《愛》と《夢》
あの日から少したって。
私の前に立つのはあの時の娘と彼の人によく似た人形。
ああ、美しい。
わざと姿を表し、この場所を用意した。
再び手に入れるために。
そのために。そのためだけに。
金ならある。
コネもある。
彼を手に入れるために彼女を。
そう思っていたが気が変わった。
技術もある。
力もある。
欲しい。
純粋にそう思った。
一応最初は条件を提示させ、こちらへ来るように言う。
だが、それでこちらに来るなんて思ってはいない。
そんなに簡単だったらここまで苦労はしていない。
けれども、勝機は十分にある。
こちらには《姫》がいるのだから。
案の定、あの娘は《姫》にはかなわなかった。
それはそうだろう。
最強に、と私が請い、彼女がその要求通りに造り上げたのだから。
いくら創作者といっても限界はある。
所詮人形は主の命に従うのみ。
人形を従わせることを知らない者に、人形を使いこなすことなど出来はしない。
それが私と彼女の、唯一にして絶対の差。
これで、全てが手に入った。
そう確信していた。
やはりアナタは私に逆らうのね、黒金。
彼女と《姫》と私を一息に貫くその剣は、私には見えなかった。
口から暖かいものがこぼれ、くらりと身体が傾く。
彼の人は彼女を抱き目蓋を震わせていた。
そこにいるのは私でありたかった。
私が求めていたのはそれだけだったというのに。
何が、違ったのだろうか。
何が、足りなかったのだろうか。
その女が、恨めしい。
そう思ったところでぷつりと意識が途切れた。
.
なんか、続けたくなってしまった。
気まぐれで続く…かもしれない。