表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

第一話「幕開け」

 これは遠い未来のお話


 生き物も地球も死んだ世界


 そこに唯一生きている永遠の命を持つ少女


 少女に命を与えた神


 そして、神は少女の祈りを聞いて新たな世界を作り上げた


 その世界は少女を苦しめるためだけに作られた舞台


 神の気まぐれによって踊らされる哀れで悲しい少女


 そんな少女の物語

 全てが廃れはて、何一つ生物のいない世界。ただ太陽に照らされ続け水すらも枯れ果てた。そんな世界に一人だけ少女がいた。灼熱の太陽を毎日浴びているのにその少女は髪から爪先まで全身が白かった。小女は廃れた世界で永遠に幽閉される悲しい定めを持っている。彼女は生前神に祈った。「永遠の命が欲しい。ただ好きな人といる時間が欲しい」と。気まぐれな神はそんな哀れな少女に手を差し伸べ永遠の命を与えた。それがこんな結末になると知っていながら。彼女はもう何百、何千年という長い時を一人で過ごしている。そんな彼女には決まった日程が有った。それは自分で決めた教会、といってもただの大きな岩だ。そこに毎日のように祈り続けた。「誰でもいい、なんでもいい。自分以外の生物が生きていて欲しい」と。毎日の祈りの時彼女は涙を流す。しかし、その涙は死んだ大地に吸われすぐに灼熱の日光で蒸発させられる。その光景を神は毎日見ていた。そしていつもこう捕らえている。

「哀れな人間、己の命の終わりを望まず、他の命にすがる。これでは不死を与えたときと何も変わらないではないか」だが、その光景に飽きたのか、彼女を哀れんだのか、それとも両方か。気まぐれな神は彼女にまた奇跡を与えた。「流石の私も『悪魔』ではない。一時の解放を与えよう。ただ、枷は付けさせてもらうがね」神は彼女が眠りに着いたとき、今の世界を構築しなおした。そう、神であるからこその業。絶対的な力だからこそなしえる。だが、それで生まれる結末は悪魔以上の悪行だ。


 そして少女は起きた。そこは自分がいたはずの死んだ世界ではなく石畳の床だった。いつもとは違う世界。にぎやかな話し声。そして自分の右腕には見慣れない紅と銀色で飾られた手錠がはまっていた。これは夢かと疑ったが自分の手をつねって痛かったため現実と認める。

 「起きたか娘よ」

 少女の脳裏に直接話してくる声があった。声の主はこの世界を構築した神だ。

 「あ・・・あなたは、以前お会いしたことのある神様なの?」

 「そうだ。お前が死んだ世界で私に何年も毎日祈っていて心を打たれた。だから、祈りを聞いて命のある世界に再構築した。」

 「ということは、これは現実なんですか?私の祈りは・・・届いていたんですね」

 少女の眼からは涙が流れてきた。その涙は今まで祈りの時に流していたものとは違うものだ。

 「あぁ、そうだ。だがこの世界で一つだけ約束して欲しい。どんなに辛いことがあっても『死にたい』とは願うな。これが約束だ。そうでないとこの世界は消えてしまう。いいかな」

 「分かりました!ありがとうございます!ありがとうございます!」

 少女はそこにはいない神に涙を流し頭を下げ何回もお礼を言った。そのとき自分のほうに近づいてくる足跡が聞こえる。少女にとって何千年ぶりの人との対面。少女はとても嬉しかった。こちらに来たのは大人の男三人だった。しかし、彼らは猟銃を持っていて少女を見ると怖い顔になり銃を向けた。

 「いたぞ!魔女だ殺せ!魔女は全員殺せ!」

 少女は人に遭えたうれしさの顔だけど理解が出来ずに固まっている。そう、神が再構築した世界は魔女狩りが行われている時代。そして少女は魔女のひとりということになっている。彼女の周りに味方はいなく敵しかいない。

 

 「さぁ、愚かな少女よ。いつまで耐えることができるかな?人間というものは簡単に心が変わる。何千年一人で寂しかったとしてもここで数年、殺される日々を暮せばいずれ心は折れる。そして自分の死ねない体を恨み『死にたい』と願うようになる。そしたらまた死の世界に戻る。くっくっく、しばらくは退屈しなくて済みそうだ。」

 神は少女に永遠の命を与え少女のために世界を再構築した。一見するとやさしい神かもしれない。だが、それは神自身が退屈しないためのおもちゃでしかない。そう、この神とは神の皮をかぶり絶望というコメディを見ている悪魔なのかもしれない。だが、神ということに変わりはないため抗うこともできない。


 少女は今、神の手のひらで悲しく踊るマリオネットである。

 初めまして「蟲之字」というものです。この作品は今連載中「血塗りの監獄-Bloody School」こと「ブラスク」の息抜き程度の書いたものです。

 

 突然思い浮かんだので「これは…書くか!」となり書きました。


 まぁ、小説書く理由なんて大体そんな感じですw


 この作品のタイトル、「偽りの世界 - A Sorrowful Marionette-」の英語のところは直訳して「悲しきマリオネット」です。最初に「A」がついているので一つ(一人)ということです。


 タイトルに英語入れるときってこんなもんですよねぇ?


この作品は3月に書き始めたばかりで全然ストックがありません。なので「ブラスク」以上に不定期になります。


上げるときは基本ブラスクと一緒にってなります。


また、今作品は結構短くなります。正直ネタバレです。息抜き程度に書いているからです。


それでも読んでくだされば嬉しいです。


感想など待ってます。

 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