ろんりー≠おんりー
だんだん主人公がウザくなるよ。
円形のスタジアムに立つと先ず観客席のルピナスを探した。
いた。随分奥だが立っている。どうやら座り損ねたらしい。
「異能発動!重力の檻で這いつくばりな!!グラビティ!!!」
体が気怠い。何かしたのだろうか。
不愉快だ。
ああ、そうだ。
戦化粧に血を求め(ブラッディー)をデチューンすれば良い。
騎士は徒手にて死せずと言うではないか。
なら、この技の名前は。
「鬼士は死なず永劫を謳う(デモンズ・ネバーエンド)」
体の倦怠感は消え俺は独り、スタジアムの中央へ悠々と闊歩する。
先ず、グラビティとやらを使った羽虫に罰を。
剛ッ!!!
戦化粧に血を求め(ブラッディー)は言わば柔の動き。動きの極致にして極限。
しかし鬼士は死なず永劫を謳う(デモンズ・ネバーエンド)は圧倒的な速度とパワーの暴虐。動きは粗雑。けれど、それを止める者はいない。
「…!!」
見られている…。
見切っているのではない。単純に見られていると言う奇妙な感覚。
いや、そうか。
鬼面の少年か。確かあいつのチートは自分を他人にするチート。
恐らくトリガーは見切る、ないしそれに近い…理解。そう、理解する事が一番正解に近いだろう。見上げたハングリー精神だ。賞賛に値する。
だが、
余りに脆い。
俺に向かう剣士にラリアット。
後ろから奇襲した暗器使いには回し蹴り。
異能とやらを放つ男には咽頭に肘鉄。逃げる敵には獣じみた四足歩行から逃げ道を塞ぎアッパーカット。
動きの邪魔になりそうな障害は容赦なく排除する。
「がァァァッ!!!」
敵を探す探す。やった。まだ戦果になり得る人材が沢山いる。
疾駆、暴虐。
跳躍、打擲。
回避、反撃。
それをひたすらに続けた。
気付いたら嗤っていた。心の底から愉しかった。
だって、人間がこんなにも俺の前で積み重なり、折り重なり山になっている。勿論殺してはいない。ルピナスに嫌われたくないし。
しかし、実に壮観。爽快。
人間が非人に斃される。うん、素晴らしい見せ物だ。
これがショー!これがパレード!……?
あれ、パレード?
確かに殺してはない。
けど、あれ。こんな帰結にならない為に俺はデチューンしたんだよな?
本末転倒?
意味がない。
また、間違えてしまった。
酔ってしまった。
ここに来て理解した。
俺は、杉原清人は、エンヴィー・メランコリアは欠落しているのだと。
故に間違えるのだと。
四肢が震える。立っていられなくなる位に。
これがペイラノイハの神の言った間違いなのか?
どちらにしろ正しくはなかった。
この行動に義は無かった。
ただ、畏怖を植え付けただけ。
『試合、終了!!』
何も聞こえない。
何も見たくない。
勝者はステージ中央で膝を付き頭を抱えながら無様に泣いた。
その姿は最早ー敗者にも劣っていた。
「テメェは救われねェよォ」
うるさい。
少し黙っててくれ。




