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詩歌集

煙草の匂い



 ふわり。


 眠っていると、微かな冷たい風と煙草の匂いがして。


 瞼をゆっくりと開き、ベッドの上で寝返りを打つ。


 すると、隣で寝ていたはずの彼が居ないことに気づいて。


 もそもそと体を起こし、ベランダの方を見る。


 ゆるやかに靡く白いレースのカーテンの向こう。


 ベランダに浮かぶ、シルエット。


 彼だ。


 ベランダの手摺壁に凭れながら、煙草を吸っているようだ。


 煙草の匂いが、ベランダからふわりふわりと漂ってくる。


 私は昔から、煙草の臭いが苦手。


 でも、彼の煙草の匂いだけは許せる。


 彼が煙草を吸うたび、彼がそこにいるって気づけるから。


 ベッドから降りて彼のところに行こうかなと思った…けど。


 ゆるやかに靡く白いレースのカーテンの向こう。


 月明かりに浮かぶ、彼のシルエット。


 ベッドの上でアヒル座りをしながら。


 私は静かに、煙草を吸う彼の後ろ姿を見つめていた。




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― 新着の感想 ―
[良い点] 彼の煙草の匂いなら許せる。というところに共感しました。自分も煙草を吸う人間なので、彼女はどう見えているのか、どう感じているのかなんてことを考えながら読みました。とてもいい作品を、ありがとう…
[一言] たばこ、私は吸いませんが何となくわかる気がします 知らない人のタバコの臭いは嫌いなんですけどね…
[良い点] 彼の煙草は、存在確認できる安心剤なのですね。 私も煙草が苦手なのですが、この煙草ならゆるせるかもしれません。
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