う。
「ネル・ディ・セラピー…いい子に寝てくだしゃい」
見た目だけでロイカが弱いと踏んで攻撃を仕掛けたのだろうが、考えが甘い。
…ロイカは冷たい目で地面に倒れこんだ獣を見下ろす。
「それは」
「母から教えてもらった魔術の一つでしゅ。治療行為での前身麻酔…といっても一番弱いものでしゅし。」
すぐ目を覚ましましゅから。
獣が守っていた洞窟の入り口に立つ。思ったよりも暗い、ロイカはランタンを付けてあたりを照らす。
暗いな、蘭娥はそう言って辺りを見回した。
…確かに暗い、ランタンの光り一つでは。…一つ?蘭娥様のランタンはどうなってましゅ?
蘭娥の方を振り向いた。
「やっぱダメだなこのランタン、壊れてる。私が先に行くよ。あぁいいよ、そのランタンはロイカが持ってれば。」
それにしても、蘭娥様が呟く。
「君のお母さんが薬師とは聞いたが…魔女でもあったのか。」
「そんなこともないでしゅよ、魔力も殆ど無い家系みたいで魔法学校にもかあ様は行ってなかったそうでしゅし。無駄話は止して行きましゅよ。」
お読み頂きありがとうございます。
暑い日々が続いてて…皆さんもお気を付けて。
(不時山…富士山の頂上なら涼しいのかな?なんて思ったりします。)
ふじさんの漢字が違うのはまぁー…色々理由はあるんですけど、元ネタは竹から女の子が出てきて月に帰る話です。




