第1話-魔法使いの少女-
どうぶつ達と島で生活する少年、アニー。
ある晴れた日、アニーは島の高台で海を見ながらのんびりとくつろいでいた。
アニー「平和だなぁ。天気もいいし、気持ちがいいなぁ〜」
その瞬間、大きな落雷とともに島は嵐に見舞われた。
アニー「えっ?」
一瞬のことで、しかもなんの予兆もなく天候が変わったことの驚きが隠さなかった。
???「ふっふっふっふっ」
アニーは笑い声の方を振り向いた。
空に浮かぶ謎の仮面を被った人物がそこにはいた。
???「我が名はウェザード。この世界を滅ぼす者なり」
アニー「世界を滅ぼすだと!?なんだか知らないが、そんなことはさせないぞ!!」
宙に浮く人物、そして周りの天候が一瞬で変わった力を持つ程の恐ろしい存在。
アニーはそれを理解していたが、なぜか自然と恐怖はなかった。
ウェザード「ほぉ?私に逆らうと言うのか。ならば見せてやろう。私の力をな!」
ウェザードは嵐を増幅し、島は光を通さないほどの大雨と落雷と暴風に見舞われた。
アニーは嵐に巻き込まれ、気を失った。
アニー「うっう〜」
アニーが目を覚ますと、そこは見覚えのない森へと漂着していた。
周りには人の気配もない。
しばらく、周りを散策してみた。
アニー「人は誰もいない。あいつらは誰だったんだ?島のみんなは無事なんだろうか。」
色々と考えると、アニーは不安になってきた。
「まだ生きていたか。貴様もしぶとい奴よ」
「奴が例の?」
「さよう。流石に、あれではくたばらぬか。」
そこにいたのは先ほどのウェザードとなのる人物、そして黒子で顔を隠した男がもう1人いた。
黒子「今のうちにやっちまいますか?」
ウェザード「仕留めろ」
黒子「お任せを!」
黒子は杖らしきものを取り出し、天へと掲げた。
力を練り込むように杖を回していると、いきなり怪しく杖が光り始めた。
黒子「くたばれ!」
その瞬間、落雷がアニーへと降り注いできた。
アニーは間一髪で避けた。
黒子「チッ、勘がいい奴め。これならどうだ!?」
黒子はさらに落雷を連続でアニーに落とした。
アニーは全てを間一髪で避けた。
アニー「なんだよ!アイツ!魔法なんて使えるのか!!でも、このままじゃやばい!」
アニーはその場から逃走した。
ウェザード「えぇい!何をやっている!」
黒子「も、申し訳ございません!すぐに仕留めて参ります!!」
黒子は空を飛びアニーを追いかけた。
アニーは落雷から逃げながら走った。
だが、黒子はアニーを崖のある方へと追い詰めた。
アニー「く、くそ!」
黒子「ちょこまかとうざったらしい奴め。」
黒子は杖をふり、炎の球を作った。
黒子「これで留めだ!!」
アニーは逃げ場もなく、死を覚悟した。
「そうはさせない!!」
その声とともに、ひんやりと冷たい風がアニーを包んだ。
アニーが目を開けると、そこには氷柱が地面に覆いでるように生えており、火の球を一瞬で消滅させていた。
「なんとか間に合ったみたいね。」
そこに現れたのは1人の少女だった。
黒子「貴様は、ムイ!」
ムイ「あら、名前覚えててくれたのね。でも、残念。あなたはここで倒されるのよ」
黒子「くっ、魔力もほぼない。部が悪いか。」
ムイ「やっと1人倒せるわね。それじゃ、これで終わらせるわよ!」
ムイは黒子を氷漬けにした。
黒子は体が透けるかのように消滅した。
アニー「し、死んだの?」
ムイ「奴はウェザードに作られた魔人の1人。もともと生命なんてものはないから、消滅したのが正解よ」
アニー「なんなんですか、あいつらは。」
ムイ「説明はあと!まだウェザードがこの辺を彷徨いてるから、一旦避難するから、私についてきて!といっても、魔法で飛ばすんだけどね。」
