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《魔導講師の授業・一限目》

ーカイトー


「何でこうなったかなぁ……」

俺こと、カイト=フレイアは授業の準備をしている生徒たちを見ながらため息をついていた。

(俺も同じ十四歳なんだから生徒でもいいだろうに……、

生徒も嫌だろうな、同じ子供から教えられるなんて……。)

山奥にある家で話していた女性ー、セルカ=オーフィア。

彼女に嵌められて、この学園に来た俺だったが、少し後悔

している。何故かというと、臨時とはいえ講師である俺は講師の証である、黒いローブを着なければならない。

そんなものを生徒と同じ年齢の少年が着ているのだ。

それはもう、とにかく目立つのだ。この教室に着くまで

何回絡まれたことか。おかげで遅れそうになってしまった。

(まあ、終わったことを今考えても仕方ないか。)

俺はそう考えて、別のことを考えることにした。

(一限目の魔術応用の後は、魔術実戦があるからそれでこれからどうするか判断するか。とりあえず、一限目の授業を終わらせないとな。)

魔術実戦は、授業で説明した魔術を実際に使う授業で、

いわゆる、実技に当たるものだ。だから、1つ前の授業が

終わっていなければ、何も出来なくなってしまう。

魔術実戦は魔術知識があってこその授業だからだ。

(ああ……、もう発想が普通の講師なってしまっているな……)

そんなことを考えているとどうやら、生徒たちの準備も

終わったようだ。早く始めて欲しそうだ。

(よし、じゃあやるか。)

そう思い、チョークを手に取って黒板に向き直った。


(では、授業を始めるとしますか!)


俺にとって始めての授業が、今、始まる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーユウキー


臨時講師・カイトの授業が始まった。

みんな、最初は嫌そうに受けていたが、今では皆誰もが

目を輝かせて、カイトの授業に食いついていた。

(すごい……!、ものすごく良い授業だ……!)

私もカイトの授業に食いついていた。

普通の講師は、マニュアル通りにしか授業をしないため、

1番知りたいところや分からない所を曖昧にして誤魔化していたが、

カイトは違う。誰も気にしないところをこと細かく丁寧に説明して知りたいところを分かりやすくしてくれるし、分かりにくいところも、

曖昧に誤魔化さずにはっきりと正確に答えてくれた。

まさに、生徒が最も理想とする最高の授業なのだ。

「~このように、魔術の中でも中くらいの魔術である、

中級魔術【ショック・ピアス】は、基本三節で、詠唱短縮のセンスがある人なら、一節で発動出来ます。この中でも出来る人もいるでしょう。では、質問です。えっと……」

そう言ってカイトは困ったように私を見てきた。

「ユウキ、ユウキ=シルファーナです。」

私は困ってるカイトに自分の名前を告げた。

「ありがとうございます、では、シルファーナさん、

【ショック・ピアス】の《雷よ・我が意に答え・穿て》の

三節詠唱の文を四節に分けるとどうなりますか?」

「すみません、分かりません。」

私は正直に答えた。

「そうですか、ありがとうございます。答えを言います。

正解は射程が三分の一になるです。」

そう言っていカイトは、

「《雷よ・我が意に・答え・穿て》」

呪文を詠唱した。すると、確かに本来の射程が三十メルト位だとすると、十メルト位になっていた。

カイトのいうとおりになった。

「魔術にも建築や税理士と同じ公式のようなものがあってこれを覚えれば、今のように節が違うときでも、ある程度

発動される魔術の変化を把握することが出来ます。完全に

使いこなせるようになれば、そうですね……」

カイトは手をあげて魔術を発動する構えをとった。そして

「《えー・とりあえず・痺れろ》」と、適当な詠唱をしたら【ショック・ピアス】が発動した。

生徒たちから、おおー、と歓声とそんなバカな!?と、どよめきが上がる。

「とまあ、今みたい適当な詠唱でも発動させることは可能だ。ちょっと練習すれば、これくらいの魔術改変はすぐに出来るようになる。

……っと、そろそろ時間か、では、本日の魔術応用はここまで。次は魔術実戦の授業だから、魔術実戦用の対魔術軽減ローブと体操服を着てえっと、

第二グラウンドに集合でよろしく!、では!」とカイトはすぐに教室を出ていった。

「すごい授業だったね……」

私のとなりにいるイルアがそう呟いた。

「うん、すごかった。」

安易な感想だと、自分でも思うが、なんかもうすごすぎて

それ以外の感想が出てこなかった。

その後しばらく、ぼうっとしていたが、次の授業のことを

思い出して慌てて用意を始めた。

着替え終わった私とイルアはグラウンドへと急ぐ。

走りながら、私は思った。


ーカイトなら、私のの抱えてる問題を解決してくれるかも知れないー。


そんなことを考えながらグラウンドへと私は向かぅ。




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