夜の恋愛講座
本編「目には目を、歯には歯を」に続くお話。
書いているうちに変な方向に行ってしまいました。
かなり変態です。
人によっては不快に思われる可能性があります。
またあけすけでちょっと露骨&多少のBL要素があります。
苦手な方は閲覧注意です。
その日の夜、やって来たのは少し前にも来たマンション。チャイムを鳴らし、出てきた人物に食い気味に叫んだ。
「ひろみ先生! 男の人を襲うのにはどうしたらいいですか!?」
「はぁ!? あんた、何言ってんの?」
慎也さんが無理矢理抱いたことに罪悪感を抱いているなら、わたしも同じことをすればいい。自分を犯罪者だと思うなら、わたしも同じ犯罪者になります。
首を洗って待っててくださいよ、慎也さん。わたしは必ず、あなたを取り戻す。そのためだったら、ちっぽけな羞恥心などゴミ箱に捨ててやりますよ!!
先生は突然やって来てはおかしなことを口走るわたしに驚き、呆れ、そして怒った。
「あんたねぇ、今何時だと思ってるの? もう八時よ! こんな時間に男の家を訪ねて、何考えてるの。こういう無防備で考えなしのところがお兄さんの逆鱗に触れているの、わかってる?」
「解決法を思いついたら、いてもたってもいられなくて。それに先生はおネエですよね?」
「そういうことを言っているんじゃないの。男だろうと女だろうと、ちょっとは常識を考えて……」
「ひろみぃ、お腹すいたぁ。ご飯ちょうだ~い」
先生が説教していると、わたしの後ろから女の人の声がした。振り向けば、すっごくかわいらしい女の人が立っていた。わたしと先生の顔を交互に見て、かわいらしく小首をかしげた。
「あ、取り込み中?」
先生は眉間に皺を寄せたまま、唸るように言った。
「……二人とも、さっさと入りなさい。玄関先で騒ぐと近所迷惑よ」
こうして何とか家に入れてもらえた。ソファーに座るように言い、先生はプリプリ怒りながらキッチンに消えた。
隣に座る女の人はわたしをじっと見つめていた。キラキラしててかわいすぎて、何か変な気分になる。肌白いし、目デカッ。まつ毛も長いし、華奢な人だ。とても同じ性別だとは思えない。
居たたまれないでいると、彼女が話しかけてきた。
「こんばんは。わたし、ミコっていうの。あなた、お名前は?」
「……ラナです」
「かわいい名前ね。で、ちょっと聞いちゃったんだけど、男の人を襲いたいの?」
勢いで言ってしまったとはいえ、初対面の人に聞かれるなんて恥ずかしすぎる。穴があったら入りたいよ。
「えっとその……」
「痴女になりたいの?」
「ち、違います! わたしが襲いたいのは彼氏です!」
「ふ~ん、そっかぁ。満足できてないんだ、そっかぁ……」
そう言いながら綺麗な顔が近づいてくるんですけど。にじり寄られ、軽くぽんと肩を押される。簡単にソファーに倒れ込んだわたしに、ミコさんが覆いかぶさって来た。
「え、あ、あの……」
「お姉さんが気持ちよぉ~くしてあげようか?」
囁くようなセリフに赤面する。
何これ、エロ―!! つーか、むしろ危機!? この人、そっちの人なの――――!?
固まったまま動けないわたしの顔に、綺麗な顔がどんどん近づく。
キスされる! と覚悟した瞬間、ふっと身体の上にあった重さがなくなった。起き上がって見れば、ミコさんは先生に襟元を引っ張られ、思い切りげんこつを食らってた。
「いたぁ~い!」
「ふざけるのもいい加減にしろ。この子は真剣なんだ。からかうなら帰れ」
いつものおネエ口調とは正反対の、低くて男みたいな言葉を使う先生をはじめて見た。
びっくりして目を丸くしていると、先生はミコさんを解放し、再びキッチンに戻っていった。ミコさんは頭をさすりながら、しゅんとして謝ってきた。
「ごめんねぇ。いたずらが過ぎたわ」
「い、いえ……。あの、ミコさんは女の人が好きなんですか?」
勇気を出して訊いてみれば、キョトンとされる。
「え、わたし? ノーマルよ。恋愛対象は男」
「そうですか」
ホッとしたのもつかの間、次の言葉にまた衝撃を受ける。
「彼氏はゲイだけどね」
「ええっ!?」
どういうこと!?
