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孤高の妖精―――#01 異端者 シャルロット

作者: 遍駆羽御

#01 異端者 シャルロット


詩:遍駆 羽御


夕暮れ空と同じ茜色に染まる母の顔

あの笑顔に出逢いたくて 何度も幼女は棺を叩く


「かあたん、起きて……」


あなたは我が子に一言 言いたくて喋った

「シャルロット 、かあたんはあなたと違う世界に言ってしまったの、バイバイ」


「かあたん? かあたん! いた!」


棺の中空を指さす小さな穢れ無き指先

司祭はシャルロットを毛深い指先で示す


「こいつは幽霊が見えている異端者だ!!!」


何も知らぬ乳歯を覗かせて微笑むシャルロット

ボロ絹といってもいいかあたんのチュニックを着た幼女


「逃げてシャルロット!!」


首を傾げる幼い我が子にあなたは生きて欲しいと心から願う

その時 天使様がリランテ墓地に立ち寄った


「エイミー 私があなたの担当の天使です」

「天使様 お願いです、シャルロットを助けて!!」

「天使に下界の者を助ける為の力を借りるってことは違法だ。それでもかい?」


深く肯くあなた

天使様は爽やかな笑顔で――――


「あなたに良い地獄を。その子に良い天国を」


幼女の足は一人でにスキップを刻む 俊足とも評すべき韋駄天走り

並走する謎の馬

馬に乗る幼女


「かあたん、一緒においで?」

「ううん、わたしは来れない。シャルロット、いつまでも純粋さを忘れないで」

「うん!」


幼女はかあたんの運命など知る由もなく 微笑んで夕のベールに消えていく


あなたの足には無数の鎖が絡み合う

草むらだった地が血の住まう土地に早変わる

天使様の顔が180度 回転し 悪魔の顔を現す


「解釈の問題だよ エイミー 天使も悪魔も同一質の存在なんだ。人間の運命を―――」


悪鬼羅刹を無理矢理に顔に凝縮した笑顔


言葉はその笑顔に奪われていく…… でも あなたは幸福だった

例え…… 地獄という名の血の海の一部と化そうとも

意識が失われていく中 自分の手足が血液と化してゆく


「ああ もう 何も考えられないのか? 花を摘んでくれたシャル」

「シャル あなたの成長した姿が見たい」


願いは涙と一緒に 意志と一緒に 朱い運命へと結合していく


一人 残った悪魔は血の海を全て 長い 長い舌で吸い取った

腹は満たされた 世界を紡ぐ力を手に入れた


「――――弄ぶ存在なのだから」




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