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人外さんは存外真面目らしい



 大手スーパーいろは。

 品揃いもよく、凪はよくお世話になっている。

 面倒臭い時には、このいろはで、まとめて買い物をする。

 疲れた時や、作るのが面倒な時には、惣菜を買って帰ったりする。

 凪にとってはなくてはならない、ありがたいスーパーである。


 しかし。両親が亡くなり、今の凪には収入源がない。少しでも節約しなければならないのだ。

 その為、普段は安さを求め、買い物は数か所で行っている。

 そうは言ってもやはり、どうしてもこのスーパーでないと買えないものもある訳で。

 今日も凪は、この大手スーパーいろはに来ていた。


「よし! 買いもれなし!」


 かごの中を確認し、さてレジに並ぼうかと思った時、ふとチョコに目が留まった。


(うーん、どうしようかな)


 チョコは必需品ではない。ましてや特売にもなっていない。

 ただ今手に持つチョコは、凪が大好きなチョコだ。


(確かもう家にストックはなかったよね)


 むむっと悩む凪。

 その横をスッと通り抜けた人物がいた。

 目の端で見ただけだが、どうも警備員のおじさんぽかった。


(あー、怪しまれたかな)


 万引きする気はひとかけらもない。


(違うんですよ。ただね、買おうか買うまいか悩んでいただけなんですよう)


 心の中で弁解するが、足が速いのか、警備員さんはもういない。


(うう。目を付けられたら、ここに来にくくなるなあ)


 凪はがっくりと肩を落とす。

 その落ち込んだ凪の横をまたも通り抜ける人物が。


(あ)


 その人物も警備員のおじさんだった。

 しかも先ほどとは違う。


(怪しまれてるのかな)


 2人目の警備員さんの後姿を見送りながら、いやな汗が背筋を伝う。

 凪は買うアピールをするため、わざと音を立ててチョコをかごの中に置いた。


(ほら、ほら、私はちゃんとした買い物客ですからね)


 その思いをこめ、去りゆく警備員のおじさんの後姿を見て、凪は違和感を覚えた。


(あれ? さっきの人と制服が違う)


 それにもう少し前の人の方が全体的に色素が薄かったような。


(ああ)


 凪は納得した。


(1人目の人は人外さんかあ)


 きっと生前ここで、警備員の仕事をしていたのだろう。

 制服のデザインが違うという事は、少し前の人外さんなのかもしれない。

 それでも今も日夜働いているのか。


(真面目だなあ)


 死後も日課になるくらい長くここで働いていたのだろうか。


「お勤めお疲れ様です」


凪は軽く会釈すると、レジに向かって歩き出した。


ふと思いついた話です。真面目な日本人。こうした人外さんもいるかもかなぁと(*^^*)


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