……でも、待てよ? こんな夜遅くに先生の家を訪ねてきたり(わたしが言うことじゃないけど)、ご飯作ってもらったり、しかもあのおネエが男らしい言葉使いで話すんだもん。納得!
「ミコさんは先生の彼女さんなんですね。そうとは知らずに、こんな夜遅く来ちゃってすみませんでした。でもわたしと先生は先生と生徒の関係で、決してやましいことは……」
「ち、ちょっと待って!」
言い訳のように話していると、ミコさんが慌てて言葉を遮った。
「わたしの彼氏はひろみじゃないわよ。もっと胸板の厚い筋肉男なの。ひろみみたいなヒョロ男にはきょーみナシ」
「ヒョロ男とは何よ! こう見えて脱いだらスゴイのよ?」
先生がキッチンから顔を出して怒るが、それでもミコさんは首を横に振る。
「脱いだとこ見たことあるけどあんな筋肉、筋肉とは認めない! ……まぁひろみが女だったら嫁に貰うけど」
「わたしもあんたが男ならとっくに喰っちゃっているけどね」
……おいおい、両想いじゃない? というかそのままで性別的にもピッタリじゃん!
やはり未だにミコさんのレズ疑惑は拭えない。先生、心は女だし。
それからよだれが垂れそうなほどおいしそうなご飯をごちそうになる。ミコさんはマイ箸、マイ茶碗を先生宅に常備しているらしく、よほど頻繁に来るのだろう。どうしてもこの二人の仲を疑ってしまう。
「で、男の襲い方だっけ? どうしてそんな展開になるの?」
先生の問いにミコさんが食いついた。
「何、何? どういうこと?」
仕方なく、かいつまんで説明した。彼女は「ふむふむ」と大きく頷く。
「要するに無理矢理ヤってしまった罪悪感で、彼氏が触れてくれなくなっちゃったから、自分も同じことをしてしまえばチャラになる、と?」
「そうです」
「あんたって本当に単純ね。そんな簡単な話じゃないと思うけど?」
先生は呆れたけど、ミコさんは賛同してくれた。
「いいんじゃない? これからの時代、女もどんどん攻めていかなきゃ」
「あんたは前に男襲っているから簡単に言えるけど、この子は初心で彼氏に従順な女なんだから無理に決まっているでしょ」
「え!?」
マジで!? そのかわいらしい外見からはとても想像できない。
ミコさんは先生の言葉に怒って頬を膨らませた。くそう、そんな姿もかわいいな。
「失礼ね。誰が痴女だ。あいつしか襲いません!」
「襲っているじゃない」
「ほ、本当なんですか?」
「本当よ。彼氏……まぁ正確には彼氏ではないんだけど、そいつ全く女に興味ないの。だけどわたしを女除けとして彼女のフリさせてるから、その罪悪感なのかしら。ちゃんと抱いてくれたわ」
先生の知り合いってやっぱりヘビーだな。まさに大人の世界。わたしには刺激が強すぎる。
すると先生がため息をつきながら呆れている。
「『抱いてくれた』じゃないでしょ? 抱かざる負えないところまで、追い込んでいるんじゃない」
「そうとも言う」
「犯罪ね」
「途中で同意は取ったわよ」
すごい! 肉食女子だ。初めて見た。好奇心がむくむくと湧いてくる。
「で、ミコさんはどうやってその人を襲ったんですか? 参考までに教えてください」
「やめなさい。この女はイカれてるからキケンよ!」
でも聞きたいよ。すっごく気になるもん。ミコさんは満面の笑みで頷いた。
「いいわよ。お姉さんが何でも教えてア・ゲ・ル」
うわっ、エロっ! ドキドキしてきた!!
