おるたなてぃぶ
因みに前回のヴィクティム・リリーがわからない人用に、先ず本名は小岩井百合子。異能はフルカウンター。緋色の魔眼は1分間視認した相手の情報を読み取る魔眼持ちです。
尚、会話中に攻撃食らうのはデフォルトの模様。
冒険者ギルド所属『鬼面』ユーリィ対無所属『炎煌』ファイ。
ふぅん。
鬼面の少年か。見るのも悪くは無い。
さて、どんな感じだろうか。
◆◆◆
「宜しく、お願いします」
「鬼面…そうか。チートコピー野郎か」
そう言ったのは『炎煌』、ファイ。
金髪の髪を逆立て、ライダージャケットに身を包んだ筋肉質の男だ。
見るからに凶暴そうな粗野な風体だ。
それに対するは『鬼面』のユーリィ。通称チートコピー野郎。
その由来は異能、オルタナティブにある。その能力は他人を模写する。
『試合開始!!』
瞬間。
「死ね」
『炎煌』ファイは炎をユーリィの体内に作り出す。
ユーリィは口から火の子を吐きながら悶える。
これこそ『炎煌』。
曰く、彼と戦う相手は死を確定させられる。
曰く、相手の命は風前の灯火であると。
「風前の灯火ほど美しいモンはねえ」
「お…ぅ、たなてぃぶ」
しかし、『鬼面』は決してそれで終わらない。
模写の発動を成功させた。
しかし、これには弱点がある。
本人を模写したところで技量で下回り敗北してしまうのだ。
その為それをカバーする為の策、それはー。
「何だ?色気のねえ貧相な身体しやがって」
「生憎、この身体は男だよ」
「ああ、知ってらあ。エンヴィー・メランコリアの身体だな」
第三者の模写。
それこそがユーリィの答え。
「咆哮」
「ちぃ!」
本来対価のある大技の連射が出来る。それがどれ程恐ろしいことか!
『炎煌』の炎は使うのにどうしても時間がかかる。だから試合前から仕込んでおいたー謂わば本当のチート。否、ズル。
こんな風体でありながら時間稼ぎと体内での炎の生成に特化した魔術系の異能を持つ人間。それがファイである。
「そこっ」
故に、射程は狭く、火力は高く、持続する炎しか出せない。
「壁!壁壁壁壁壁壁壁壁壁ッ!!!」
それで時間稼ぎとなると炎の障壁を生成するしかない。
つまり行動のワンパターン化が起きる。こうなれば『炎煌』の崩壊は必至。
「オルタナティブ」
とー姿は変わらずに更に模写を起動。
『炎煌』は炎が来るかと身構えるも。
「残念!!」
腹部に強烈な鎌の柄が刺さりそのまま気絶。
『試合終了!!勝者は、冒険者ギルド所属『鬼面』ユーリィ!!!』
◆◆◆
「オルタナティブ…オルタナティブな…よし」
それは嗤いながら言う。
「簒奪」
悪魔は嗤う…。




