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魔王の城

『魔王』杉原清人


夜は明け、遂に決戦の日となった。


「圭一郎、Exエクスの調整は充分か?」

「ああ、万全だ。俺の命賭けるんだ当然だろ?大将」

「そうか…」


エクス・マキナを素体に心象解放を利用し、滑らかな装甲が解除、各自膨張して一種の結界を張る事の出来る唯一の機体だ。

…ただ。

俺はExの名前の由来を詳しくは知らない。

いつもはぐらかされるのだ。


「大丈夫って、俺にはマハーバーラタがある。タダでは死なねえよ」

「それは困るな」


横から現れたのはユーリィだった。


「親友、なんだろう?なら死なれたら困る」

「あ、ぁーまあそうだな。生きて帰ろうぜ」


圭一郎にしてはキレが悪い。

やはり緊張しているのだろうか。


「清人、昨日の事覚えてる?」

「勿論だ。ルピナス」


側からおずおずと顔を出したのはルピナスだった。


「そっか、なら良い」


ルピナスはいつもの黒いワンピースの上に黒い革の軽鎧を身に着けており手には旗を持っている。

まるでジャンヌ・ダルクのようだ。


「おォ、朝から熱いじゃねえかァ」


何時もとは違い研究者然とした丸眼鏡から細縁の眼鏡に変えたティアが影から現れる。

白い肌から伸びた白い犬歯を覗かせ闘気を漲らせている。


俺はニャルラトホテプから貰った鉢巻を額に巻きつけると銀の鍵を空にかざした。


「さあ、行くぞ!!」


鍵をぐるりと回すと次元が裂け、黒い空間が待ち構えていた。

だが、俺たちは一人として臆さない。

ずんずんと暗闇へ突き進みー。

四人と一機は魔王の根城へ転移した。


◆◆◆


到着するやいなや俺たちを迎えたのは暴力的な音の洗礼だった。


「大将!姐御、ユーリィ、ルピナスさん機体に皆んな乗れッ!」


急いでExに乗り込むと幾分かは音が和らいだが…代わりにメインモニターからは悍ましい神々がフルートを吹き鳴らしているのが見えた。


「…!?…まさか…」


ユーリィが何事かを呟いたが振動で殆ど聞き取れない。


「圭一郎!!切り抜けられるな?」

「任せろッ!!」


曲線を描く装甲から兵装の鉈を取り出すと即座に一線した。


「アクセルスラッシュ!!」


下級の神々はフルートごと肉体を爆ぜさせた。


だが、まだ数は多い。


「ったく、◆◆◆◆は使う訳には行かねえって…のっ!!」


キィィィ!!


Exには今のところ死蔵している結界機能や圭一郎とリンクした武器生成システムの他にもう一つ特徴がある。

それは足回り。


『やっぱ、男ならゼローマックスーゼロじゃないとな』


圧倒的なフルブレーキ機能だ。

装甲をパージしてマックス速度で試走するも緩くブレーキを踏むだけで即座に静止にまで持っていけるのだ。


…ただ、この機体。

俺から見れば失敗作も良いところで。


一つ、装甲内部に武器を生成する制約がかかっており、装甲が無ければ武器の生成というアドバンテージが瞬く間に消え去る。


二つ、結界機能の使用用途が全くの不明であり気味が悪い。


三つ、フルブレーキには足回りに負荷をかけ過ぎる為、数回も使用すれば機体の崩壊は免れない。


四つ、装甲がそもそも不要。これについてはティアが一枚噛んでいる事もあり何か起死回生のアイデアが詰まっていると考えているが。


「アクセルスラッシュッ!!」

「ケイイチロウ!足回りがもう十五%崩壊してる!」

「んなの分かってら!!」


さて、この場をどう切り抜けるか。

音の暴虐に再び晒されれば俺でも遠くないうちに発狂するだろう。


「姐御、合体兵装行けるか!?」

「それを待ってたァ!」


ティアが手にしていたのはー護符のような紙切れだった。


「生成に時間が掛かったが爆裂符だァ。コイツをぶっ放せェッ!!」


「応ッ!!」


瞬間、音が一瞬消えー次いで響く爆音、轟音。

三半規管が機体の中でも揺れてフラフラとするが自分で『エンゼリカ』を砕き即時回復する。

周りの面子も堪えたようだったが無事だった。


「さァ、進めェ。時間はねえぞォ」

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