しかし、先生が不機嫌そうに止めてきた。
「今度にしなさいよ。もう遅いんだから帰りなさい。送って行ってあげるから」
「イヤですよ。せっかくなんで今、聞きたいです」
「いいじゃん、ひろみ。堅いこと言わなくても。……あ、うちに泊まっていきなよ。隣だし。部屋汚いけど」
こうしてなんとか夜の恋愛講座が始まった。
「で、どうやって襲ったんですか?」
興味津々のわたしにミコさんは「うふふ」と妖艶な笑みを浮かべた。
「まずお酒を飲ませるの。で、べろべろに酔っぱらってきたら、両手を縛りあげて家具とかに固定するの」
やっぱり手の拘束は必須なんだね。ふむふむ。
「抵抗されないんですか?」
「されるよ? でも、『嫌よ、嫌よも好きのうち』って言うしね。とにかく素早く」
「殴られたりしませんか?」
「大丈夫よ。むしろ女を殴ったり蹴ったりする男なんて、こっちから捨ててやりなさい。そんな男はクズよ」
先生は無言でご飯を食べ進めている。すごく不機嫌そう。眉間の皺が深いもん。
そんな様子にも構わず、ミコさんは話を進めた。
「で、馬乗りになってキスしたり、愛撫したりするの。楽しいわよぉ。はじめは必死に抵抗してくるのに、だんだん呼吸が荒くなってね、瞳に欲情が浮かんでくるの。で、下半身を攻めるんだけど、簡単に楽にしてあげない。焦らして、焦らして、自ら堕ちてくるまで攻め続けるの。で、抗いながらも悔しそうに快楽に堕ちる瞬間が最高にエロくて、もう堪んない」
その場面を思い出したのか、恍惚の表情を浮かべるミコさん。予想以上の話に脳みそのキャパが超えました。
真っ赤になりながら聞いていると、先生が低い声で唸った。
「だからやめときなさいって言ったのに。この女のイカれ具合はあんたには重いわ。参考にしちゃ駄目よ」
「じゃあひろみが話してあげれば? 男を襲うんなら、ひろみの話だって参考にできるじゃん」
「そんな生々しい話、この子にはできません」
「あれならよくない? ほら、千歳の友達を手籠めにした話」
て、手籠め!? 先生、そんなことしてるんですか??
「私を悪代官みたいに言わないで」
「千歳って、先生の弟の千歳さん?」
「あら、ラナちゃん知ってるの? 千歳ね、わたしの同級生なの。アレはモテたわよぉ、男に。ちょっと悪ぶってたから、それに憧れるかわいい系の男の子にモテモテ。だけど本人はノンケで女好きだからね。全く気付かなくて、それを横からサクッとさらってパクって」
「……先生」
「な、何よ、その目は」
うわぁ、ちょっとそれはないんじゃないですか? せっそーなし?
ついつい非難の眼差しで先生を見てしまう。
「昔のひろみは本当に酷かった。手当たり次第ってやつ? とりあえず身体から、みたいな感じで片っ端から引っ掛けて、合わなかったら即さようなら。酷いオカマよねぇ」
「うるさい、バカ女。あんただって男運皆無のくせに」
「男運ないんですか、ミコさん」
「そうよ。この女はね、変な男にばかり惚れるダメ女代表なの。初カレには他の女の身代りにされて、次の男は偽名使うような後ろ暗い男。で、変な性癖の男に心を一切開かない面倒な男で、今はゲイ。もう一生結婚できないでしょう」
「うるさい! そのうち二人は好きになってないもん! それに初カレは別の男。一週間で浮気されたけどね」
うわぁ、一週間で浮気って酷いなぁ。
「それに彼氏に自分の身体をいいようにもてあそばれたのにムカついて、あらゆる手段を使って屈服させるようなド変態なあんたを、どこの男が嫁にもらってくれるっていうわけ?」
「ドSの男を屈服させたことの何が悪いのよ。偉そうだったからムカついたんだもん。そっちこそノンケの男を同性愛に目覚めさせてさ。日本が少子化なのはひろみのせいよ! いたいけな男の子を何人食い散らかしたのさ。かわいそう~。バチが当たってしまえ!」