アニー「魔法で飛ばす!?」
ムイ「転送魔法トラベート!」
アニー「トラ?えっ???」
アニーとムイは不思議な光に包まれ、超高速で空へと上がり、島を後にした。
5秒もたたないうちに、新たな島へとたどり着いた。
ムイ「ここなら安全よ。あの島はライトニングのアジトに近いからあのままいたらどの道捕まってたけどね。」
アニー「ライトニング?」
ムイ「あなたもウェザードに違うところから連れてこられた人でしょ?来て、お茶でも飲みながら説明してあげる。」
ムイはアニーを家へと招き入れた。
アニー「何がなんだかまだ頭の中がパニックです。」
ムイ「無理もないわ。私もこの世界に来た時はそうだったし。」
アニー「ムイさんも?」
ムイ「3年前にね。ここへ来た時は、ある魔導士のおばあさんに助けてもらってね。そのおばあさんに色んな魔法を教えてもらったの。でも、私を匿ってたことがライトニングに知られて、おばあさんは、、、」
アニー「あの、ライトニングってなんですか?」
ムイ「そうだったわね。ライトニング・シンセシス・13。ウェザードが作った13人の魔人が統べる組織のことよ。」
アニー「ウェザードは何者なんですか??」
ムイ「私もよくわからないけど、魔導士のおばあちゃんに聞いたらこの世界の魔法の根源って。ウェザードがいるからこの世界で魔法が使えるらしいの。」
アニー「僕には、世界を滅ぼす者って。僕たちのいた世界は滅びたんですかね?」
ムイ「わからないわ。。けど、今のところ信じるしかない。みんな無事だって。」
アニー「そうですよね。」
ムイ「どのみち、ライトニングの壊滅とウェザードの討伐は必ず成し遂げなくてはいけない。ウェザードさえなんとかできれば、奴から元の世界への帰り方も聞き出せるし、この世界も含めて他の世界をも助けることができるはず。」
アニー「なるほど。でも、ウェザードは本当に僕たちが帰る方法を知っているんですかね?」
ムイ「それは大丈夫!ウェザードは私たちの世界に一度来たことがあるから。世界が存在していれば座標を聞き出して転移魔法で帰ることができるし」
アニー「じゃまずは、ウェザードですね!ムイさんの他に仲間とかいないんですか?」
ムイ「前ははいたんだけどね。奴らにやられてしまって、ここ最近はずっと一人で戦ってきたの。」
アニー「なんか、すいません。」
ムイ「いいのよ。」
アニー「足手まといになるかもしれないんですけど、僕もムイさんに協力とかできますかね?」
ムイ「本当に?協力してくれるの?」
アニー「魔法も使えないし、ろくに戦い方も知りませんから役に立たないかもしれませんけど。」
ムイ「役に立つかなんかどうでもいい。一緒に戦ってくれるだけで私には励みにもなるし。それに、貴方は自分が思ってるほど弱くはないと思うよ」
アニー「そうですかね。」
ムイ「実はあなたがこの世界に来た時、敵なのかどうかを見定めるためにちょっと様子を見させてもらってたの。あなた、奴らの落雷魔法かわしてたでしょ?」
アニー「あれはたまたまですよ。」
ムイ「たぶんだけど、あなたにも魔法のセンスがあるのかもしれないわね。私があなたに魔法を教えてあげる!」
アニー「ありがとうございます。なんか、ムイさんにそう言われると自信つきました。これから、よろしくお願いします。」
ムイ「うん、よろしくね」
アニー「そういえば自己紹介まだでしたね。僕はアニーっていいます。」
ムイ「アニーくんね!私も改めましてムイっていいます。」
アニー「ムイさん、一緒に奴等を倒して元の世界へと戻りましょう!」
こうして、二人の冒険が始まった。