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ゆめうつつ

二章に入る前に急遽載せる事にしました。これをしないとイチャイチャさせれない。し、させたくない。


あと、この作品のタイトルの略称を募集します。思い付いたらコメント欄にてどうぞ。あ、勿論レビュー、評価はいつでもバッチコイ。

俺は夢を見ている。

俺は仲間に囲まれ、その中で笑っている。けれどその側に最愛の少女だけがいない。


この光景はー。


「これが貴方の最適解ですよ杉原清人」


声の方向に目を遣る。それは酷い造形のオブジェ、ペイラノイハの神だ。


「俺はエンヴィー・メランコリアだ。杉原清人は存在しない」


ハァ、とこれ見よがしに溜め息をつくその神は何だかいっそ哀れで人間的に思えた。


「貴方、今何歳ですか」

「何歳って…え?」


質問の真意を測り損ねた。俺は幾億もの年月を殺戮に投じた身だ、時間感覚などとうに無い。


「…数千年位か?」


ここで大きく出て失敗しては堪らないとかなり少ない年数で答える。おばちゃんがサバを読む心理に近い。


「正解は生後三日です」

「なっ!?」


驚愕すると同時に納得した。

俺が本当に自己を認識しながらも肉体を保持出来た日数を尋ねていたのだ。

けれど何故それを尋ねたのかは不明でイライラする。


「驚きですか?つまり貴方は子供も子供、餓鬼です。経験がなさ過ぎます」

「何が言いたい」

「子供に失敗は付き物です。その時は親が止めて然るべきです。けれど貴方に親はいない。水子なのですから当然ですね」


イライラする。早く要件を言って欲しい。一々迂遠が過ぎる。


「貴方は間違えました。それも致命的に。だから私が止めに来ました」


そして言うに事欠いてこうなるのだ。何だ、これは。


「ハッ!間違い?無いな!そんな物。俺は何一つたりともな!」


少しの空白の後、ペイラノイハの神は言った。


「…なら、良いでしょう。でも良く覚えておいて下さい。甘える相手は選ぶべきだと。そして私は地球の神と違って例え因果律を崩壊させる聖遺物を保持していても私は貴方をどうにかしようとは思いませんし、その気があるなら私の眷属として世俗から離れた安穏を与える事も出来ると」

「話は、それだけか」


それに答えるようにー夢が覚める。


◆◆◆


「うっ…」

「エンヴィー、起きた?」


そよ風のように滑らかな手が髪を撫でる。何だかくすぐったくて頬が赤らむのを自覚する。目を開けば大きく映るのは白磁の肌に黒いワンピースを伝う銀髪。

最愛の少女、ルピナス。


「おはよう、ルピナス」

「うん、おはようエンヴィー」


やっぱり、俺に間違いなど無かった。

俺に笑いかける人はいなかった。

俺におはようと言う人はいなかった。

…まぁ、今までの俺が嫉妬に狂っていた、というのもあるが。


「ああ、そう言えば鬼面の少年は?」


そう言えばと口にする。鬼面の少年の安否はルピナスの評価の対象になり得る。

言うなれば成果だ。死んで貰っては困る。

辺りを見回すと、いた。

ぐったりとしているが死んではいない。

失神か、はたまた気絶か。


「頑張ったね」


重ねてくすぐったい。

近づくと鬼面がズレておりその素顔を確認出来た。出来たが、出来なかった。

同時にこれはルピナスに見せられないと思った。何故ならその顔はモザイクがかかっているみたいで認識出来ないのだ。

決して不細工という訳ではない。寧ろ整っている。だから余計に気になる。けれど可能ならルピナスには見せたくない。

不可思議な事柄には必ず神が裏に付いている事を俺は知っているからだ。


「どうしたの?」

「何でもない。そう、何でもないや」

「?変なエンヴィー」



ーそれでも俺は普通を演じ続ける。

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