《魔導講師、自己紹介をする》》
ーユウキー
ーそして、現在に至る。
「十、十四歳?」
私はオウム返しのように聞き返した。それに対して少年は
「はい、そうですよ?、それが何か?」
とさも当然のように答えてきた。
それを聞いて私は余計混乱した。いや、それも少し違うだろう。本当は理解しているのだ。だが、認めたくなかった
信じたくなかったのだ。自分たちと同じ年齢の少年が、
臨時とはいえ自分たちの講師を務める。それはつまり、
ー自分たちよりも圧倒的に強い存在であるということだ。
自分たちと同じ年齢にも関わらず。
「えっと、自己紹介してもいいですか?」
それを理解して、茫然自失だった私たちは少年の呼びかけによって現実へと戻った。それに対して私は、
「は、はい。よろしくお願いします…。」と返事をした。
少年は頷いて、黒板に文字を書き始めた。おそらく、
自分の名前を書いてるのだろう。黒板に書き終えた少年は
こちらに向き直って、しゃべり始めた。
「えっと、本日から1週間だけですが、臨時講師を務めることになりました、カイト=フレイアといいます。
年齢は十四歳で、魔術位階は【第四階梯】です。
得意なのは、剣術、錬金術、魔術の三分野です。
敬語はなしでお願いします。ちなみに、自分もタメ口で接するつもりです。短い間ですが、よろしくお願いします。」と、カイトという少年は自己紹介を終えた。
普通の人なら、魔術師なのになぜ、剣術をと思うけれど、
魔術師は魔術を使うには詠唱という行動をしなければならない。その間にやられてしまっては意味がないので、必要最低限の自衛手段を習得させるようにしている。だから、
魔術師にとっては剣術を習得し、得意としていることは
そこまで不自然なことではない。だが、私は別のところに驚いていた。
「……敬語はなしで……?」と私は自分にしか聞こえないくらいの声で呟いた。
普通の魔術師なら、魔術という特別な術を使えることに自負を抱き、誇りをもつ。故に、位階による格差は厳しく、
上の位階の者は傲慢な性格になることが多い。だから、
目上の人に敬語を使わないなどということはなかった。
私はとても信じられなかった。そんな魔術師がいるなんて
思いもしなかった。だが、カイトはそんな私の葛藤など知らないようにしゃべり始めた。(当たり前だ)
「えっと、では授業を始めようか。一限目は魔術応用か。
じゃあ、教科書開いて~。」
遂に授業が始まる。
今までずっと驚いてばかりだが、ようやく始まる。
ーどんな授業をしてくれるのかな?
私は始まる前に、期待なんてしないと言ったことを
忘れる位にワクワクしていた。
四回目の投稿です!
出来れば見ていってください!
感想、指導など待っています!