冒険者組合1
さて、組合通りにやってきた訳だが、組合も色々あるな。目に付くだけでも、料理組合、商会組合、石工組合、傭兵なんてのもある。
今は冒険者組合を目指しているが、傭兵組合もそのうち世話になるかも知れんな。武術は色々とやっているが、基本は人相手だ。犬くらいならなんとかなるだろうが、どでかいドラゴン相手に関節技が効くとは思えん。ステータスは無いとはいえ、成長はするらしいから、力が付けばドラゴンだって指くらいはへし折ってやれんこともないだろうが、要努力だな。
ともかく、傭兵なら職場は戦場、人を相手にするだろうし、その辺の輩に負けない自信はある。
思い出せば、幼い頃から、爺ちゃんや親父に色々と、武術はしこまれたものだ。だが、使う機会なんてのはそう有るわけではない。刀術なんて修めていても、街中で刀を振り回そうもんなら、官憲がすっ飛んでくる世の中だ。
武術自体は好きだ、自らの肉体が強く育っていくのは非常に快感ではある、だから自分から好き好んで体を鍛え、武術の鍛錬は怠らないでいるが、平和な日本においてはあまり役立つものでない。いや、無かったというべきか。
この世界でなら、役に立つ。
さて、極限まで鍛えたこの体が何処までやれるのか、そう考えると楽しくなってきたな。
とはいえ、べつに戦闘狂というわけじゃないんだ、程々に楽しむとしよう。
組合通り中程にある3階建ての大きい建物が、冒険者組合の様だ。
建物の近くには冒険者らしき人が結構いる。
チュートリアルで貰った初期装備の奴もちらほら見て取れる、彼らはプレイヤーだろう。
さぁ、入ってみようか。
中に入ると、かなりの数の冒険者がいた。掲示版を囲む者、カウンターで受付嬢と喋る者、テーブルで雑談に興じる者、喧騒に包まれているが、いい雰囲気を醸し出しているな。
冒険者登録と書かれた木札が吊ってある受付、あそこに行けばいいだろう。
受付には、眼鏡をかけた、黒髪をボブカットにしている若い女性が座っている。気の強そうな顔立ちたが、これがどうしてなかなか可愛らしいじゃないか。受付が可愛いとそれだけでやる気が出るってもんだ。ついつい笑顔になってしまう。
おっと気がそれてしまったが、登録しに来たんだった。
「失礼、冒険者になりたいんだか、ここでいいのかな?」
「はい。こちらで受付を行っております。初回登録料として3000G頂きますがよろしいですか?」
「ああ構わんよ」
そう言って、数料を手渡した。
「ありがとうございます。ではまず、冒険者として登録される方には、こちらの用紙に必要事項を記入していただきます」
そう言って、紙を1枚手渡してきた。名前、得意な武器、犯罪歴、色々書かされるようだ。
「書けたが、これでいいのかな?」
「はい、結構です、ガンマ様ですね。これからよろしくお願い致します。では冒険者証をお作り致しますので、少々お時間頂きます。ガンマ様は、冒険者の業務内容はご存知ですか?よろしければ説明させて頂きますが」
「あまり良く知らないんだ、お願いするよ」
「はい、では説明させて頂きます。
まず、冒険者の業務内容について、冒険者は市民の方々から依頼を受け、それをこなし、依頼料を貰うことで生計を立てる職業です。
その依頼を仲介しているのが、ここ冒険者組合ですね。
基本的には冒険者は、組合を通した依頼を受けて頂きます。
組合を通した依頼ですと、きちんと精査された、いわゆる真っ当な依頼を受けることができます。依頼は後ろの掲示版に張り出されておりますので、随時ご確認下さい。
組合を通さない個人依頼を受けて頂いても構いませんが、基本的には、何があろうとも組合は関知致しません。自己責任でお願い致します。
依頼を受ける際には、依頼票を剥がして、依頼受注のカウンターまでお持ち下さい。その際には、後ほどお渡しする冒険者証をお出しください」
「悪質な依頼があるのかい?」
「残念ながら、個人で依頼を受け、詐欺被害に会う方もいらっしゃいます。そういったものから冒険者を守るのも組合の仕事です」
「なるほどね、続きを頼むよ」
「はい。続いて、冒険者のランクについてです。
冒険者にはランクがあり、10級から始まり、1級まで、そしてその上には特級と呼ばれるランクがあり11段階で構成されています。ランクを上げるには、試験を受けて頂き、合格すれば、晴れて昇級となります。」
「試験はいつでも受けることができるのかな?」
「いえ、予約制となっており、前日までに予約して頂く必要があります。また、予約の際に前金で、受験料をお支払い頂きます。」
「ちなみに試験内容は教えて貰えたりするのかな?」
「試験内容は試験官に一任している為、分かりませんが、実技試験が多いようですね、たまに筆記試験という試験官もいらっしゃいますが。
さて、続きですが、依頼にもランクがあります。自身のランクと同じ、もしくはそれより下のランクの依頼を受けることができます。ランクが上がればそれだけ、依頼内容も困難なものになっていきますが、支払われる金額も大きくなっていきます」
「1級冒険者が10級の依頼を受けても構わないと?」
「別に構いませんが、10級の依頼内容は簡単なものが多いですし、支払われる金額もそれほど多くはありませんから、あまりおすすめはしませんね。
最後に、依頼を達成した場合は、依頼主が持つ依頼票に依頼達成のサインを貰って、隣の依頼達成報告のカウンターにお持ち下さい。そちらで依頼料も受け取ることができます。組合発注の場合は、依頼票をそのままカウンターへ。もし、依頼等の際に倒したモンスターの素材で不必要な物がありましたら、もう1つ隣にあります素材買い取りのカウンターへどうぞ、そちらで買い取って貰えます。以上で、説明を終わりますが、なにか質問等はございますか?」
「素材を買い取ってくれる?」
「ええ、モンスターの素材は高く売れるものもありますからね。もちろん、ご自分で捌いて頂いても構いませんが、そういった伝手を持たない方も多くいらっしゃいますから」
一気に説明されたが、気になることは特にないかな。
「お待たせしました。こちらがガンマ様の冒険者証です。無くされますと再発行料として2000G頂きますので、注意して下さい。以上で、冒険者登録を終わります。細かい規則等は後ろの棚にあります規則集をご覧ください。」
さて、これで晴れて冒険者というわけだ。
「ああ、最後に1つ」
「なんでしょうか?」
「お姉さんの名前、教えてもらってもいいかい?」
「これは失礼しました。私、マリカと申します。」
「なるほど、じゃあもう行くとしよう。
ありがとうマリカちゃん助かったよ」
「いえ、仕事ですから」
と言いつつ、少しだけ微笑んでくれた。
仕事だったからか、今まで仏頂面だった為か、そのギャップが非常に可愛い。
いい子だなぁ。
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