表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
95/106

大宴会3

大宴会のラストです。

覗き回ですよー。今回は結構力入れたシーンですね。

『覗き魔』ティア&圭一郎


態々酒を選んだ理由。

それは清人とルピナスをくっ付ける為だ。

酒に酔った女、愛し合う二人、人目の無い空間。

そう、ティアの作った魔王荘と言う空間はその全てをカバーして余りある位にこの場では有能なのだ。

それに魔王荘はティアが制作したものである為例えば指定した部屋に監視カメラを取り付けるのも容易だった。


「清人は今まで自分を殺して使命に生きてきたァ。だからちょっと甘い事があっても許されるべきだァ」

「で、俺たちは翌日に『昨夜はお楽しみでしたね』つって慌てる二人を見てほっこり、と」


ムフフと気持ち悪い笑い声が響きあう。

さて、肝心の清人はと言えばー。


◆◆◆


『覗かれてる魔王』杉原清人


二人分の布団を敷いてルピナスを寝かせる。

あのどんちゃん騒ぎで疲れて眠ってしまったようだ。

穏やかな顔で寝ている。


それだけで幸せだった。


思えば俺はルピナスを手にする為に多くのものを犠牲にしてきた。

信用も、信頼も、感情も、俺自身も。

でも、だからこそ手の中に残ったルピナスという一輪の花は一際美しく思える。

この多幸感がその証左だ。

この道を選んで良かったと本気で思える。


「ん…ぅ。清人?」

「悪い、起こしちゃったか」


眠いだろうに目蓋を擦ってまで俺を見てくれる存在。

俺だけを見てくれる、都合のいい存在。


…そんなちゃちなものではない。

そんな考えは傲慢だ。俺はルピナスにもっと深いものを抱いている。

形容し難くて、でも言語化するには余りにもどかしくて切ない。


恋だと言い切るには高尚過ぎるのだ。

これを恋と断ずるなら、型に嵌められたように『恋人足らねばならない』とか『こうあるべきだ』と他人が定めたレールを走る事になりそうでとても恐ろしい。


互いが自由であるのが彼女の為なのだ。

確かに俺が想像した存在ではある。

けれどもう彼女は彼女なのだ。幻想ではないし実体がある。

例え彼女の瞳が俺の方を向かなくなっても…悲しいが、それでも構わない。

だから彼女とは恋仲にはなれないのだ。

彼女が望まない限り。

では、俺は彼女に選ばれるのか?

選んでもらえるのか?

そもそもその権利はあるのか?


「清人、悲しそう」

「見間違いだ」

「泣いてる」


ハッとした。頬に触れると湿った感触。どうやら本当に泣いているらしい。

俺も酒に酔ったか?

ルピナスの前で泣き顔晒すのは…嫌だ。

だから「気の所為だ」と強情を張る。


「話して。清人の事、全部」

「語る事はそうそう無いぞ?」

「それでも清人の口であるがままに語って?」


根負けしてポツリポツリと心情を吐露した。


「頑張ったね」

「別に頑張って無い」

「頑張ったよ。清人は」


いつの間にかルピナスが側にいた。

そのまま俺の頭を抱いて頭を撫で始めた。

トクン、トクンと昔は聞こえなかった規則正しい音が聞こえる。


「だって、こんなにボロボロなんだから」

「な、何を言って…」

「強がらないで」


「私、清人が自信がないのを知ってる。愛されたいのも知ってる」


「だから、本音を語って?」


瞬間、何かが切れた。


涙が堰を切ったように流れ出る。


「辛かった…」

「そうだね」

「痛かった」

「うん」

「でも、俺、頑張ったよ!魔王として殺して殺して殺して殺してッ!!」


「殺した数も分からなくなって!!それでも殺さないといけないのが…非情じゃないといけないのが…死ぬ程嫌だったんだよぉ!!」


「手が赤くなっていって、敵が倒れるのが嫌だ。

怨嗟の声を上げながら死んでいく敵を見るのが嫌だ。

親の仇と叫ぶ子供を手に掛けるのが嫌だ。

他人の幸せを奪うのが嫌だ。

…俺は怖かったッ!!

怖いのに押し隠して普通に振る舞うのが怖かった…。

俺が俺と乖離する…みたいで。

どうしようもなかったんだよぉ」

「清人は頑張ったし、痛かったんだよ」

「……ッゥ」

「認めても良いんだよ。ありのままを認めてもあげて?」

「…俺の汚い部分も?」


始めて語る、俺の核心。

形容し難い靄のような激情。


「それは駄目だ。俺の汚い部分はきっとルピナスを汚れさせてしまうから…」

「それは…恋愛感情の事?」

「バレてるか、そっか。バレてるよな」


「それじゃあ」



「世界を救ったら私が清人に最適解を教える。その感情をどうにかする術を教えてあげる」

「ズルいなぁ…ッ。甘えたくなるじゃないか…」

「甘えても、良いよ」


俺はルピナスの胸の中で眠りについた…。



◆◆◆


『反省中』ティア&圭一郎


「これは…」

「あァ、それこそ見ちゃいけないところだったなァ。あいつが心労溜め込んでたのは薄々感じてはいたが…ったく怖いなら言えばいいのになァ。男ってのはこうなのかァ?」

「そう、だな。男はみんな見栄っ張りで強情なもんなんだよ姐御」


「ンだよォ…カッコ良いじゃねえかァ」

一先ず、ここまで読んで下さった読者の皆様。

次回、トゥルーエンドの予告を一話挟んでついに…魔王城攻略戦編になります。

魔王城攻略戦が終わったらこの小説は完結です。

短編でトゥルーエンドと駆逐艦会議も投稿する予定ですのでその時はよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