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《別れ》と《決別》
逃げられるくらいなら。
そういって部下を向かわせたあの場所。
最後くらい、見届けなければね。
そう呟いたのを聞いていた人は何人いたのだろうか。
傍に控えているのは《姫》。
幼女の姿で、表情を変えることなく人を殺める姿は、もほや芸術としか言いようがない。
自分の作品で死ねるなら本望だろう。
そう思い、自ら赴いた《研究所》。
そこには、あの人を掻き抱いて泣き叫ぶ少女がいた。
殺すな。
そう命じたのに。
何故。
私が殺す。
そのことに意味があるというのに。
使えない奴らめ。
まあ、いい。
これで、私に逆らうとどうなるか身にしみたことたろう。
あの少女は、もう二度と私に逆らわない。
それなのに。
余計なことを吹き込んだ奴がいたらしく、彼女は私の腕の中から抜け出してしまった。
逃げられた、とは思わない。
必ず彼女は私の元にやってくる。
それが定めなのだから。