うわぁ、恋愛遍歴がヘビー過ぎる。無理。そんな経験したら、わたしだったらもう恋愛できないよ。この二人、すごすぎる。
「フン。バチなんてダーリンとの幸せオーラで跳ね返すわよ。私はあんたなんかよりずーっと幸せ。ざまぁみろ」
「ムカつく!! わたしだって十分幸せだもん!」
「彼氏でもないくせに。手を出してくれないからって襲って、ヤリ逃げした女のどこが幸せなのよ。嫌だ、嫌だ。不毛よ、不毛」
「不毛だなんて言われなくてもわかってるし。それでも好きなんだから、しょうがないじゃん!」
「あの、喧嘩はやめてください!」
これ以上熱くなられても、止められないんでやめてください。
いまだ燻り続ける怒りを必死で抑えながら、無言でご飯を食べ進めた。
食事の後、先生が入れてくれたお茶を飲んでいると、突然ミコさんが面白そうにクスクス笑い始めた。
「ミコさん、どうしたんですか?」
「いやね、面白いことを思い出しちゃったなぁ~って」
「面白いこと?」
「ひろみがどうやって男を陥落させていくかの過程」
その言葉に、先生がそばにあったクッションを思い切りぶん投げた。それを素早くよけるミコさん。怖っ。また一触即発?
「それ以上言うな、バカ女。出入り禁止にするわよ」
「ふん。さっきのこと、まだムカついてるから言っちゃうも~ん。ひろみってね、本命彼氏には受けなのに他の男には攻めなのよ。だから男言葉になるし、容赦ないのよ」
「先生が男言葉?」
そういえば、さっきも一度だけ使ってたよね。珍しい。
というか先生、男役と女役、両方いけるんだ……。ん? でも何でそれをミコさんが知ってるんだ?
「あの、どうしてミコさんがそのことを知ってるんですか?」
「この目で見たからね。獣よ、け・だ・も・の」
「み、見たんですか!?」
うえぇぇ!? マジでぇ!? 他の人のエッチ、見ちゃうの!?
「わたしのご飯の時間におっぱじめたからね。そんな時間に始めるひろみが悪い」
でもこの家、先生のうちだしなぁ。ミコさんも気を使って帰ればいいのに。
先生はものすっごく不機嫌。当たり前か。
「この女、こういう恥も外聞もない変態なの。だから必要以上に関わらないことをお勧めするわ」
「そういうひろみだってわたしの存在を利用して、いたいけな男の子を言葉攻めしてた変態じゃん。『ああ、見られて感じているのか。とんだ淫乱だな』とか『ほら、言えよ。こんな淫乱な僕をもっと見てください、って』とか言っちゃってさ。嫌がる男の子に結構エグイことしたくせに。あまりに酷くてさすがに引いたわ」
先生、キャラ変わり過ぎでしょ!? ミコさんもよくそんな場面でご飯食べられますね? わたしには絶対無理です。
「本気で嫌がることはしないわよ。見てればわかるでしょ? そういう性癖の男だからそうしただけじゃない」
「まぁね、見てればわかったけど。でも朝までとか、どれだけ性欲強いの? 相手の子、廃人寸前だったじゃん。危ないオカマ」
「なによ、途中で飽きて爆睡したくせに。あの中で眠れるなんて、あんたやっぱどこかおかしいわよ」
「帰ろうとしたのを『帰ったら、もうご飯作らない』って脅したのは誰よ。そっちの方がおかしいって。人を性生活のスパイスにしやがって」
うわぁ、どっちもおかしいよ。慎也さんはそんなことをする人じゃなくてよかった。人に見られてとか、無理だし、恥ずかしい。きっと泣く、絶対泣く。
それからもヘビーな話をたくさん聞いて、脳みそ沸騰状態。ある意味大人の階段を昇ってしまった気がする。
日付が変わる少し前に先生の家をお暇してから、ミコさんの家にご厄介になった。
用意された布団に寝転がると、隣で横になるミコさんはぽつりぽつりと自分の恋愛を話し始めた。
