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プロローグ
悪夢は突然、降ってきた。
にわかキリスト教信者が激増するその夜、とくに何をするわけでもなくクリスマス・イブという行事を流していた少年。彼は十五年間培ってきた常識を、一瞬にして破壊された。さらに儚い常識を叩き壊して居候宣言までしたサンタの少女に、平凡な日常さえ奪われる。
それは絶対絶望の状況で、生きていることを悔やんだくらい。
少年と居候は敵対心(別名・殺意)を抱きながらも笑顔で、当たり障りないようにお互いが気を使いながら暮らし…………たいです。
けれど現実、一方的に少年が気を使ってます。誰か助けて!
そんな哀れな主人公の名前は中井斗助。
運動、勉強ともに優秀であり、そしてさらに眉目秀麗という完璧な中学二年生。
もちろん、僕です。
これは、多分正しいと思われていた常識を木っ端微塵に砕かれたあの夜に始まった、変えられない運命の物語。
それは、そう。十二月二十四日、聖なる日の前夜のこと。
惨劇は(なぜか)幕をあけ(てしまい)ました。