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リアルチートは突然に _ゲーム初心者の最強プレーヤー_  作者: Lizard
第三章 蛇帝ニーズヘッグ
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四十七本目 蛇帝の想い



「ま、百頭竜(ヒュドラ)っつっても名ばかりで、実際に百も頭があるやつは聞いたことがねぇし……竜ですらねぇんだが。バケモンには変わりねぇけどな」



 百頭竜……ニーズヘッグが……



「つまり……僕が戦ったのは、その頭の内の一つ……一匹だと」

「そういうわけだ。どれだけの頭があるのかは知らねぇが、少なくとも五つ以上。俺が前に見た時……遠目でだけどな。その時は、それだけしか頭が無かった。実際はもっと多いだろう。頭一つっつっても、王国軍を軽く潰せる力はあるんだがな」

「なるほどね……」



 あれが……あのニーズヘッグが、いくつもある頭の内の一つ。

 ただの分身か……



「――――最高じゃないか」

「まぁそりゃ驚……いや今なんつった?」

「最高だ、って」



 やっぱり……流石、この世界で『最強種』なんて呼ばれてるだけはある。

 それでこそ……それでこそ、倒しがいがある。



「…………はぁ。お前の感性が分かってきた気がするぜ」

「それは良かった」



 肩を(すく)めて、そう返した。



「まぁニーズヘッグの事は一旦おいとくぞ。『最強種』について語るなら、話は数千年前に遡る」



 思った以上に、『最強種』の歴史は長いらしい。





「今から……約八千年前。この〈ヨルム〉の世界には、『四忌厄災(しきやくさい)』っつー、最低でも一体で国を亡ぼせるモンスターがいた」

「もしかしてそれが?」

「ああ。いわば『十二体の最強種』の前身だな。元々は、今みたいに十二体じゃなく、四体しかいなかったわけだ」

「でもさ……例えばナイアードみたいな、龍神とかはそれに近いと思うんだけど?力で見れば」

「水龍神か……確かに、力だけで言えば十分『最強種』クラスだ。だが、この『四忌厄災』ってのはな。何も力だけじゃねぇ。名前通り、人間にとっての危険度、厄介さ、そんなのも考慮に入れて選ばれてるからな」

「へぇ……」



 でも、ナイアードは積極的に人間を襲ってる感じは無かったけど。

 どちらかというと、ナワバリを守ってる感じかな?



「『覇国光狼』、『黒蟲皇アスタロト』、『海世巨鯨』、『始原龍アラビド』……この四体のモンスターはいわば元祖『最強種』だ。時代は流れ……新たに生まれた、若しくは認知されたモンスターが追加され、『十二体の最強種』なんて名前に纏まったわけだ」



 おお……どれも気になる名前ばかり。

 というかニーズヘッグ以外知らなかった。



「今までに……『最強種』が討伐された記録はねぇ。――つっても俺の知識は、古文書に載ってただけのもんだからな。実際に見た奴がいない以上、どこまでほんとか分かりゃしねぇ。中にはここ数百年発見報告がねぇやつもいるしな。……まぁ、見つけた奴が殺されてるだけの可能性もあるが」

「……まぁそうだよね」



 カイルは……多分、普通の人間だ。

 数百年前の事も分からないだろう。

 ……例え、ゲームであっても。



「んで、あとは……あれか。ニーズヘッグがあんな場所にいた理由か?」

「うん。やっぱり気になるからね」

「ああ、そうだ。あの巨大樹、何だと思う?」

「えっ?何って……世界樹じゃないの?」



 僕がそう答えると、カイルはしてやったり、という表情で笑った。



「世界樹ってのも間違いじゃねぇ。間違いじゃねぇが、あれも本体じゃねぇんだよ」

「本体…じゃない?」

「おう。あれはな、世界樹が伸ばした根……その先から生えただけの、いわば世界樹の子供みたいなもんだ」

「――!それはまた……凄いね」

「だろう?何せ大元の世界樹の大きさは、あれの数十倍はある。少なくともな」



 ほんとにとんでもない。

 是非とも、本体の方を見てみたいところだ。



「――あれ?でも、それがニーズヘッグと関係あるの?」

「あるんだなこれが。ニーズヘッグってのは……元をたどれば、世界樹の巨大な(うろ)で育っただけの一匹の蛇だったんだと」

「……それってつまり」

「ああ。今も蛇帝の本体は世界樹の洞の中、ってわけだ」



 それは、良いことが聞けた。

 世界樹……是非ともいつか行ってみないと。



「そんでもって、ニーズヘッグは今も、自分の育て親たる世界樹を守ってる。だからこそ、世界樹の根から伸びた、あの巨大樹も……アイツにとっちゃ、兄弟みてぇなもんなんだよ。木だけどな」



 道理で……あんな風に巻き付いて守ってたわけだ。

 あの言葉の意味も……


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