チートの力を考え無しに振るえるヤツが俺は死ぬほど羨ましい
タイトル回収回。
ちょいと無理矢理ですがやりたかったんだ仕方ないね。
それとブックマークに感謝を。
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『決意の選択者』杉原清人
俺は知恵の盃を対価にルピナスと再び巡り合う。
こんな俺でも願ってしまった。
望んでしまった。
多分それは許される事ではないのだろう。悪魔の不実さを内包していると言われても頷ける。
けれど、俺には希望が必要だった。
日々を無為に生きるのはきっと絶望より辛い事だ。
辛いのは、嫌だ。
俺は子供だ。それを理由に逃げる事を良しとはしないがある程度は自分に正直で、欲望に忠実でありたい。
これを自由と言うのだろうか。
だとしたら余りにも傲慢だ。
けど、俺は…。
「キヨト?どうした」
「ユーリィ、お前はデイブレイクに入団するのか?」
「僕はもう入団を済ませたけど。何かあるのかな」
先ほど八つ当たりをした手前気恥ずかしいが、これは俺の意思だ。ハッキリしなければならない。
ここからリスタートしてやる。
その意志を込めて。
「一緒に知恵の盃を集めないか」
俺らしく、最低に。
ユーリィは暫し瞠目すると
「何だか訳ありみたいだね」
柔らかに微笑んだ。
それに俺は短く首肯で返す。
「えっと、ようござんす?だったかな。日本の言い回しは難しいな」
「案外愉快なんだな、お前」
互いにクスリと微笑する。
さて、戻ろうかヒュエルツに。
…そうだ。
決意のついでに花吹雪の一つもあれば乙だろうか。
それじゃ。
「ユーリィ、ナイフ持ってるか?」
「…持っているけど。どうしたのかな?」
「ちょっと貸してくれ」
ユーリィのポケットから一本のナイフが取り出された。苦々しい思い出でもあるのかその顔は良いものではない。
でも、構わず銀色に輝く刃を受け取る。
ちょっくら切りますか。
ラースのレイピアで切れた髪を肩から前に出しそれを片手で掴むとナイフを持った手を動かした。
髪色は思ったよりも色が抜けていて色合いは悪い。白でもなく、黒でもない。
けれど中には金色に反射する髪もありこれはこれで腐したものではない。
切り取った一房をユーリィに当たらないように背を向けてから手から零す。
「エンヴィーは終わりだ」
丁度よく風も吹いて、靡く程の毛が無い代わりに零した毛が良く流れて行く。
夕焼けの空に灰色が反射して緋く煌めき刹那に踊る。
「俺は変わる。…いや」
フッと、自ずから表情を暗くしながら自嘲する。
変わるという意思はある。
けれど浅ましい本質は絶対に変わらない。
自分が変われば世界は変わる、ね。
でも、実際見え方が違うだけで本旨はきっと変わらない。
「案外変わらないもんなんだろうな」
感傷とはきっと違う。
けれど、大罪人が願うには余りに凡人じみているのだろう。
あぁ、自分の思考すら良く分からない。
でも、エンヴィーは終わりでも俺は本質に忠実に従い嫉妬し続けるだろう。
髪を切った瞬間改めて理解した。
やっぱりー。
チートの力を考え無しに振るえるヤツが俺は死ぬほど羨ましい。
これでやっと悪い事が出来るネ!
…字数少ないなぁ。
増やさねばッ!




