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おうぎをつかうよ

新しく章を作成しました。

そして一応の区切りなので本日は二話投稿、次章から徐々に鬱になるかもです。

あ、ブックマーク、評価、レビューは随時募集しておりますよ。(露骨な売り込み)

鬼面の少年がやったように俺は一陣の黒い風となり道化の体を切り刻む。

しかし。


「再生してやがる。困るんだよ。さっさと死んでくれないと」


打擲を舞うように回避し、そのまま華麗にターン。振り向きざまに再び斬撃。

これが神殺しで鍛えられた戦いの技の数々。洗練された動きは何よりも美しいものだ。これだけは神々にも評価され名前を付けられるに至った。


言うなれば動作の極致。


「戦化粧に紅を求め(ブラッディー)」


その姿は血の戦化粧を施した悪鬼。

そして悪鬼は更なる血を求め跳躍を開始する。


しかし、これにも難点がある。これは飽くまで死後の世界での運用を前提とした動きだ。つまり、死後の世界には肉体という概念が薄弱な為に多少無理が出来たがこの世界にあるのは生身の肉体。

無理が出来ない。


無理をすればー。


「ぐっ…!」


主に脚部の内出血、筋肉の乖離、断裂。

戦化粧に血を求め(ブラッディー)の名前に恥じない内出血を引き起こすのだ。


しかし、再生は出来る為傷は問題にはならない。本当の問題は必要になる集中力。神経を研ぎ澄まし最善の動きをするという事はそれこそ精神を削り取る事と同義だ。そして、今使っている武器は俺自身の心の具現。当然磨耗する。

その上、武器が傷付けば肉体にその分のフィードバックが発生する。

簡単に言えば戦化粧に血を求め(ブラッディー)は使い続けると自爆に近い形で死ぬのだ。

けれど俺は恐れない。

断続的に体を劈くような痛みに苛まれながらもはっきりと知覚する。


あの道化は強い。


けれど俺はその数段。


「上を行くッ!!」


磨耗した大鎌を道化の左肩に添えー。


咆哮ロア


左肩を切断する。ここに来て再生のペースが長くなって来た。道化も終わりが近いのだろう。

ふと、感じる背後から近づく足音。


「エンヴィー、後ろ」


言われるまでも無い。


「ナイス、ルピナス」


背後から姑息にも奇襲を仕掛けたヘッドホンイソギンチャクを蹴り飛ばし粉砕する。

彼女はールピナスは俺の側にいる。

そして今、俺にはそれがハッキリと分かる。いつも通りの黒いワンピースに銀髪をはためかせるルピナスは正に勝利の女神と見紛う程に美しい。


「ただいま、エンヴィー」

「おかえり、ルピナス」


さて、此処からは俺の番だ。誰にも譲らない。譲れない。

ルピナスに愛され、評価される為のイニシエーション!!


「一撃で決める…!」


イメージするのは斬撃の高み。

それを成すのは動きの極致、そして斬れぬもの無しの錆びた大鎌。

俺の持つありとあらゆる力を集結し、圧縮した不可視の極光。

身に纏う神々の呪いで呪いを食みあらゆる怨恨を喰らい尽くす暴食の使者。


咆哮ロア…」


何かを感じたのか慌てて道化は防御の姿勢を取る。

でも、遅い。


呪怨滅殺カースド!!!」


一点に集約された呪いを喰らい尽くす呪いの斬撃は道化に向かい一直線に進む。

ヘッドホンイソギンチャクが行く手を阻もうが御構い無しに切断し切断したヘッドホンイソギンチャクすら力にー呪いに変換して進んで行く。


対魔獣用最終奥義、と言ったところか。

俺は道化に背を向けてルピナスに向き直りー、道化は爆散する。


「頑張ったよ」

「エンヴィー、偉い」


そしてー吐血した。

当然だった。この技は呪いを喰らい尽くす呪い。では、巨大化した神々の呪いはどうなるのか。決まっている。正解は俺に更に重い呪いとして帰ってくる、だ。


ああ、もう。

どいつもこいつもペイバックばかり。

少しはルピナスを見習ったらどうだろうか。


でも、不思議と気分は悪くない。

ルピナスが見ていてくれるから。

今もルピナスは悪戯っぽく微笑んでくれているのだから。俺には何も無い、ならば生きる意味もこの腐りきった命すらルピナスに預けよう。

好きな女の子に尽くさない、なんて不義理だろう。

だから俺はー。


「ルピナス」

「何?」

「好きだ」


明滅する視界の中でも最愛を告げる。


そしてー視界は暗転する。

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