二人だけになると、ごく真面目な話でちょっと安心。どうやら例の彼氏さんと別れる(?)寸前らしく、その表情はとても悲しそう。
「自分の好きな人が同じように自分のことを好きになってくれるって、それだけで奇跡だよね。だからラナちゃん、絶対に諦めちゃ駄目だよ」
そんな励ましに、思わず泣いてしまった。
そして次の日、朝からバイトがあるから早めに帰ることにした。
「お邪魔しました」
「ううん。こっちこそ掃除してもらってごめんね」
ミコさんの家はかなりごちゃごちゃ散らかっていました。一宿一飯の恩義ってやつです。やりがいがあったな。
ミコさんがじっとわたしを見つめ、訊いてきた。
「ラナちゃんってさ、もしかして沙羅さんの妹?」
「姉を知ってるんですか?」
驚いたわたしに、なぜか満足そうに「そっか、そっか……」とニヤリと笑った。
「お姉さんによろしく言っておいて。またいつでも遊びに来てね」
しっくりこないままミコさんの家を後にした。帰宅し、出勤前の姉に伝えた。
「姉ちゃん、ミコさんが『よろしく』だって」
姉は考え込み、首をかしげた。
「ミコさん……? 誰かしら?」
え、知らないの!? ミコさん、あなた、何者なんですか!?
謎の女の正体はいつかわかる(爆)
なんかいろいろとすみませんでした(汗)
おまけ小話はラナが帰った後の二人。
相変わらず変態。ご注意を。
↓
↓
↓
おまけ小話「同族嫌悪なふたり」(ほぼ会話文注意)
ラナが帰った後、ミコは隣の部屋へ向かった。部屋に入り、家主の顔を見るなり一言。
「ひろみ、にがーいコーヒー入れて」
「あら、珍しい。アンタ、あっまーいカフェオレしか飲まないじゃない」
驚くひろみに苦笑いを返した。
「ちょっと目を覚ましたくてさ。ラナちゃんがピュアすぎて当てられちゃったよ」
「あの子、帰ったの?」
「うん、さっき」
ひろみからカップを受け取り、口に含むなり眉間に皺を寄せた。
「にがっ!」
「よせばいいのに」
わかりきったことをする目の前の女に呆れる。
「で、当てられたって?」
「澱んでるなぁって、自分の恋愛。ラナちゃんの話聞いてると、ムズムズするけど羨ましい」
「ふん、今さら気づいたわけ?」
「昨日二人の姿を見たとき、珍しくひろみが女と揉めてると思い込んだの。だから火に油を注いでやれってぶりっ子して声掛けたわけ。でも違ったし、ラナちゃんにひろみの彼女と勘違いされてさ。ピュアな子ってとんでもない妄想するよね」
「澱んでいるわね。特に修羅場に持ち込もうとしたところが。嫌な大人だわ」
「本気の修羅場になったら連絡してね。油注ぎに行くから」
「そっちこそヤリ捨てた男と修羅場になったら教えなさいよ。あんたがいかにド変態かを熱弁して、さっさと見切りをつけて離れるように進言するわ。その後は私がおいしくいただくから、あんたは指を咥えて見てなさい。特別に招待してあげるわ」
「ひろみにやるぐらいなら、わたし自ら開発してやるわぁ! で、身体を陥落させて、わたしから離れられなくしてやる。だからひろみは出番なしよ」
「あー、嫌だ。ここに性犯罪者がいるわ。ポリス、ポリス呼んで~」
「聞き捨てならんぞ、コラ」
「昔もそう。ボロボロの身体を引きずって来たと思ったら、『男の抱き方、教えろ。あいつ絶対なかす。二つの意味で』とか言って。その考え、犯罪者じゃない。私、何も間違ったこと言ってないわ」
「えー、楽しいのにぃ。さっきまでオラオラ言ってた男が、わたしの足の指一本ずつ舐めながらハァハァ言ってんのよ。そんで潤み目で縋りついてくんの。滑稽だわ」
「……ド変態」
「ひろみだって同じようなことさせてるくせに。対処法は全部ひろみの教えだっつーの」
「……否定はしないわ」
結局、同族嫌悪な二人の朝の一場面。