一日目
服の毛玉取ってたら最初の一文を思いついて、勢いで書いてみました。
小説書いたのは初めてなのであたたかーーーい目で見てやってください。
人の精神とはかくも脆いものであったか。眼下で叫ぶ男を見ながら私はなんの気なしにそう思った。
私はこの男の事など何一つ知らないが、彼の口から溢れる音と彼のいるこの場所を鑑みれば誰だって私と同じようなことを思うだろう。
ふと気が付けば空が赤く染まり始めていた。この建物も人気が減り、怪談で語られるようなある種不思議な気配に包まれるのだろうか。もうこんな時間かと一つ呟き、私は彼の部屋を後にした。
一度外へ出てきたはいいものの、やりたいこともやるべきこともない。かと言っていつまでもここに突っ立っているわけにもいかないので、重い足を少し動かす。足が鉛のように重いとはよく言ったものだ。自分がそんな状況に陥ってみて初めて気が付いた。なるほど確かに心模様を反映するかのように存外重く感じるものであった。
動き出したはいいものの行くあてもなければ、帰る場所もない。なんとなくで足を動かす。天気はあまり良くないが、初めての場所を歩くのは少し楽しい。晴れていればきっとあのビルの窓が反射して目がつぶされてしまいそうだなと、くだらないことを考えた。
いつの間にか日が暮れて暗くなってきたが今夜はどうしようかと辺りを見回した視線の先、少し遠くに公園が見えた。まあ短い一度きりの人生だ。何事も経験だと言うし、どうせ私が犯罪に巻き込まれることなどありえない。ここで野宿をしてみるのも一興だろう。ベンチなど固くて寝られるかと思いはしたが、今の私にはあまり関係がなさそうだし、今夜はここで眠るとしよう。