あの人と少女
あの人が欲しかった。
どことなく寂しげで。
なんとなく諦めているようで。
それなのに、その手はあらゆるものを生み出す。
その手から生み出されるものは、とても美しい。
その、あらゆるものを生み出す手が好きだった。
その、生み出されたものが欲しかった。
それなのに。
あの時が選んだのは私ではなかった。
まだ幼さの残る、とても美しい少女。
期待に満ちたその眼は、あの人以外をとらえていないようだった。
その純粋さが羨ましく、嫉ましかった。
やがて
少女はあの人の期待に応えるため。
あの人は少女を手元に置くため。
2人で地獄に堕ちることを選んだ。
人の所業とは思えない仕事。
人の命をモノとしか見れない哀れな2人。
そんな2人を支援する私もどうかと思うが。
金は有り余るほどあった。
資金を与えた。
場所を与えた。
生活を与えた。
何不自由なく研究が出来るように。
美しい《作品》を生み出せるように。
そうして私がお膳立てをしてあげたのに。
私を裏切ろうとした。
あなた達だって同じ穴の狢だろうに。
ああ、その少女を守るために。
私の手元を離れるというのか。
ふざけるな。
誰のおかげでここまてこれたと思っている。
私がいなければ。
裏切るなんて、許せない。
2人とも私のもの。
逃げられるくらいなら、いっそのこと。
友人と燃え盛った創作の、派生のお話。
でも、全く別のお話。