端末
あらすじ
「絶望」に満ちて眠った
真っ白で辺りには白以外にはなにもない場所に僕は立っていた。
はて、僕の住んでいる家にこのような空間はあっただろうか?と思ったがその考えを数秒で放棄して僕は歩いてみた。辺りはなにもなくて真っ白なのでどこに進んでいるのかわからない。それでもひたすら歩いた。
体感で三分くらい歩いたところで、なにかが視界に入った。遠目でよく分からないが何かが浮いていることだけは分かった。
僕は、それに向かって走った。早くそれを確認しなければいけない気がしたからだ。
その浮いている何かは、端末だった。携帯電話のように小さかった。折り畳み式の携帯電話……ではなくボタンがなく、画面が端末のほとんどを占めている。一言で言えば「スマホ」だった。
そのスマホは突如画面が光り、文字を表した。
「こレは…所ユウ者と人ノ人生をソウサしアヤツルことができる端末…この端末をツカえば自分と人のジンセイを入れ換えることもできるし他人のジンセイを幸にも不幸にもできる。使い方はショユウ者シ…ダイ」
うん、どうやらこのスマホは壊れているらしい。人生を操作なんてできるはずがない。
そんなことができるなら、僕はあんな悲しい思いはしていない。
だが僕は、そのスマホに手を伸ばした。頭ではわかっている、そんなことはできっこないと。それでも手を伸ばすのを止めることは出来なかった。
スマホを手にとるとまた新たな文字が表れた。
「おめデと…うごザイマス、これ…でこの端末はアナタノモノデス。それ…では良いジンセイを選ビ、オススミくだサイマセ」
突然、スマホの光が強くなり、辺りに広がっていった。そして僕はまた目を閉じた。