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冴えたやり方≠必殺技

『魔王』杉原清人


俺は来た。

俺は見た。

俺はそれを見てしまった。

人はそれを白痴と言う。

人はそれを螺旋と言う。

人はそれを原子核で出来た混沌世界と言う。


そして俺はー成る程。

果てしなき魔王と考えた。


放心していた。

俺は正気を保てているのか?

それともコレは幻覚か将又ページの乱調か。

形容し難い?

笑わせる。

形容不可能な領域に足を踏み入れてしまったのだ。

これは最早果てしなき魔王への冒涜に他ならない。


果てしなき魔王の周囲には凡ゆる創造と破壊で満ち満ちており近付けば死ぬでは済まされない事が容易に想像出来た。


コイツを俺が、俺たちが殺すのかと言う実感が全身を駆け巡った。

振るえる足を叩き奥技を放つべく詠唱する。


俺はヒーローではない。

けれど、主人公だ。

だからどんなペテンでも騙し討ちでもやれない事は、無い。

先制攻撃は最大かつ最高火力にて…最初から殺しに掛かる。


「…♠︎(刃)に♦︎(輝き)あれ

❤︎(心)に♣︎(勇気)あれ」


圭一郎のイメージのスート。♠︎

ティアのイメージのスート。♦︎

ルピナスのイメージのスート。♣︎


そして、俺のスート。❤︎


これが魔王軍が誇る大規模破壊奥技。


「絵札将来・心輝勇刃ロイヤル・ストレートフラッシュ!!」


ロイヤル・ストレートフラッシュ。

同じスートの10、J、Q、k、Aからなる。

一発引きで出る確率は僅か0.00143%

ポーカーに於ける最強の役だ。


この世界に来た、転生した日本人は先ず将棋、チェス、リバーシ、そしてトランプを作り出すのが相場だ。

いくつものトランプゲームが生まれる中、少しずつ独自のルールが追加された例の一つがこの異スートロイヤル・ストレートフラッシュだ。

これは魔王軍のハウスルールにもちゃっかり載りー。


このような奥技にもなった。

しかし、悲しいかな。そんないい加減な決め方であっても名前としては最適だったのだ。

ロイヤル・ストレートフラッシュ。

最強のゲームエンドメイカー。


二本の鎌を天高く掲げ振り下ろす。

たったそれだけの動作で生まれた必殺の衝撃波はーしかしアザトースの前に止まった。


ここまで責め難いとは思わなかったがそれもまた想定の範囲内。


実はこのロイヤル・ストレートフラッシュは…連発できるのだ。


物語に於ける必殺技とは、勝敗を決める代わりに連発出来ない。


必殺技を返されて負ける事は無い、と言う事だ。

これがリアル。

本気で殺す時の必勝法。

唯一の冴えたやり方。


一連の動作を繰り返す。

ティアも加勢して爆風を撒き散らしルピナスは威力『勇気咆哮ブレイビング・ロアー』で威力を底上げしている。

ユーリィも『模倣オルタナティブ』で俺をコピーして効率は文字通り二倍。

敵は巨大。

当てれば死ぬ。

が。


何かが、吹き飛ばされた。


握っていた『デモニカ』がカランと音を立てて地面に落ちる。


あれ、俺の右腕。


どこ行った?


挿絵(By みてみん)

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