お約束
やはり最後はこれでしょう(笑)
結婚式と二次会を終え、俺はラナと二人でホテルに一泊することになっている。
明日から新婚旅行だ。ここまできついスケジュールだったが、俺の仕事の都合がつかないために彼女には苦労を掛けてしまった。
「はぁ~、疲れたぁ~」
部屋に着くなり、彼女はベッドにダイブした。
俺は荷物を置き、ジャケットを脱いでハンガーにかける。
「そのまま寝ちゃ駄目。お風呂入ってきなさい」
「は~い」
彼女は足早にバスルームに消えた。
俺はソファーに座り、ようやく一息ついた。
――綺麗だったな、ドレス姿の彼女は。
眩しいほどに輝き、笑顔はパァッと花が咲いたようだった。
幸せそうな顔をして「慎也さん」と呼んでくれる。もうそれだけで、俺は満足だ。
ぼんやりと今日のことを思い返しているうちに、彼女が出てきた。
「出ましたよ~。慎也さんもお風呂どーぞ」
「ああ」
でもまだ今日の予定は完遂していない。もう一つ、大事な行事が残っている。
そう、今日は結婚初夜。もう何度も彼女を抱いてはいるが、今日はまた特別だ。
念入りに、でも素早く汗を流す。乱暴に髪の毛を拭きながら、バスルームを出た。
ベッドに近づき、横になっている彼女に近づいた。
「ラナ……」
俺に背を向ける彼女の腰に手をまわして身体を起こし、そのままキスしようとした。
しかし彼女は固く目を閉じて、すぅすぅと気持ちよさそうな寝息を立てて、すでに夢の中だった。
「……またか」
デジャブ。またもやこんな状況になるとは。
――――ま、仕方ないか。大変だったからな……。
ずっと緊張していただろうし、すべてが終わって気が抜けたのだろう。
それに明日から新婚旅行。旅行中に体調を崩されるのは困る。
彼女をちゃんとベッドに寝かせ、掛布団をかける。
「明日は覚悟するんだよ。……おやすみ」
彼女の頬をそっと撫で、軽く口づけた。
これにて結婚式関連小話、終了です。
次回からは脇キャラ話。
第一弾は沙羅姉さんです。




