のゔぁ・かーすど
第2章、闘技祭編終了!!!
互いにノーダメージ。
錆びた大鎌も今回の戦闘では一切の損耗は無い。
ただ、咆哮やその派生の有声慟哭は炎環の前に打ち消され、物理で殴ろうにも炎の壁が邪魔になる。簒奪は模倣の牽制で手一杯だし。
となれば頼みの綱は咆哮呪怨滅殺のみ。
ただ、模倣で『炎煌』の炎を模倣したなら詠唱時に『鬼面』も当然俺の体内に炎を生成するだろう。それ以前に炎環が飛んで来るだろうが。
問題は炎環の封殺方法と咆哮呪怨滅殺の為の時間稼ぎだ。
…中々スキが無い。
考えを整理したところで大して変化は見られない。俺には再生と言うメリットがある反面常に弱点の露呈を恐れなければならないのだ。
なら、捨て身で敢えて炎環を受けて再生。詠唱を終了し、咆哮呪怨滅殺を放つ。
だが、これはいたくリスキーだ。
肉体が再生する事を知れば他に攻略方法を本格的に考えるだろう。
それに今身に纏うのは霊衣。つまり、錆びた大鎌と同様のタイミングでボロボロになり、ならばと錆びた大鎌を一か八かで突貫される可能性が高くなる。
そうなれば俺の敗北は必至。
つまり、一撃で全て消し飛ばす。
これしかない。
事実、道化を切り裂いて見せたのだ炎の壁くらいどうにでもなる。
距離を取る。
全神経を集中して一撃の為に研ぎ澄ます。
「咆哮ー」
「炎環ー」
「「呪怨滅殺」」
咆哮呪怨滅殺に対峙するように放たれた黒い炎がステージを包む。
まさか咆哮呪怨滅殺まで模倣されたなんて!!
しかし、妙だ。
あり得ない。
拮抗しているのだ。俺の呪いと『鬼面』の呪いが。
この技は術者の呪いを参照して威力が変動する。
つまり、神々から与えられた呪いに匹敵する呪いを『鬼面』は保有している。
だが、拮抗は崩れる。
炎環呪怨滅殺が強まったのだ。
「なァ、エンヴィー。口挟むようで悪いけどよォ。これ、負けた方が得だぜェ」
何でだよ。
「だってよォ。呪怨滅殺だぜェ?怨恨の一切を喰らい自分に返す自爆技だろォ?エンヴィーの呪いを喰って貰えばそれで終いだろうよォ」
つまり、態と負けろ、と?
「元々職場を変える為の闘技祭ならここで敗北なら旨味が強いィ。呪いは消え去り、準優勝の箔が付くゥ。良いよな?良いんだよ」
ハッ!そんな事するかよ。
自分の呪いを他人に背負わせる?
バカ言え。
呪いあってのエンヴィー・メランコリアだろ。
それが、罪過の背負い方じゃ、ないのかよ。
「一丁前に言いやがってェ。餓鬼がァ。でも、悪くはねェ。悪くは無いともォ。だがーいつまででも可哀想なボクちゃんだなァ。エンヴィー」
うるさい。
呪怨、全力投射。
「相殺しろッ!!」
見事にそれは成功しー『鬼面』と俺は同時に倒れた。
『し、試合終了!!引き分けとするー!!!』
こう言うのもたまには悪くは無い。




